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4.3 高潮時における水位変化
 写真4-2(1)〜4-2(2)は、高潮実験の状況を示したものである。実験は、写真で示すように大型クレーンを使う大がかりなものであった。
 図4-6は、実験条件が「潮汐なしの状態で風速規模2」の時の各測点における水位変化を示したものである。図の横軸の時間は、台風シミュレーター装置を作動させたときを0時として示している。台風シミュレーター装置の送風機に一番近いStn.1では、装置作動後5cmほど水位が上昇している。Stn.2においてもStn.1と同様な傾向がみられるが、水位の上昇量は少し小さい。Stn.3では、ところどころ水位の上昇がみられ、Stn.4では水位の上昇は殆どみられない。水位波形はどの測点も大きく乱れており、チャンバー内の風速の乱れが影響しているものと推測される。
 
写真4-2(1)高潮実験状況(実験スナップ)
 
写真4-2(2)高潮実験状況(大阪湾上空から撮影)
 
図4-6 高潮による水位変化(潮汐なし、風速規模2)
(拡大画面:106KB)
 
 図4-7は、実験条件が「M2潮汐を与えた状態で風速規模2」の時の各測点における水位変化を示したものである。図4-6と同様に図の横軸の時間は、台風シミュレーター装置を作動させたときをOpd.(pd.: 潮汐周期)として示している。岸和田周辺海域におけるM2潮汐の振幅の大きさは35cmほどある。Stn.1では、高潮発生後水位が5cmほど上昇し、満潮時で水位40cm、干潮時で水位-30cmとなっており、水位波形は少し乱れている。他の測点においても同様な傾向がみられる。
 なお現地では2m以上の高潮偏差が記録されているが、今回作製した装置では、このような大きな高潮を水理模型内に再現することはできない。しかしながら、水理模型内に高潮を取り入れた研究例は殆どなく、高潮実験の可能性を示したことには意義があるものと考える。
 
図4-7 高潮による水位変化(M2潮汐、風速規模2)
(拡大画面:106KB)


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