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緑の帽子
The Green Hat/緑帽子
2004年中国/97分/カラー オリジナル言語:中国語/日本語・英語字幕
 
監督
リウ・フェントウ(劉奮門)
 1969年北京生まれ。脚本家として数々の話題作に参加、張揚監督とのコラボレーション『スパイシー・ラブ・スープ』(98)『こころの湯』(99)で国際的な評価を得た。その後、張一白監督の『開往春天的地鉄』(春の地下鉄)(01)で香港国際映画祭の最優秀アジア映画賞を受賞。他の脚本参加作品に、施潤玖監督の『美麗新世界』(98)などがある。作家になる方法を映画学校で学ぶものではないと信じているフェントウは、独学で脚本を学んだ。本作「緑の帽子」が監督デビュー作となる。
 
■スタッフ
監督/脚本
リウ・フェントウ
撮影/チェン・イン
編集/ジャ・ツィピン
音楽/ジン・ウーリン
美術/ションズ
プロデューサー/ルー・ヤン
 
■キャスト
シーズ
リャオ・フェン
リー・メイ
ハイ・イティン
 
■物語
 恋人とよりを戻すためのアメリカ行きの資金を稼ごうと、ワンは銀行強盗をして札束を手に入れた。しかし、空港へ向かう途中、電話をかけるために入った店で、恋人の裏切りを知らされる。状況が変わったことにいら立ったワンは、銃を片手に店主を人質にして店に立てこもる。やってきた中年の警察官に「愛とは何か?」と問いかけるワン。ワンと警察官はにらみ合うが、そのうちにふたりの間には共通点があることが判明する。警察官も妻の浮気に悩んでいたのだ。
 
■解説
 中国では古来、売春宿で働く男性に緑色のスカーフを身につけさせる習慣があり、それは屈辱の印とされていた。現代においては、妻やその愛人によって裏切りを受けた男性は「緑色の帽子を被っている」と言われる。チャン・ヤン監督『スパイシー・ラブ・スープ』『こころの湯』の脚本家として高い評価を受けているリウ・フェントウの監督デビュー作は、女性に強く拒絶されたふたりの男の苦難を描く悲喜劇。ポストモダン的なロマンチックな愛の定義を提示するつもりで作り始めたものの、考えていたものとは全く違う作品になったとリウ監督は語る。トライベッカ・フィルム・フェスティバルで最優秀作品賞と監督賞を受賞。
 
 
 
タルームプック/迫り来る嵐
Taloompuk-The Disaster Storm/Taloompuk
2002年タイ/145分/カラー オリジナル言語:タイ語/日本語・英語字幕
 
監督
ピティ・チャトゥパット
 1964年生まれ。初めての映画出演でナショナル・フィルム・フェスティバルの最優秀賞助演男優賞を受賞するという華々しいデビューを果たす。助監督や広告代理店でプロデューサーを務めた後、自らのプロダクションを設立。1999年から2001年まではRSフィルムのプロデューサーを務めた。その後、タイ国内で撮影を行う外国映画のサービス機関を設立するなど、タイのエンターテイメント関連のプロジェクトを数多く手がけている。『タルームプック』は二作目の監督作で、前作“Clonning”はナショナル・フィルム・フェスティバルで16部門にノミネートされるという快挙を成し遂げた。
 
■スタッフ
監督/撮影
ピティ・チャトゥパット
脚本/ソーンセーン・ソンティウォン
撮影/アート・シーサワット
音楽/スノーマン
プロデューサー
コムソン・シーサワット
 
■キャスト
チャーチャイ・ブレンパニット
プローンプロン・ユワウェート
サシトーン・パニチャノック
M.R.R.モンコンチャイ・ユコン
トゥン・タナコーン
 
■物語
 1962年。タイ南部のタルームプック岬にある小さな村に、理想に燃えた医師のクラサトリがやって来る。彼女の思いやりが逆に村人の反発を買い、なかなか地域社会に溶け込めないクンラサトリーだったが、同じく理想主義者で心に深い傷を負った海軍の整備士ジャーと出会い、心を通じ合わせていく。一方、サキナというムスリムの少女と孤児のプラオは、周囲の強い反対や宗教的な問題といった障害を乗り越えて愛を育んでいた。しかし、サキナには村のリーダーの息子である婚約者がおり、深刻な三角関係へと発展していく。そんな中、世にも恐ろしい大嵐が岬を襲う。
 
■解説
 1962年にタイ南部のタルームプック岬を襲った大嵐は1万人以上の被害者を出した。本作が二作目となるピティ・チャトゥパット監督以下スタッフは、歴史研究家らとともに、災害から約40年たった今なお数多くの謎が残る悲劇の背景を徹底的に調べ上げ、当時の状況を再現することに成功した。実際に起きた出来事をベースに、自然災害が人々の暮らしを破壊していく様を大迫力の映像で描いた本作は、2002年の公開時、タイの観客にショックを与えた。タイ国内のムスリムの生活を描いているところも見所のひとつ。
 
 


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