V. 描かれた漁撈・習俗
(1)潜水漁
潜水漁とは、海に潜って主にアワビ等の貝類や海藻を対象として漁をするものであり、大きくは素潜りと器械潜水に分けることができます。
絵画に描かれたのは、素潜り漁を行う「海女(アマ)」たちです。資料番号25「凪」(山谷 一)では、磯着を着た海女がタマリという収穫物を入れる網を担いでいる姿が描かれています。資料番号28「波上海女図」(若木山)では、パンツ一枚で船に乗込む海女達が描かれ、ヒトツメガネを付ける姿も見られます。資料番号1「安房ノ海処女」(若木山)では、磯着を着て岩場に立つ海女の姿とヒトツメガネ、イソガネ、ウケダル、タマリ、ツイシといった漁具も描かれています。
素潜り漁に使われる道具は、絵画に描かれたものを含めて以下のようなものがあります。
・潜水に使われる道具
○水中メガネ
ヒトツメガネ:両目をひとつのメガネで覆うもの。
ヒトツメガネ
フタツメガネ:片目づつふたつのメガネで覆うもの。
フタツメガネ
○フウジ
水中メガネの側面に付けられたゴム又は豚の腸製の弾力のある袋で、この袋に空気を入れて潜水し、潜水時、必要以上に水中メガネに水圧がかからないよに調節する道具。
○フンドンイシ、サガリイシ
海士(男性)が水深20m前後の深い場所に一気に潜水するためのつかまるおもり。
フンドンイシ
サガリイシ
・貝などの採取に使われる道具
○イソガネ、コノミ、ナガエ、オオノミ
岩に付いているアワビなどを剥がす道具で、使う場所により大きさが異なります。
イソガネ
コノミ
ナガエ
オオノミ
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