ブンブン・クロクロ・ゴーゴーゴーの「からだをつかって あ・そ・ぼ!」
<ワーク内容>
(1)軽く動いて緊張を発散
全員で手をつないで円になる
・左右、内外に歩く、走る
・ジャンプ
・ゆらゆら
(2)少し静かにカラダほぐし
円になって座る
・自己紹介
・足を伸ばして座り、足先を内外へ動かす。前後も。→ひとりでやるよりも二人で向かい合い、一人が足を持って動かしてあげた方がうまくいった。
・グー・チョキ・パー
手で/足で/体で大きく
片手はグー、もう一方はパーで入れ替える、グーとチョキなどでもやってみる。→チョキが入ると難しくなるが、おもしろい。高齢の人でも座ってできる。
・自分の胸をゴリラのようにたたく。(呼吸を使って)
・自分の足をグーで軽くたたく。
・一方向を向いて座り、前の人の背中や肩をとんとんたたく。肩を持ってゆらす。
・そのまま後ろに寝る。後ろの人のおなかに頭をのせるようにしてリラックス。寝たまま、前の人の肩を持ってゆらす。
・反対に前に倒れる。前の人の背中に耳をつけて音を聞く。声も出してみる。
(3)アクティブに動く。ペアをくずす。
・空間の中をランダムに走るまたは歩く+合図でストップ
片足で止まったり、うしろ向きに歩いたり、変化も加えながら。
→ハンドドラムの音を合図にした。たくみくんがやりたいと言い、合図を出す係になった。数回やると、要領を得て「stop」と「GO」の合図をタイミング良く出していた。
・歩く(又は走る)+合図が鳴ったら近くの人と二人組になる。
そのペアでできる簡単なこと(両手をつないでジャンプ、なべなべのようにくるっと回るなど・・・。)
→ヘルパーさんも含めて、誰とでもペアになりやすい状況は作れたと思う。ずっと一緒に来たヘルパーさんとのペアがくずれない、ということにはならず、それが後半のワークにもつながっていった。
[休憩5分]
(4)ミラーでまねっこ
・リーダーひとり対全員で向かい合い、鏡のようにリーダーの真似をする。
はじめは、シンプルなポーズから。徐々に動きをつなげる。だんだんと、空間を移動する、高さを変える、手以外の部分も使う。→リーダーが空間を移動し始めると、鏡にはならなくなる。向かい合うことにあまりこだわらず、動きが出てき始めたら大きく動いていくことを優先させればいい。さなえさんがリーダーのときに「しゅー、しゅー」と呼吸を使いながら動いたが、全身が流れに乗っていくようで、動きやすかった。
・同じことを、ペアでやってみる。→ヘルパーさんの中には、どう動けばいいのか戸惑う人もいた。Kくんは、見てそれを真似るということがあまり理解できていないようだった。触れながらやるようにすると、リーダーに合わせようという動きが少しは出た。
・半分ずつに分けて、見合う。→二人組もあれば、一人のリーダーをみんなで真似るというグループもあった。見る、見られる経験はどちらも意味があると思う。TRちゃんは、リーダーになってどんどん動いていた。じっくり、自分の時間をちゃんともって動いているように見えた。
(5)クールダウン、感想をきく。
<その他の感想、など>(分藤)
・1時間半でちょうどよかった。
・毎回のことだが、開始時間に遅れてくる人は多い。少し待って来ていない人がいても、一人でも来ていれば始めよう。
・一つのワークにどれくらいじっくりと時間をかけるか、参加者によって、またサポートするスタッフがどれだけいるかなどによる。ワークの内容そのものも。
・UTくんは、部屋を何度か出て行ったり、やりたいこと(すもう、忍者の動き)とやりたくないことがはっきりしていた。ただ、やっていないときでも、他の人がやっていることをじっと見ていたし、その時は何かしら感じているのだと思う。部屋を出て行くのは、なにか理由があるようにも思えた。やっていることがわからない、つまらない、など。おもしろくないことを我慢してまでやらないと思うので。
・ワーク全体を通してゆとりやすきまがあること。参加者の自由度が高く、参加者の声や動きなどを柔軟に受け止めながら進めること。それに対してナビゲーターがやろうとすることをしっかりと持ち、巻き込んでいく力や引き付ける力が強く働いているワーク。きっと両方の要素が必要で、バランスの問題だと思うし、ナビゲーターの個性にもよる。ただ、参加者に振り回されすぎたり、逆に窮屈な状態を作ってしまっていたり、というになると、いい時間は作れないのではないか・・・。特に今回は分藤が初めて全体をリードしたので、そのバランスの難しさについて感じた。
