II. 海辺の人々
漁撈活動にたずさわる人々の姿は、近世以降も画題として多くの画家が描いています。特に、太平洋、東京湾と海に囲まれ海産物に恵まれ漁業が発展した千葉県は多くの素材を提供できる地域でありました。また、海の幸を捕獲するという根源的な姿は格好の芸術の対象となりました。房総を旅した画家の遺した作品には、海女や漁夫のもつ人間の美しさを表現したものが少なくありません。この人々の営みを、漁撈民俗資料と結びつけて紹介します。
ショイカゴを背負いタモを肩に担いだ漁婦です。浅井忠は、明治29年(1896)暮れから翌年の正月にかけて房州へ写生旅行に出かけています。
|
絵画で描かれた「かぶと岩」が見えます。現在(平成17年)の白浜根本海岸です。
|
腰に綱をかけ採貝具の柄を持って後ろ向きに引いています。
|
25. 山谷一
凪
|
万祝を羽織った漁夫と海女の衣装の女性が描かれています。万祝の絵柄には、芸術性が感じられるものが多くあります。
|
ヤッサカゴを背負った女性が描かれています。ヤッサカゴは、イワシなどを入れて運ぶのに使用しました。
|
ひじに掛けたトアミを打とうとしています。海面に投げ広げ、魚を上から包み込んで捕獲します。
|
海女の潜り着は、明治時代の中頃まではイソコシマキのみでしたが、その後ジュバンやサルマタを着用するようになりました。
|
ムシロの上で漁具を繕う女性を描いた昭和42年(1967)の作品です。木造船が描かれています。
|
|