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 光トポグラフィは日立製作所で開発された新しい脳機能映像化技術です。
 写真のように、光ファイバーキャップをかぶるだけで、脳の活動状態を画像として観測できます。
 
 この計測技術には、生体を良く透過する赤〜赤外に掛けての光が使われています。頭皮上に置いた光ファイバーからこの光を照射し、30mmほど離れた場所におかれた光ファイバーで、脳から戻ってきた散乱光を検出します。
 
 照射された光は、頭の中を散乱しながら、検出ファイバーに到達しますので、図に示すようにバナナ型の光の場が形成されます。この、バナナ型の場は、大脳皮質の情報を含んでいることが知られています。
 
 大脳皮質(図内オレンジ色の薄い層)は、言語や思考など、人の高次機能をつかさどっています。この大脳皮質で活動が起きると、エネルギーを使うため、酸素やグルーコスを供給する必要が出ます。その結果、活動した場所で血液量が増加します。
 
 血液量が増えると、血液内の赤血球に含まれるヘモグロビン(Hb)も増加します。このHbは、光を吸収するので、バナナ型の光の場が影響を受け、信号として計測されます。
 
 
 脳波、大きく分けると、中心部に位置する生命を維持する部分、その外側にある感情をコントロールする部分、そして、前述したようにより良く生きるための高次機能を担う大脳皮質があります。
 
 光トポグラフィでは、この一番外側の大脳皮質の活動を画像計測できます。この、大脳皮質では、図に示すように、場所によって担う機能が決まっています。しかし、非常に複雑な働きをしており、いまだ、その機能の特性などわからないことが多くあります。
 
 光トポグラフィは、この未知の機能を解明するために、重要な計測技術と考えられています。それは、光トポグラフィが日常的な環境下で、これらの脳機能を計測できるからです。この特長が、これまでのMRIなど大型の計測装置と大きく異なる点です。そのため、いろいろな分野で使えることが期待されています。


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