(黒子感想)
・障害がある人を見ていると、あまりがんばらない。興味がない時や疲れた時は休憩したり自分の楽しい事をみつけたりしている。でもやる時はいい感じを見せてくれるし、それがすごくはっとさせられる。実は私達、それは見習うべきところなのかもしれない。そして彼らの「いい感じ、はっとする瞬間」を引き出す場を一緒に創れたら、と思う。
・ラストにやったのがすごくゆったりとしていていい時間だったような気がする。
Rちゃんのゆっくりとした動きに他の人が同調する波のような時間は結構感動した。Rちゃんは堂々としていたし。Kくんが分ちゃんと2人で触れながらゆっくり動いているのも良かった。やさしい時間だった。
・ヘルパーさん同士で、「すごい上手ですねぇ。いろんな動きできますねぇ」などとテレながらほめあいながらやっていて、ひそかに聞いてて面白かった。
・Tくんも出て行きつつ、お客さんとして見ることをしていたし、自分のエネルギーを放出するだけではなく他の人は何をしているんだろうと感じる機会はそんなにない。観察すること。良かった。
・シンプルですが新しい事を提案するばかりではなく、いつもやっているけど絶対違う、それに楽しみを感じることの方がすごい発見。
それにはナビゲートする側のゆとりみたいなのが必要。それは彼らに見習うべき部分でもあるような気がした。
・高齢のKさんの、自分の出来る事に自分のペースで参加してみる、見学してみるというのも大歓迎。
洛西「からだをつかって あ・そ・ぼ!」 説明会&体験WS
<ワーク内容>
約40分
●全員で円になって座る
(1)両手のひらをこすりあわせる
温かくなった手で自分の腕や足をさわってみる
(2)隣の人をマッサージ
・隣の人のモモの上に自分の足をのせる。(自分ものせられる)のせられてる足をマッサージ、ぶらぶら。→反対も
・同様に隣の人の手もマッサージ・ぶらぶら。
・円のまま、全員一方向を向き前の人の背中を「しゃっ、しゃっ、」とこする。→反対向きも
(3)全員で手をつないで揺れる。足も床からはなしてみる。
(4)自己紹介
●空間を自由に動く。
(1)ランダムに歩き、出会った人と握手。
(2)あくびをして、両手を大きく広げ、口もあける→しぼんでいくように小さくなる
それを交互に繰り返す。小さくなる時、床に入ることもある。
(参加者はなかなかそこまでいかなかったが・・・)
(3)二人組になり、手をつないだまま(片手・両手自由)どんなふうに動けるか?
→ペアが合体して、4人や6人のグループもできていった。
(4)両手を広げ、(翼がはえたように)大きく空間を自由に動く。
この動きには、自分の周囲の空気をかきまぜたり、すくいあげたりする感覚があるので、人と近づいた時に影響しあえるとおもしろい。
呼吸も自然と大きく深くなる。
(5)体で音を鳴らす(参加者の動きをとりあげて、それをみんなでやってみよう)
・空間を移動しながら、手のひらを打ち鳴らす。 ・ももやお腹など、他の部位でもやってみる
●クールダウン
深呼吸
<休憩>
お茶と紙コップを用意。
<説明会・質問>
(フロアが寒いので、体操用マットを8枚くらい出して、円になるように置いて、その上に座ってもらう)
五島:「からだをつかってあそぼ」の洛西で実施するまでの経緯の簡単な説明。
五:今日やったことで、感想や質問がありますか?(以下、順序は正確ではありません)
THさん/楽しかった。
Mさん(姉)/力を抜いて柔らかくするのが苦手なので、力が抜けてよかった。
Tさん(母)/養護学校の発表会で皆と一緒に音楽に合わせてやるのがすごく楽しそうなので、そういうのはやらないのですか?
黒子・・・個人個人の動きをみつけていくこと大事だと思っているから、形を与えて一斉に合わせてするのは、やらないです。
五島:個人の動きから、見つけた表現を皆で一緒に作っていく、ということはあると思います。
MRくん(母)/初めての会う人が集まってやって、何かすごく不思議な感じがした。
自分の子供は、人まねが不得意。円に入らないで、あちこち皆さんに迷惑だったんじゃないかと思う。
特にこのWSは目的があるのか?
