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4. 載貨重量およびエネルギー効率
4.1 載貨重量の推定
 この種の多胴船は、船殻重量が重くなり、所定の載貨重量が確保できないことが懸念される。そこで、オーストラリアで開発された91m型ウェーブピアシング型双胴カーフェリーの構造図を参考にしてデッキ構造を決め、5mの横波を受けることを想定した横強度計算を行ったうえ、2倍の安全率を確保した。デミハル構造については、同じカーフェリーの構造を援用した。さらに、エンジンおよび航海機器等の艤装品重量についても、同ウェーブピアシング型双胴カーフェリーのデータを援用した。
 その結果、全アルミ合金構造とした場合に約420トンの載貨重量が確保できることがわかった。この載貨重量を国内の在来型単胴カーフェリーおよび海外のアルミ製高速カーフェリーのデータ3)と比較したのがFig. 13である。本ペンタマランが海外の高速カーフェリーと同じ程度の載貨重量を確保していることがわかる。
 
4.2 積付効率およびエネルギー効率
 Fig. 14には、本ペンタマランの車両甲板面積を他のカーフェリーのもの4)と比較した結果を示す。本ペンタマランはデッキ幅が広いため、多層車両甲板をもつ1万総トン級の単胴カーフェリーと同等の車両甲板面積を有することがわかる。
 Fig. 15には、エネルギー効率を表す比出力(エンジン出力/(速力・載貨重量))5)の比較を示す。ここでは、貨物船としての輸送能力を評価するため、重量としては排水量ではなく載貨重量を使った。この図から、本ペンタマランが、他のカーフェリーよりも優れたエネルギー効率を示すことが確認できる。
 
Fig. 13  Comparison of dead-weight between the pentamaran and existent RoPax ferries.
 
Fig. 14  Comparison of vehicle deck space between the pentamaran and existent RoPax ferries.
 
Fig. 15  Comparison of P/(DwV) between the pentamaran and existent RoPax ferries.


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