Present Condition of the Universal Newborn Infant Hearing Screening
and Early Intervention
The Effect of Music Therapy on the Early Diagnosed of Sensonural Hearing Loss Baby; Pilot Study of Total Care.
2005.7.24
「日本における新生児聴覚スクリーニングの現状」
司会 東京女子医科大学母子総合医療センター 三科 潤先生
シンポジスト
新生児聴覚スクリーニングについて
山口病院院長 山口 暁 先生
聴覚障害の診断について
小張病院耳鼻咽喉科 森田 訓子 先生
聴覚障害乳幼児の支援について
埼玉県立小児医療センター 保健発達部主任 北 義子 先生
新生児聴覚スクリーニング
<目的>
聴覚障害の早期発見・早期支援により、児と家族のQOLを高める。
<特徴>
自動判定機能を持つ聴性脳幹反応ABR、耳音響放射OAE検査を用いる。
精度が高い検査を多くの児に実施可能
全出生児をスクリーニングの対象とする。
ハイリスク児のみの検査では、聴覚障害児の半分しか発見できない。
本邦における新生児聴覚スクリーニングの進行
・平成8年(1996年) 自動ABR(Natus ALGO)導入。
・平成10年厚生科学研究開始。
・平成13年度から新生児聴覚検査モデル事業が開始され、14自治体で実施された。
・平成14年度の日本産婦人科医会の調査では、分娩取扱機関の32%で実施。
・平成17年度から、母子保健医療対策等総合支援事業(36億円)の対象となった。(各自治体の主体的かつ弾力的な事業運営を可能とする総合補助金)
・平成17年度開始予定:群馬県、富山県、岐阜県
成和会 山口病院産婦人科 山口 暁 先生
協力:船橋・鎌ヶ谷地区新生児聴覚スクリーニング協議会
千葉県こども病院耳鼻咽喉科 工藤 典代 先生
小張総合病院耳鼻咽喉科 森田 訓子 先生
筑波大学付属ろう学校 福島 朗博 先生
操作が簡便で価格の安い聴覚スクリーニング装置の普及により新生児聴覚スクリーニングが進められている。スライド1、2に検査機器の種類、その特徴を示す。
1 新生児聴覚スクリーニングの方法
ABR(聴性脳幹反応)法 ABR: Auditory Brainstem Response
※音刺激が脳波に変化を与えることを利用した方法
自動ABR法 測定したABRを自動的に解析し、検査結果を判定する
OAE(耳音響放射)法 OAE: Otoacoustic Emission
※蝸牛の外有毛細胞の機能を検査する方法
DPOAE(歪成分耳音響放射)法 DPOAE: Distortion Product OAE
可聴域の異なる周波数および音圧を持つ2音F1、F2を同時に外耳道に重複して与えることによって得られる2Fl-F2の音響反応
TEOAE(誘発耳音響放射)法 TEOAE: Transient Evoked OAE
クリック音などの刺激後5〜15msec遅れて観察される音響反応
SOAE(自発音響放射)法 SOAE: Spontaneous OAE
音響刺激が無い状態で観察される自発的な発振
2 耳音響放射(OAE)と自動聴性脳幹反応(AABR)の比較
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OAE |
AABR |
Refer率 (当院)
(報告) |
10.8% 208/1922 4-15%
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O.61%(3回再検) 15/2475 1-10%
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経済性 導入時 消耗品 |
130万円 350円
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390万円(260万円) 3000円
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検査時間 |
数分 |
数十分 |
検査部位 |
蝸牛より末梢 |
中耳・内耳・聴神経を含めた脳幹まで |
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スライド中のreferとは、要再検査、要精密検査を意味する。2000年に発表された米国の新生児聴覚スクリーニングに関するjoint committeeでは、1ヶ月までにスクリーニングの過程を終え、3ヶ月までの診断、6ヶ月までに療育の開始を推奨しており、世界的な趨勢になってきている(スライド3)。
3 JOINT COMMITTE ON INFANT HEARING YEAR 2000 POSITION STATEMENT
III. Guideline for Early Hearing Detection and Intervention Program
わが国でも2000年に新生児聴覚検査試行的事業実施要項が発表され、新生児聴覚スクリーニングが推進されている(スライド4、5)。
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