五/大人(健常)は、自分の目的に合わせて、これをやろうとか選択できるが、障害のある人は出来ない。この集まりは、こういう目的というのは、特に何も決めていない。
参加する人によって、目的はだろうし、その日そこに来る顔ぶれによって違うものがでてきたりする。進行する我々はそれを見ながら、初めての出会いと思って探りながらやっている。
Uさん(母)・・・いつもやっているダンスと違うので、戸惑っていたと思う。(ずっと、廊下側の入り口のドアの窓から見ていた。)
五島/輪の中に入らない人が居たり、廊下に出ている人がいても、何をしているのかきっと観察していたり、その人なりに参加していると思うので、一緒のことをやっていない、ということを悪いことだ、と考える必要は無いと思う。
Mさん(姉)・・・手拍子が好きなので、それを全身でやれてよかったと思う。
力の調整が出来ない、力を抜けることができてよかった。また、手を強く握り、相手が痛がっていることを感じることが楽しいのだと思う(そのやりとりを楽しんでいる)
Thさん(ヘルパー)・・・良かったとおもう。
片山さん(ウエストサイド)・・・よかったのとちがうかなー。
もっと年齢の上の人とか、いろいろな人が参加出来ると思う。子ども大人はあまり関係ない気がする。どういうダンスなのか今までわからなかったけど、今日来てよくわかりました。
分藤:1回のワークショップの内容の中にも、好きなものとそうでないものがあったり、その日の体調や気分によっても参加しているときの状態は様々だと思う。特に今日は、初めての場所で初めて出会った人たちと一緒にやってみた。今回だけががどうだった、ということだけではなく是非また気軽に来て欲しいと思う。
黒子:(自分にとっての、WSでの出会いのよろこびについて語る)
(終わってから。アンケートとD & P資料を渡す)
<スタッフサイドの感想>
●五島:
参加者にとっては、よく知っている愛育園という場所であることプラス、何と言っても障害のある人に理解のある大人(保護者)が大勢入っていたことを含めて「安心できる環境」が保障されていたと思う。
障害のある人:健常者の大人(5:10)の人数のバランスが進行をスムーズにさせていた。
(これは、ヲルフガングがWSで基準にしている割合だったわ。偶然だけど)
黒子さんの進行・内容も、初めての人も楽しめたと思う。
質問コーナーの保護者の声の中で、「ダンス」とは音楽に合わせて皆が同じ振付を踊るものという意識が強くあって、それと違うことに対する戸惑いがあるのが、よくわかる。(参加者にも見られた。これはどの現場でも出てくるもんだなーと思った。)
「曲に合わせて踊る」「曲に振付して踊る」というのは、最も多いリクエストのような気がする。それは確かに一つの方法なんだけど、そうでなくて、一人ひとりが出会うところから始まるダンスがある、ということを理解してもらうには、時間のかかることだなーと思う。
日本全国で、「よさこいソーラン」の振付ビデオが回っていて、それをもとに体育祭や学芸会で子ども達に指導している先生もおられるらしいが、それはそれでいい。他に様々なものがあるということを少しづつ感じていってもらうしかないと思う。
●分藤:
・会場フロアーのレールの凹凸は、今回とりあえず養生テープでカバー。ごろごろ転がるワークがなければそれで十分だが、段ボールかスポンジなどで覆ってテープで貼った方がベター。
・体験WSでは、子どもと大人が混じっていたが、特に問題なし。年齢よりも、その人の行動や身体の状態によると思った。(重度身体障害と、多動の子どもが一緒だと危険が生じるなど・・・)今のところ曜日別に大人と子どもに分けているものの、参加者の都合や希望を聞いて、参加日に関しては柔軟に受け入れてもいいと思う。
・WS内容・進行は初めての人たちに安心を与えるものだったと思う。隣の人と手をつないでぶらぶら揺する、ということだけでも参加者からあんなに笑顔が見られた。からだをほぐす、人と触れあうというのが基本にありながら、後半の動き(翼)は、ダンスが生まれる可能性を十分にはらんでいるように感じられた。おもしろい動きが生まれる可能性、その人独自の動きが生まれる可能性、お互いに影響されあう可能性、空間の空気を動かせる可能性が見えたから。
・フォローとしては、参加者の正面でしっかり向かい合ってやってみると、(あくび・翼など)相手に今やろうとしていることが伝わりやすかった。部屋を抜け出す、途中でやめて別のことをやりだす、といった参加者を、ほっておくでもなく強要するでもない距離感とタイミングのはかり方はいつも難しい。
