c. 水中オキシダント濃度(オゾン換算)
表II.2.2-6には、処理水中のオキシダント濃度分析結果(3回計測平均)を示した。
この結果においても、ミキサーパイプ及び散気管というオゾン注入方法の違いによる、オキシダントの生成量に大きな差は見られない。
表II.2.2-6 |
処理水中のオキシダント濃度(mg/)分析結果(3回計測平均) |
試験ケース |
処理水タンク満水時の水中オキシダント濃度
(mg/) |
オゾン注入法 |
注入時のオゾン濃度 |
スリット部流速 |
ミキサーパイプ |
2.5mg/ |
30m/sec |
7.7 |
40m/sec |
5.2 |
散気管 |
2.5mg/ |
30m/sec |
6.6 |
40m/sec |
9.9 |
3.0mg/ |
40m/sec |
7.1 |
3.5mg/ |
40m/sec |
6.3 |
4.0mg/ |
40m/sec |
6.5 |
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0.3mm幅のスリット板+衝突板が装着された基本システムによる。
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d. 50μm以上の水生生物
表II.2.2-7には、50μm以上の水生生物に対する処理効果とIMO排出基準との比較を示し、図II.2.2-4(1)〜(6)には、50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率を示した。
処理5日後にIMO排出基準を達成したのは、散気管を用いてオゾンを濃度3.5mg/ で注入し、スリット部流速が40m/secのケースだけであった。
この結果は、オゾン注入方式として散気管を使用したとしても水生生物の殺滅性能を低下させることにはならず、むしろ高まる可能性があることを示したものである。一方、これまでの試験では、IMO排出基準を達成する要件は、スリット部流速30m/sec以上、注入オゾン濃度2.5mg/ であると考えていたが、本試験時のように海水温が高温(約25℃)の条件下では、オゾンの溶解率の低下及び分解能が速まることが要因となり、IMO排出基準達成が厳しくなることも明らかになった。この50μm以上の水生生物に対する結果からは、その要件は、スリット部流速40m/sec、注入オゾン濃度3.5mg/ となる。
表II.2.2-7 |
ハイブリッド第1世代の改良試験における50μm以上の水生生物に対する処理効果とIMO排出基準との比較(生物数/m3) |
試験ケース |
生物数/m3 |
オゾン注入法 |
注入時のオゾン濃度 |
スリット部流速 |
未処理水 |
処理直後 |
処理5日後 |
IMO
排出基準 |
ミキサーパイプ |
2.5mg/ |
30m/sec |
255,500 |
1,625 |
100 |
10未満 |
散気管 |
2.5mg/ |
30m/sec |
128,125 |
3,200 |
500 |
40m/sec |
73,925 |
700 |
138 |
3.0mg/ |
40m/sec |
564,800 |
- |
50 |
3.5mg/ |
30m/sec |
632,850 |
- |
38 |
40m/sec |
501,025 |
- |
ND |
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データは2回計測平均。“-”は実施していないことを示す。“ND”は検出されなかったことを表す。網掛けは、IMO排出基準達成を示す。
0.3mm幅のスリット板+衝突板が装着された基本システムによる。
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図II.2.2-4(1) |
ミキサーパイプ使用、注入時オゾン濃度2.5mg/、スリット部流速30m/secによる50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率 |
図II.2.2-4(2) |
散気管使用、注入時オゾン濃度2.5mg/、スリット部流速30m/secによる50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率 |
図II.2.2-4(3) |
散気管使用、注入時オゾン濃度2.5mg/、スリット部流速40m/secによる50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率 |
図II.2.2-4(4) |
散気管使用、注入時オゾン濃度3.0mg/、スリット部流速40m/secによる50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率 |
図II.2.2-4(5) |
散気管使用、注入時オゾン濃度3.5mg/、スリット部流速30m/secによる50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率 |
図II.2.2-4(6) |
散気管使用、注入時オゾン濃度3.5mg/、スリット部流速40m/secによる50μm以上の水生生物数変化及び殺滅率 |
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