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[資料10]
海上保安庁国民保護計画
平成17年10月28日
海上保安庁
 
第1章 総則
第1節 目的
○この計画は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成16年法律第112号。以下「国民保護法」という。)第33条第1項及び第182条第2項の規定に基づき、海上保安庁の所掌事務に関し必要な事項を定め、もって武力攻撃事態等における国民の保護のための措置及び緊急対処事態における緊急対処保護措置の的確かつ迅速な実施に資することを目的とする。
 
第2節 用語の定義
○この計画において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)武力攻撃事態等 武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成15年法律第79号。以下「事態対処法」という。)第1条に規定する武力攻撃事態等をいう。
(2)武力攻撃 事態対処法第2条第1号に規定する武力攻撃をいう。
(3)武力攻撃事態 事態対処法第2条第2号に規定する武力攻撃事態をいう。
(4)対処基本方針 事態対処法第9条第1項に規定する対処基本方針をいう。
(5)緊急対処事態 事態対処法第25条第1項に規定する緊急対処事態をいう。
(6)国民保護措置 国民保護法第2条第3項に規定する国民の保護のための措置をいう。
(7)武力攻撃災害 国民保護法第2条第4項に規定する武力攻撃災害をいう。
(8)基本指針 国民保護法第32条第1項に規定する国民の保護に関する基本指針をいう。
(9)警報 国民保護法第44条第1項に規定する警報をいう。
(10)避難措置の指示 国民保護法第52条第1項の規定により対策本部長が行う指示をいう。
(11)避難実施要領 国民保護法第61条第1項に規定する避難実施要領をいう。
(12)生活関連等施設 国民保護法第102条第1項に規定する生活関連等施設をいう。
(13)立入制限区域 国民保護法第102条第5項に規定する立入制限区域をいう。
(14)危険物質等 国民保護法第103条第1項に規定する危険物質等をいう。
(15)緊急対処保護措置 国民保護法第172条第1項に規定する緊急対処保護措置をいう。
(16)管区本部等 管区海上保安本部(以下「管区本部」という。)及びその事務所をいう。
(17)海上保安部長等 海上保安監部、海上保安部、海上保安航空基地及び海上保安署(これらの事務所がない場合には、管区本部)の長をいう。
(18)船艇 海上保安庁の巡視船、巡視艇及び特殊警備救難艇(以下「巡視船艇等」という。)、測量船、航路標識測定船、設標船並びに灯台見回り船をいう。
(19)航空機 海上保安庁の固定翼航空機及び回転翼航空機をいう。
(20)情報通信施設 海上保安庁の使用する海上保安業務の実施に必要な情報の処理を行うために設置された電子計算機及びその周辺装置等(以下「情報システム」という。)並びに通信施設をいう。
 
第3節 国民保護措置の実施に関する基本的な方針
○武力攻撃事態等においては、国民保護法その他の法令、基本指針及び海上保安庁国民保護計画に基づき、国民の協力を得つつ、関係機関との密接な連携の下、海上保安庁の組織及び機能のすべてを挙げて的確かつ迅速に、自ら国民保護措置を実施するとともに、地方公共団体及び指定公共機関が実施する国民保護措置を支援するものとする。
 特に、四面を海に囲まれた我が国においては、海域の安全確保とその活用が国民保護措置の的確な実施に不可欠なものであることを念頭に置き、海上保安庁の機動力を最大限に活用した対応を図るものとする。
○国民保護措置の実施に当たっては、特に次の事項について留意するものとする。
1 基本的人権の尊重
○国民保護措置の実施に当たっては、基本的人権を尊重することとし、国民の自由と権利に制限を加える場合は、その制限は当該国民保護措置を実施するため必要最小限のものとし、公正かつ適正な手続きの下に行わなければならない。
 