・音楽にあわせて、とか決められた振りをみんなでやる、ということを期待してくる人が多いのは、ダンスといえばそういうのしか知らないというのもあるけれど、それを実際に楽しんでいる人が多いというのもあるのかもしれない。私はコンテンポラリーを観たりやったりする機会のほうが多いから、そのやり方や考え方が自分にとっていいものになっているけれど、音楽にあわせる、振りを決めてみんなでやる、といったことに障害のある人たちと楽しめるヒントがあるのなら、そのまま取り入れなくても参考にはしたいと思った。実際、音楽は大きく身体に影響するし、場の雰囲気や気分にも作用する。また、みんなで動きや呼吸をあわせる快感やおもしろさは確かにある。「楽しめる人、合う人だけが結局は来てくれればいい」という思いと、「なるべくいろんな人たちが楽しめるように工夫をしなくては・・・」という思いが両方あり、たぶんそれはどちらも必要なことだと思う。
●黒子
会場がなじみのある場所の人が多かったので、懐かしい様子でのうろうろがあったけど、初めての場所での緊張感とまた違って安心した様子でみてられました。出て行ってしまうといつもならもっと気になるのだけど。
場所も大事だなと思いました。同じ場所でWSを定着させていく事も必要ですね。
時間の流れは今回はわりとスムーズに行ったように思います。約45分、これに少し休憩を入れて、後曲をかけて発展させてものをやっていくと、ダンスしたなーって感じで、ちょうど1時間半。音楽選びも大事ですね。完璧な振りをこちらが決めてしまうのは、つまらないなぁと思いますが、みんなからの動きを選んで、それに何かをつなげて動きとしては見た目、ばっちりとは行かなくても、一緒に作りその中に自分の動きがあるっていうのは、やっぱり嬉しく何かが開花していくのではと思います。そういう時間をWSの中に組み入れていくのも大切だと思います。
それと両立して、とてもシンプルなところを感じる、摩擦や呼吸の音や動きの不思議さ
(笑いが出てくる、顔がゆるむ)人と出会う、人に触れる、などなど、沸き起こってくる素材は自分の中から一緒にダンスしてる人から、どんどん伝わってくる、そういうシンプルな部分での喜び、それは知らず知らずのうちに自分を感じ、自分の面白さや人の面白さを感じ取る事になるのではと思います。どのWSでも同じなんだけど、障害のある人が加わったWSは特にそういう部分を注意深く、ナビゲーターやサポーターが見つけていく必要があるなと思いました。
年齢の事は今回はそんなに気にならなかった。分ちゃんの感想と同じで、難しくなるのは重度の人や強い多動の人などや、とにかくやたら元気すぎる人などがそういう時がどう対応しってたらいいか難しいですね。ボランティアのKさんが来てくれてありがたかったです。
動くことに抵抗ない人が何人かいてくれると、その人のリードによってみんなの動きも変わってくるし、ボランティア大歓迎です。
●KA(ボランティア・・・ダンスの企画制作もやるアーティスト)
このワークショップに参加した理由は、ダンスをしていく為の経験として勉強させてもらっている意識が強い。普段のワークショップ等では、身体を気軽に動かすことに慣れすぎてしまっているけれど、慣れたこの動きは本当に今動きたくて動いているのか?と考えてしまったりもする。
私は、普通の人(ダンスをしていない人?)が身体を動かすこと、普通の人と動くことに興味がある。(ダンサーになるという意識が少ないのだと思う)ので、今回のような人の集まりに身をおいて違った経験をしてみたいと思った。
7、8年前(大学卒業頃)、心理学やダンスセラピーに興味があり、養護施設の職員養成学校にいく事を考えたり、施設の見学等に行ったりしていた。アートやダンスを通して人が変われることに興味があった。(そのころは、今あるようなダンスのワークショップがあることを知らなかった。)
しかしその頃は、自分はまだ一線をひいて障害者の方達と接してしまうような気がして、その道にすすむことを止めた。どの様に接して行けばいいのか、今でもはっきりしているわけではないまま何年かがたって、去年からダンスをはじめ、今回またこのような機会に巡り会った。
今回のワークショップが始まる前も少し不安だったが、ダンスをすることに慣れがあるので、ただ動いていれば、普通に接していれば、次第に関係の作り方が見つかるかと思いその場にいた。
ナビゲーターの方のように、障害者の方の動きを注意深くみたり、導いたりする余裕はなく、今は一緒に楽しんでいるだけで一杯だ。もっと周りの人の動きや反応を見れる余裕が出て来てほしいとも思う。
最後のまとめの時に、「出て行ったりする人も、その人なりにその場に参加している」というナビゲータの方の言葉は、頭ではわかっていても、その状況になると少し焦っている自分がいたりすることは、まだ一般的?な考え方に染まっているのだと思う。小さい子供たち2人がまじっていてくれたことは、場所がにぎやかにもなって、よかったと思う。
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