日本財団 図書館


ブンブン・クロクロ・ゴーゴーゴーの「からだをつかって あ・そ・ぼ!」洛西 こども
 
ワーク内容 yちゃんの動き・様子 感想・反省etc...
●自由に走る 走り回ることはとても好きな様子。前にうわーっとさえぎるように回り込んだり、追いかけたりすると喜んでいた。
座って円になり、手のひらをこすり合わせるなど・・・やろうとしたが→
・あらためてみんなで向かい合うと、緊張感や恥ずかしい気持が出たのか表情も硬くなってしまった。
●親子で向かいあって座り、手をつないで前後に引っ張りあう
●お母さんの足の間に同じ方向を向いて座り、おしりで一緒に前へ進んでいく。私たちのペアとすれ違う時に、手のひらを合わせて「タッチ!」
・お母さんと一緒にできるものならうれしそうにやっていた。「もっと手も伸ばして後ろに倒れられるかな」などと言葉をかけるとそのように体を動かしていた。

・「タッチ」のときはうれしそうだったけれど、ペアを合体して4人で進むとなるとそれはちょっといやそうだった。
お母さんとペアで触れあえることなら安心してやっていたので、もっと簡単でシンプルなことをいくつかゆっくりと試してみてもよかった。手のひらを合わせて動かしたり、押したり、背中合わせで揺れてみたり・・・。
●いろんなものに「タッチ」部屋にあるいろんなものに手で触れに行く。 ・「あっ!」と言って笑顔で窓ガラスに張ってあるかざりなどを指さしていた。初めのうちは、何か好きなものに「タッチ」しに行くという動きにはなかなか結びついていなかったが、天井からぶら下がるロープにタッチするのは楽しそうだった。高くて届かないとき、さなえさんに持ち上げてもらい、触れることができ、喜んでいた。 やりたい→できない→人の助けを借りる→できた!という経験はその人との信頼関係を築くきっかけになると思う。このことが、少しずつyちゃんの気持がほぐれていくのにつながったのかもしれない、と後になって思った。
●yちゃんにタッチ ・私たちが近づき、yちゃんにタッチすると、(たぶん)拒否するように手で押し返した。そのまま私たちが後ろ向きに離れていき、また戻ってきて近づくと、その動きを見ておもしろがり、再び押し返す・・・と何度も繰り返していた。 ナビとしては、モノに触れてみる面白さを味わえたから、人にもタッチできないか・・・と、欲が出た。
 けれど、対象が人になるとあまり気乗りしない様子。でも、yちゃんが押し返し、そのまま後ろ向きで離れていったのは私にとって考えずに出た動きでちょっとおもしろかったし、yちゃんにとっても意外だった・・・かな。
●だれか1人にみんながついて歩く
 ・お母さんに 
 ・yちゃんに
・お母さんが止まれば、みんなも止まる。何度か繰り返すうちにyちゃんもなんとなく止まっていた。それをゲームのルールのように理解していたと言うよりは、みんなが止まるから自然に自分もなんとなく止まった、という感じ。
・yちゃんにみんながついてきていることを、彼女自身は関心がないのか、目に入ってないのか、気にかける様子はない。
yちゃんについていくことで、窓の外に見える何かだったり、鏡に映る自分だったり、彼女が見たいモノを一緒に共有した感じがした。そして、止まっている時間や、歩き出すタイミング。彼女にはおそらくみんなを引き連れているという意識はないから全てまるごとyちゃん自身の欲求と衝動なのだと思った。
●四つんばいで歩く ・同じようにやってみることはせず、走り回っていた。お母さんの四つんばいの上に座るのはうれしかった様子。
●大きいと小さい
手も上に広げて、体を大きく広げてみる 
 ↓
そのあと、ゆっくりできるだけ小さくなってみる

・みんなが小さくなったら、ぺたっと腹這いで寝ていた。
●マットをだして(4枚くらい)
・踏んで感触を味わう 
・寝転がる→しばらく静かな時間
マットにみんなで寝転がると、「しーっ」と指を口に当てて静かにさせようとした。yちゃんも静かに寝ころんでいた。
・マットの上に人を乗せて引きずって運ぶ 「yちゃん、ここ持って引っ張って〜」と言うと、そこへ来て一緒に引っ張った。あまり長くは続かないけれど。
・マットに人が隠れる マットにくるまったりして隠れた人を見て、マットをめくりに来た。
・再び静かな時間 この辺からはyちゃんのペースが強くなる。あるマットの上には、必ず五島さんが寝ていなくてはならず、そしてあなたはここにいて、というふうに人とマットを自分の思い通りにしようとした。そして「しーっ」とまた静かにという指示。あと、手を横に伸ばして「ぴっ」という声つきのポーズも何度かやっていた。
●ぐるぐるまわる
2人で手をつないで、または、1人で手を広げて
・yちゃんがよくやっていた動き。お母さんと手をつないでぐるぐるまわってみる。
●終わりに
みんなで手をつないで円になりぶらぶら揺れる
・声をかけると、円に加わった。
・マットの片づけも、一緒に手伝ってくれた。
 
