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ジェマ・イスラミーア(JI)
Jemaah Islamiya
 東南アジアに拠点を置くテロ組織であり、アル・カーイダと密接な関係がある。東南アジア地域に理想的なイスラム国家の建設を目標としている。
 構成員の数に関し、詳細は不明であるが、5000人程度いるという情報もある。インドネシアを中心にJIへの信奉者が多数存在していることから、今後も組織の拡充が行われるものと思われる。
 資金も豊富であり、2000年にフィリピンとインドネシアにおいて多発した爆弾テロに大きく関与しているとされる。
 テロの実行部隊と計画・資金調達部隊は別系統からなっているほか、彼らが狙う標的の傾向としては、ハードターゲットからソフトターゲットヘ移行している傾向にある。
 
<主要な事件>
2002年10月 バリ島ナイトクラブ爆破事件
2003年8月 ジャカルタ・マリオットホテル爆弾テロ事件
2004年9月 ジャカルタ・オーストラリア大使館爆弾テロ事件(犯行声明)
 
アブ・サヤフ(ASG)
Abu Sayyaf Group
 フィリピン・ミンダナオ島に拠点を置くテロ組織であり、アル・カーイダと密接な関係がある(特にリーダーはビンラディンの義兄弟である)。
 モロ民族解放戦線の中から、より攻撃性の高いグループとして分離独立した組織となった。アブ・サヤフはアラビア語では「剣士」の意味がある。
 当初の活動目的は、ミンダナオ島及びその周辺諸島においてイスラム国家を建設することとされていたが、近年は金銭目的の誘拐・強盗も多い。
 構成員の数に関し、詳細は不明であるが、数百人程度いると推定されているが、最近の国軍による掃討作戦などにより激減しているとされる。
 最近はテロ攻撃目標を「マニラ市」とミンダナオ島「ジェネラルサントス市」と決め、狙い撃ちの計画を進めており、またミンダナオ島北西部において水中訓練を実施し、マニラ港における船舶爆破を計画している。
 
<主要な事件>
1995年4月 イピル町襲撃事件(ミンダナオ島南部)
1997年6月 パーティ襲撃事件(日本人を含む4名を拉致、人質は後日解放)
2000年4月 マレーシア・シパダン島にてダイバー20名誘拐
2004年2月 フィリピンスーパーフェリー14爆破事件
 
モロ・イスラム解放戦線
Moro Islamic Liberation Front (MILF)
 ミンダナオ島を中心にモロ民族共和国の建設を目指し、フィリピンからの分離独立を掲げる。モロとはタウソグ族などイスラム系民族の総称。
 1978年にモロ民族解放戦線から分離独立
 構成員は15000人程度いるとされる。
 公共交通機関への爆弾テロ、政府軍施設襲撃、選挙妨害、営利目的のための外国人観光客・ビジネスマンの誘拐がある。
 最近ではフィリピン政府との和平交渉が進められているが、一部の過激分子がアブサヤフなどと合流し、テロ活動を行っている。
 
<主要事件>
2000年2月 ミンダナオ島コランボガンからオサミスに向かうカーフェリー内においてバスを爆破した。
 
フィリピン新人民軍
New People's Army
 フィリピン共産党(Communist Party of Phillippines)の軍事部門として結成された。主な攻撃対象は、フィリピン政府関係者及び政府への協力者である。
 日本赤軍との関連も指摘されている団体である。
 1996年、フィリピン政府とイスラムゲリラ(モロ民族解放戦線)との和平に反発し武装闘争を激化させた。
 1997年、構成員は約8000人、保有武器は小火器6000丁であると推定された。
 
 最近の傾向として、児童兵士のリクルート、活動資金確保のために、麻薬の栽培・密売にも力をいれているとされる。
 
自由アチェ運動(GAM)
Geakin Aceh Merdeka
 アチェの独立運動のための武装闘争を展開。構成員は3000人。モロ・イスラム解放戦線と友好関係にある。
 アチェ州内には天然ガス施設が存在し、これに対するテロ攻撃により英国人が死亡した。
 
 2004年6月11日、武装集団6名がマラッカ海峡を通過中の石油タンカーをハイジャックし、乗組員36名を人質に身代金を要求。
 6月13日、インドネシア海軍部隊が突入し、テロリスト5名を射殺し、残りの1名を拘束した。
 
 2005年8月15日、インドネシア政府との和平協定に調印し、武装解除が進められている。


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