生物モデルについて
生物モデルのアルゴリズムは、ステーションPAPA-KKYS用に作られた生態−物理モデル(川宮、岸他 1995)のアルゴリズムを基にし、そこに厚岸エコシステムKKYSモデルと同じようにリン循環を含めた(大島Y. 1999)。生物モデルの方程式の基本的なパラメータは全て、大半がKKYSモデルのパラメータと同じものを用いている。
Ecological model
モデリングを行う際に、カニの幼生は受動的な動物プランクトンとして想定し、日中の鉛直方向の移動は行わないものとした。幼生の全体量は、3.37mgとした。幼生の鉛直方向への分布は、幼生全体の2/3は底層に分布していて、残りは底層より上の層に均等に混じり合って分布しているものとした。
カニの幼生の初期の分布場所は、2005年5月12日〜15日のサフニロの調査資料(南千島海峡における)と、サフニロのデータ(A.クリチン、1999年択捉島)に基づいて設定した。
Initial distribution of Paralithodes brevipes larvae
動物プランクトンとその他の生物モデルのコンポーネントとの相互作用は図1(窒素循環)と図2(リン循環)に示したとおり。
図1. 窒素循環
図2. リン循環
課題となるのは、動物プランクトン段階での生物的な過程を考慮に入れた場合に起こりうる、カニの幼生の再分布を提示することである。幼生のバイオマスの変化(Δzoo)は次のような形で表すことが出来る:
Δzoo=F物理+F生態
F物理−物理的過程(拡散、海流による移流)によって条件付けられるバイオマスの変化を表す関数
F生態−生物学的な過程(植物プランクトン摂食、未消化物の排出、呼吸によって生じるものの排出、死亡率)によって条件付けられるバイオマスの変化を現らわす関数
初期のコンパートメントの分布
モデルの生物的な要素の分布は、対象海域の年間平均数値に相応している。初期のコンパートメントの条件はスライドの下表のとおり。
Initial distribution of ecological components
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