2 国民の権利利益の迅速な救済
○国民保護法第160条第1項の規定に基づく損害補償のほか、国民保護措置に係る不服申立て又は訴訟その他の国民の権利利益の救済に係る手続きについては、できる限り迅速に処理するよう努めるものとする。また、これらの手続に関連する文書の保存につき、武力攻撃事態等が継続している場合及び国民保護措置に関して不服申立て又は訴訟が提起されている場合には、保存期間を延長するなど、適切に保存するとともに、武力攻撃災害による逸失等を防ぐために、安全な場所に確実に保管する等その保存には特段の配慮を払うものとする。なお、損害補償に係る手続きについては、別途、海上保安庁告示で定めるものとする。
 
3 国民に対する情報提供
○武力攻撃事態等においては、武力攻撃の状況、国民保護措置の実施状況、被災情報その他の情報を、船舶内に在る者に対して、正確かつ適時に提供できるよう、必要な体制の整備に努めるものとする。
 
4 関係機関相互の連携協力の確保
○国民保護措置の実施に関し、防災のための連携体制を踏まえ、広域にわたる避難、NBC攻撃(核兵器等又は生物剤若しくは化学剤を用いた兵器による攻撃をいう。以下同じ。)による災害への対応等、武力攻撃事態等における特有の事項にも対応できるよう、平素から関係機関相互の連携体制の整備に努めるものとする。
○都道府県知事から、海上保安庁の国民保護措置の実施に関し要請があった場合は、その要請の趣旨を尊重し、必要がある場合には速やかに所要の措置を講ずるものとする。
 
5 国民の協力
○国民保護措置の重要性について平素から様々な機会を通じて広く啓発に努めるとともに、国民保護措置についての訓練を行う場合は、住民に対して訓練への参加を要請するなどにより、国民の自発的な協力が得られるよう努めるものとする。また、ボランティア関係団体との連携を図るとともに、その活動の支援に努めるものとする。
 
6 高齢者、障害者等への配慮及び国際人道法の的確な実施
○国民保護措置の実施に当たっては、特に高齢者、障害者等に対するきめ細かな配慮が必要であることに留意するものとする。
○国民保護措置の実施に当たっては、外国人の行方不明者の捜索に関する規定、医療要員の保護に関する規定、文民保護の任務に従事する者の保護に関する規定等を定めたジュネーヴ諸条約等国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施を確保するものとする。
 
7 安全の確保
○国民保護措置の実施に当たっては、国民保護措置に従事する職員の安全の確保に十分配慮するとともに、要請に応じて国民保護措置に協力する者に対しては、必要な情報を随時十分に提供すること等により、その安全の確保に十分に配慮するものとする。
 
8 武力攻撃事態等対策本部長の総合調整
○海上保安庁長官(以下「長官」という。)及び管区本部等の長は、事態対処法第14条第1項の規定に基づき、武力攻撃事態等対策本部長による総合調整が行われた場合には、その総合調整の結果に基づき、所要の措置を的確かつ迅遠に実施するよう努めるものとする。
 
第4節 海上保安庁国民保護計画の見直し
1 計画の見直し
○この計画は、政府による基本指針の変更に応じて、あるいは海上保安庁の国民保護措置等に係る調査研究や訓練の検証結果等を踏まえ、必要に応じて見直すものとする。
 
2 計画の変更手続
○この計画の変更(軽微なものを除く。)に当たっては、国民保護法第33条第7項の規定に基づき、長官は、関係指定行政機関の長の意見を聴くなど広く関係者の意見を求めるよう努めるとともに、あらかじめ内閣総理大臣に協議するものとする。
○計画を変更したときは、速やかに都道府県知事及び所管する指定公共機関(独立行政法人海上災害防止センター)に通知するとともに、公表するものとする。
 
第5節 武力攻撃事態の類型
○武力攻撃事態は基本指針において(1)着上陸侵攻、(2)ゲリラや特殊部隊による攻撃、(3)弾道ミサイル攻撃、(4)航空攻撃の4類型が想定されており、それぞれの事態は複合して起こることが考えられている。また、NBC攻撃についても考慮することとされている。


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