バッファロー・ボーイ
Buffalo Boy/Mua Len Trau
2004年フランス=ベルギー=ベトナム/102分/カラー オリジナル言語:ベトナム語・日本語/日本語・フランス語字幕
監督
ミン・グエンヴォー
1956年生まれ。戦争中にべトナムの小さな町で育つ。実家が小さな映画館を営んでいたため、幼い頃から映画漬けの生活をおくる。フランスで工学を学んだ後、アメリカに渡りカリフォルニア大学で応用物理学の博士号を取得。光学の研究者として働いていたが、映画の道を目指すことを決心する。短編やドキュメンタリー映画の制作を経て、『バッファロー・ボーイ』で長編デビューを果たした。
■スタッフ
監督/脚本
ミン・グエンヴォー
撮影/イヴ・ケープ
編集/ルディマルテン
音響/マーク・エンゲルス
音楽/トン・タァト・チェト
美術/ファン・ホン・ファン
プロデューサー
オリビエ・デュボア
ミュリエル・メルリン
■キャスト
レー・テー・ルー
グエン・チー・キェウ・チン
クラ・ズアン・スラン
グエン・フュウ・タン
■物語
低地の広がる南べトナムは1940年、フランスの植民地であった。雨期のあいだは洪水が起こると何ヶ月も水が引かないこの土地では、米作りに欠かせない水牛をいかに遠くまで上手に移動させられるかが生存を左右する。15才少年キムは、腹を空かせた水牛2頭を任されて、水浸しになった低地から遠く離れた牧草地へと山岳地帯をひたすら歩き続ける。家族の唯一の財産である水牛を無事に連れて帰らなければ、家族は生活できない。キムは厳しい旅を通して、暴力的な争いやアルコールや裏切りに満ちた男たちの世界を知り、同時に自由や男同士の友情を得る。そして一人前の水牛飼いとして社会に受け入れられていく。
■解説
べトナムで生まれ育ち、フランスとアメリカで教育を受けたミン・グエンヴォー監督のデビュー作。ソン・ナムの短編小説からインスパイアされた本作は、少年の移り気なリズムと、内面の混乱を描きながら、キムが自由を求めて戦う姿を国家の歴史的背景と重ね合わせている。キムの生活をとりまく様々な出来事は、水のごとく破壊的でもあると同時に、再生を促す力を持つ。メタファーとして使われる水のイメージが強烈な印象を残す本作は、ロカルノ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したほか、各国の映画祭で高い評価を得た。なお、リアルな生活感を出すために地元のオーディションで集められた出演者のほとんどが演技未経験者だった。
あの夏の浪声
Voice of Waves/那年夏天的浪聲
2005年台湾/60分/カラー オリジナル言語:中国語/日本語字幕
監督
リサ・チェン(陳秀玉)
1985年に大学卒業後、制作会社に入社。プロデューサーとしての立場で、編集や音響といった技術的なことから予算管理やマーケティングまで、幅広いスキルを獲得する。97年から助監督として現場に就き、99年、本格的に映画の勉強をするためニューヨーク大学に短期留学する。帰国後、テレビドラマの美術を経て、易智言監督の『藍色夏恋』に助監督として参加。最新作は2004年の金馬奨で最優秀女優賞にノミネートされた『秋天的藍調』(Autumn of Blue)
■スタッフ
監督/脚本/プロデューサー
リサ・チェン
脚本/ファン・スーユー
撮影/チョウ・イーウェン
編集/チェン・ポーウェン
シャオ・ドゥクアン
音響/ドゥ・ドゥ・チー
ウー・シューヤオ
音楽/ファン・ツォンペイ
美術/チェン・カオパ
プロデューサー
リン・ヨンティン
■キャスト
チョウ・ヨウティン
フランカ・ファン
ヴィッキー・チェン
■物語
ごく平凡な人生を送ってきたマンリー。学校を卒業して社会に出るようになっても慎重に仕事を選び、次の仕事が決まるまでは、絶対に今の仕事を辞めたりしない。けれど今回は違った。次に何をするか決めないまま、無職になってしまった。生活を変えたいと思っただけなのだけれども・・・。そんな時、恋人からプロポーズされる。しかし仕事を辞めたから結婚、という気分にはなれない。ただボーッとしていることしかできない。寄せては返す波のイメージが夢に出てくる。その感覚は日に日に大きくなっていき、彼女は力が湧いてきた。夢の仲の波の声ははたして何を意味するのだろうか。
■解説
易智言監督の大ヒット台湾映画『藍色夏恋』で助監督を務めたリサ・チェン(陳秀玉)の監督デビュー作。本作は、活況を呈する台湾インディーズ映画の一本でありつつ、台湾でNHK的存在の放送局として設立され、新人映画監督の発掘・育成にも重要な役回りを果たしている〈公共電視〉で単発テレビドラマとしても放映することも前提に製作された作品。台湾のアカデミー賞とも呼ばれる国家的映画祭・金馬奨で最優秀短編映画賞にノミネートされ、次代の台湾映画界を担う最有望監督として一躍注目された。
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