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(4)試験結果
 オゾン注入方式としてエネルギーロスの無い散気管の可能性を検討した。その結果、散気管は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験で用いたミキサーパイプと同等のオゾン溶解能を取得できることを確認した。
 さらに、水生生物の処理(殺滅)効果の面では、むしろ散気管の方が優れている結果となった。よって、オゾン注入方式は、散気管を用いる方が適切であると判断された。
 一方、本試験は、水生生物量(有機物量)が多く、かつ水温が高い時期に実施したため、IMO排出基準を完全に達成するには、これまでに想定していたシステム作動要件を変更し、スリット部流速40m/sec、注入オゾン濃度3.5mg/が必要であることが明らかとなった。ただし、この要件が常時不可欠なわけではなく、多くの処理対象水の場合では、従来のスリット部流速30m/sec、注入オゾン濃度2.5mg/でもIMO排出基準を達成するものと考えられる。
 
(1)流量及び圧力等
 流量及び圧力等の計測結果は、表II.2.2-3の通りである。
 
表II.2.2-3 流量及び圧力等の計測結果
(拡大画面:23KB)
 
(2)水質等
 
a. 水中オゾン濃度
 表II.2.2-4及び図II.2.2-2には、処理水中の溶存オゾン濃度計測結果(2回計測平均)を示した。なお、図II.2.2-2には、ミキサーパイプを使用したハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験の結果も併せて図示した。
 ミキサーパイプを用いた試験ケースは、注入時のオゾン濃度が2.5mg/、スリット部流速が30 及び40m/secである。このときのスリット直後における水中オゾン濃度は、0.10及び0.16mg/であった。この結果に対して、同じ注入時のオゾン濃度及びスリット部流速における、散気管を使用した場合のスリット直後の水中オゾン濃度は、0.15及び0.18mg/であった。この結果は、オゾン注入方式としてエネルギーロスの無い散気管を用いても同様なオゾン溶解能を取得できることを意味している。
 なお、ミキサーパイプ及び散気管の使用による水中オゾン濃度に差がない理由として、圧力ポンプ及びスリットによる剪断力によるオゾン気泡の微細化、圧力ポンプからスリットまでの高圧力環境が作用したものと考えられる。
 
表II.2.2-4  処理水の溶存中オゾン濃度(mg/)計測結果(2回計測平均)
試験ケース スリット直後における水中オゾン濃度
(mg/
オゾン注入法 注入時のオゾン濃度 スリット部流速
ミキサーパイプ 2.5mg/ 30m/sec 0.10
40m/sec 0.16
散気管 2.5mg/ 30m/sec 0.15
40m/sec 0.18
3.0mg/ 30m/sec 0.16
40m/sec 0.33
3.5mg/ 30m/sec 0.20
40m/sec 0.36
4.0mg/ 40m/sec 0.37
データは2回計測平均。
0.3mm幅のスリット板+衝突板が装着された基本システムによる。
 
図II.2.2-2 処理水中の溶存オゾンン濃度(mg/)計測結果
注)6月実験:ミキサーパイプを用いたハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験の結果、データはいずれも2回計測の平均値。
 
b. 気相オゾン濃度
 表II.2.2-5には、処理水から脱気する気相オゾン濃度計測結果を示し、図II.2.2-3には、気相オゾン濃度の経時変化を示した。
 気相オゾンの計測結果からは、注入時のオゾン濃度及びスリット部流速が同じ条件であれば、ミキサーパイプ及び散気管による濃度の違いは認められない。この結果も、散気管が利用可能であることを裏付けるデータと言える。
 
表II.2.2-5  貯水タンク内処理水直上の気相オゾン濃度(ppm)計測結果
試験ケース 処理水タンク中の処理水面上の気相オゾン濃度(ppm)
オゾン注入法 注入時のオゾン濃度 スリット部流速 処理水満水直後(オゾン注入から95秒後) 処理水満水から5分後 処理水満水から30分後 処理水満水から1時間後
ミキサーパイプ 2.5mg/ 30m/sec 21.0 16.9 9.6 4.4
40m/sec 32.5 17.5 - -
散気管 2.5mg/ 30m/sec 19.5 13.2 4.9 2.1
40m/sec 41.0 18.8 2.2 0.7
3.0mg/ 40m/sec 86.0 55.0 - -
3.5mg/ 40m/sec 97.5 71.3 - -
4.0mg/ 40m/sec 90.0 75.0 - -
“-”は計測していないことを示す。
0.3mm幅のスリット板+衝突板が装着された基本システムによる。
 
図II.2.2-3  貯水タンク内処理水直上の気相オゾン濃度(ppm)経時変化
(拡大画面:17KB)


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