SCREENING SCHEDULE
もう一度
One Moment More/Minsan Pa
2004年フィリピン/148分/カラー オリジナル言語:タガログ語・日本語/日本語・英語字幕
監督
ジェフリー・ジェトゥリアン
1959年フィリピン・マニラ生まれ。フィリピン大学で建築を学んでいたが、放送通信に専攻を変更。マリルー・ディアス=アバヤ監督の“Alyas Baby Tsina”のプロダクション・アシスタントとして映画界に入り、チト・ロニョ監督やジョエル・ラマンガン監督作品の脚本スーパーバイザー、美術、助監督を経て、1998年に“Sana, PagibigNa”(Enter, Love)で監督デビュー。翌年の“Pila Balde”(Fetch a Pail of Water)で、第1回マニラ国際映画祭のNET-PAC賞を受賞。3作目の“Tuhog”(Larger Than Life)は2001年のベネチア国際映画祭をはじめヨーロッパ・アジア各国の映画祭で上映された。
■スタッフ
監督/ジェフリー・ジェトゥリアン
脚本/アルマンド・ラオ
撮影/ラリー・マンダ
編集/ノノイ・ダディヴァス
ダニー・グロリア
音響/マーク・カバルナ
音楽/N・アーネル・デ・パノ
美術/ロニー・クルス
プロデューサー
ジョージ・アロンソ
■キャスト
クリスチャン・ヴァスケス
ジョマリ・イリアナ
アラ・ミナ
■物語
セブ島のツアーガイドをしているジェリーは、放蕩な父にかわって家族を養っている。9.11のアメリカ同時多発テロ以降、多額のチップを落とす外国人観光客が減り、国内の観光客の相手をする毎日だ。そんな中、ジェリーはマニラで幼稚園の先生をしているルナと出会い、一目惚れするが、ルナには婚約者アレックスがいた。ルナとアレックスの楽しい休暇は、ルナが海にカメラを落としてしまったことで暗転し、ふたりはぎくしゃくしたままマニラヘ戻っていった。ある日、ルナがセブ島に戻ってくる。結婚式を取りやめたらしいルナは、アレックスとよりを戻すためにカメラを探すと言い、ジェリーに手伝ってほしいと頼み込む。
■解説
日本でも『海に抱かれて』『ホセ・リサール』『昔と今』などが紹介されているフィリピンの名匠マルリー・ディアス=アバヤ監督の弟子としてキャリアを積んだ新鋭ジェフリー・ジェトゥリアン監督の最新作。フィリピンでは、国内での総体的な映画産業の苦境のなか、若手監督が次々と意欲作を発表し、国際的な注目を集め始めたところだが、前作『ブライダル・シャワー』で大成功を収めたジェトゥリアン監督もそうした新世代監督筆頭格のひとり。海外ツーリストにも人気のセブ島でツアーガイドを務める男を主人公に、人生の本当の価値を探った本作は、フィリピンの映画評論家組織主催の映画賞YCC賞で最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀男優賞など主要賞を総なめにした。
海鮮
Seafood/Haixian海鮮
2001年中国/85分/カラー オリジナル言語:中国語/日本語・英語字幕
監督
チュー・ウェン(朱文)
1967年福建省泉州生まれ。89年に南東大学を卒業後、エンジニアとして工場で働いていたが、作家活動に専念するため94年に退職する。以降、小説や詩など計6冊の本を出版し、若い世代から絶大な支持を得る。章明監督の『沈む街』、張元監督の『ただいま』の脚本を手掛けた後、本作で監督デビューを果たした。仕事を引退した男の雲南省への旅を描く二作目『雲の南へ』(雲的南方)は、上海国際映画祭で監督賞を受賞したほか、2004年の東京フィルメックスなど各地の映画祭で上映されている。
■スタッフ
監督/脚本/編集/プロデューサー
チュー・ウォン
音響/ガオ・イン
美術/ガオ・ジェンシン
プロデューサー
ガオ・シャオモン
■キャスト
ジンズ
チェン・タイション
■物語
河南省出身のシャオ・メイは北京で娼婦として働き出して3年。正月頃から恋人との仲がうまくいかなくなった彼女は、自殺を決心し、北京の近くにある海辺の小さな町、北戴河へ行く。北戴河は有名なリゾート地だが、冬のあいだは雪と氷に覆われ、観光客も帰ってしまって閑散となる。シャオ・メイはそこで地元の警察官ダンと知り含う。彼女が自殺しようとしていることに気づき、あらゆる手段を使って引き止めようとするダン。北戴河で自殺を決行するのは無理だと察したシャオ・メイは、さらに別のリゾート地、山海關へ向かうが、ついてきたダンに連れ戻される。やがてふたりのあいだに複雑な感情が流れ始める。
■解説
小説家出身でありながら、中国第6世代映画の代表作、章明監督の『沈む街』(95)、張元監督の『ただいま』(99)などで脚本家として独自の美学を展開し国際的な注目を集めていた朱文、待望の監督デビュー作。まだ中国政府当局がインディペンデント映画製作に非許容的だった時代下に製作されたため、今日に至るまで地元では商業公開されていないが、国際舞台ではベネチア国際映画祭での審査員大賞受賞をはじめ各地の国際映画祭で大反響を巻き起こした。海辺のある田舎町を舞台に警官と娼婦のかかわりを静謐なタッチで追いながら、小説家、脚本家出身の彼ならではの独自のドラマツルギーが驚愕のラストに結実していく。
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