<全体の感想など>
分藤
 今回ナビでしたが、初めての参加者で一組だけだったこともあり、未熟な私にはかなり難しかったです。さなえさんと五島さんがフォローしてくれるありがたみを強く感じました。yちゃんは、ワークの終わり頃には私たちにも少し慣れ自分からはたらきかけるようになっていました。人がたくさんいる場では萎縮してしまうとのことなので、今回は一組だけだったのもよかったかもしれません。
 書きだしてみると、いろいろやったなぁ、と思います。一つ一つが試しながらで、彼女がのってくるかどうか、やってみないとわかりません。少しやったとしても長続きしなかったり発展していかないこともよくあります。そして、その状況を見ながらまた何か出し、相手から受け取り・・・。まさにインプロでダンスしているみたいなものですね。自分の引き出しの豊かさも必要だし、そこにある物、見える物、聞こえる物、使える物は何でも取り込んでいく外に開かれた感覚も必要だし、参加者の状況を敏感に感じとる繊細さや、一緒にワークを進めている人同士のことを感じることも必要。だから、一回一回の経験が私にとってとても大切です。
 私は、ワークの中でyちゃんからいろいろ感じたり、いいなと思える瞬間を与えられたけれど、彼女自身はどう感じていたのかわかりません。例えば、彼女にみんなでついて歩いた時、私はおもしろかったけれど彼女はただ自分のペースで好きに歩いていただけ。だれかがついてきているとかは関係なく。とも思えるのです。実際に一見そんなふうに見えるのです。でも、やっぱり1人で歩くのとみんながついてきているのとは体の感じ方が違うはずで、それを意識していたかは別としてなにかしら普段と違う感覚を体験できていたかもしれません。そうだといいのですが。
 
(黒子)↓
 全体の印象としてはいい感じで出来たと思います。今回はyちゃん一人だったので、彼女と共に、彼女の様子を気にかけながら行ったわけですが、yちゃんの大好きなお母さんと思い出のある場所で、後半に行くとのびのびやれてたのではと思いました。
 ナビゲーターの方としては、まだまだ勉強というかこの方法なら大丈夫という何か確信的なものを持っているわけでないので、試行錯誤それにつきると思います。ナビゲーターが何かを提示したときに、他のスタッフがどのようにそれを繋いでいけるか、どんな風に興味深いものとして一緒に動いていけるか、それってすごい大事だなって、今回思いました。連携プレーっていう感じかな。
 それが出来ると、参加者も今までにない様子を見せてくれるので、1つの事でたっぷりとやれるようになるかもしれませんね。
 以上、私の感想です。
 
五島↓
 たぶん障害について、いくらか知識のある人間は、初めて出会った人に向かった時「アアー、この人は◎◎だな?とか、▽傾向があるな、だからこれは、こうで、こうで、こうした方がいいだろうな」と、おおよその予想を立ててその人に接することが出来る場合がある。
 どっちかいうと私もヘルパー経験や、知的の人と関わっている時間があるので、少しそういう傾向がある。コミュニケーションに関する障害についての知識や情報を知っていることは、悪いことではないし、知識があると、「この人の今の反応は、こういうことだな」とか、意味不明のことに当たっても多少その人なりの道筋が見えてくることもある。
 が、しかし、必ずしも、予想通りではなくて、人により本当に様々なので、ある意味で先入観や前情報が無い方が、ダンス的というか、自由な感じがする。
 「平等」という表現は適切ではないかもしれないが、Yちゃんを1人の身体表現する人とみた場合、みんなそこに居る人は、フラットな関係の身体表現者なわけで、身体が解放されているかどうかとなると、健常者の大人の方が閉じている場合が多い、ということになるのかな。
 参加者が少なくて、自由に動ける人の割合が多いと、黒子さんの言う「連携プレイ」という人の動きをキャッチして、それをまた返していく、その連続をずっと継続していくことが出来るんだな、と思う。まあ、これは、なかなか出来ない、すごいことだと思います。
 しかし、参加者が多くて、体を動かすのに抵抗のある大人が多い場合、今回みたいな風には、行かないんだけど・・・。だから、一緒に動ける人は多い方がいいと思う。
 でも、参加人数が多いと、なんだか、伝染力みたいな力が働いたりして、知らない間に、すごい群舞になることもあるし。(全くのバラバラの分裂状態で終わることもある)でも、バラバラでWSとしてまとまりがないように見えても、焦らず、ドーンと構えていられるようにしていたいものだと思う。
 たぶん、コミュニケーションの難しい人にとっては、WS全体がまとまろうが、まとまりがつかなかろうが、関係ないというか、もっと自分にとってどうだったか?ということのみが、大事なのだと思う。いつか、kyさんがWS後ジュースをおいしそうに飲んでいたように。
 要するに、台風になろうが、嵐が吹こうが、平気な人も居るということ。
 私個人は、走ったり動きまわるのは、かなりきついので、26日は、若いサポーターの参加に期待しています。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION