縦揺れのピークが予想外に大きかったことから、Tフォイルを取り付けて運動の軽減を試みた。Tフォイルの形状および取り付け状態をFig. 9に示す。船尾に取り付けたのは、Tフォイルを舵としても利用することを考えた結果である。運動の計測結果をFig. 10およびFig. 11に示す。図中には比較のために単胴旅客カーフェリーの運動のストリップ法による計算結果も示してある。予想に反して、Fig. 10の結果に見られるように、Tフォイルを取り付けたことによる縦揺れ振幅にはほとんど差が見られなかった。またFig. 11に示す上下揺れ振幅は、波高が高くなるに従いTフォイルによって減少する傾向が見られる。なお、図中にTフォイルなしの実験データが少ないのは、波高を実船相当で2.5mにした実験で、船首から冠水してデッキ上に滞留して船首トリムとなり、船首から急速に没水して模型が破損したためである。この実験から、船首冠水が起きないような対策が必要なことが確認できた。
Fig. 12には、ペンタマランおよび比較対象船とした単胴旅客カーフェリーの縦波中における上下加速度分布の一例を示す。Tフォイルなしの場合には、単胴旅客カーフェリーに比べてかなり大きな上下加速度となっているが、Tフォイルを付けると、特に船体後半部における上下加速度の値が減少し、単胴旅客カーフェリーと同程度の値になることがわかる。
Fig. 9 T-foil and its arrangement in the pentamaran.
Fig. 10 |
Pitch amplitude of the pentamaran with and without T-foil and the mono-hull ferry in regular head waves at Fn=0.45. |
Fig. 11 |
Heave amplitude of the pentamaran with and without T-foil and the mono-hull ferry in regular head waves at Fn=0.45. |
Fig. 12 |
Longitudinal distribution of vertical acceleration on the pentamaran and the mono-hull ferry in regular head waves at Fn=0.45. |
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