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 本船就航2航海目の,東京→ロサンゼルス間の航海(2003年12月27日〜2004年1月7日)において,洋上バラスト水交換を実施したバラスト水のロサンゼルス入港時の状態と,東京湾で漲水したバラスト水を搭載システムによって排出時処理した場合の効果について実験の上,分析比較してみたところ,
交換バラスト水については,
 80μm以上:2,700個体
 10μm以上80μm未満:3,513個体/
プロトタイプ機処理水については,
 80μm以上:100個体/m3未満(検出限界以下)
 10μm以上80μm未満:0.048個体/
であり,プロトタイプ機による生物処理効果の方がはるかに高かった.
 本船の運航に存在する様々なバラスト水の越境移動ケースにおいて実験し,その結果は各海域の生物相,濃度,水質等の影響でまちまちであったが,シアトル→名古屋間(2003年12月6〜15日)で実施した,シアトルでのバラスト水漲水時1回及び名古屋での排水時1回処理した(都合2回プロトタイプ機で処理した)場合の排出水実験結果について,動物/植物プランクトン別にグラフ化したものが表5〜8である.
 
表5 80μm動物プランクトン処理効果
80μm以上(inds/m3)
 
表6 10μm≦80μm動物プランクトン処理効果
80μm未満−10μm以上(inds/ml)
 
 排出時において,10μm以上の動物プランクトンについては100%処理,植物プランクトンについては80μm以上で98.2%,10μm以上80μm未満で99.6%の処理効果が得られていた.条約の処理(排出)基準に指標種として含まれている病毒性コレラ菌,大腸菌及び腸球菌については,検出限界(N.D.)以下,又は航海中に検出限界以下までに減少してしまったため,実験対象とはならなかった.
 
表7 80μm植物プランクトン処理効果
80μm以上(inds/m3)
 
表8 10μm≦80μm物プランクトン処理効果
80μm未満−10μm以上(inds/ml)
 
 なお,入港船舶に外洋バラスト水交換を要求している米国ワシントン州魚類野生生物局のバラスト水問題の担当者が,シアトルにおける実験に立会い,その結果(ワシントン大学との共同分析),図11のとおり,当該プロトタイプ機(“Special Pipe”)は,同州の実施しているバラスト水処理技術暫定承認プログラムによって,洋上交換に代わる処理技術の一つとして認められた.これにより,一年間の実験継続が承認され,洋上交換されていないバラスト水でも,本プロトタイプ機で処理すれば,ワシントン州の水域において排出することが可能となった.
 
図10 性能向上陸上実験装置


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