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2.2 スペシャルパイプ・ハイブリッドシステム第1世代の改良試験
 前項の試験において、ハイブリッドシステム第1世代のシステムでは、スリット部流速30m/sec以上、注入時オゾン濃度2.5mg/以上の条件で、IMO排出基準を満たす可能性が示された。
 しかし、現状のシステムにおけるオゾン注入部のエジェクターに使用したミキサーパイプは、複雑な構造をしており、それ自体に圧損が生じる等、実用性に課題がある。そこで、このような特殊なエジェクターを使用せずに同じ効果が得られるシステムにすべく改良試験を実施することにした。
 また、2005年7月のMEPC53においてG8ガイドラインが採択され、処理システム承認要件が確定した。この決定を受けて、本年度事業の目的である実船への搭載及び運用するための試作システムの設計に必要な情報取得も行うこととした。
 
(1)試験目的
 
 改良試験は、散気管によるオゾン注入方法の是非及びスリット部流速30m/secでもIMO排出基準を満たすことができるか否かを明確する等、試作システムの設計に資するデータ取得を目的とする。
 
(2)試験項目
 試験項目は、以下の7項目とした。なお、水生生物に関する項目は、IMO排出基準達成が困難な(6)50μm以上の水生生物及びバクテリア全体のIMO排出基準達成の目安となる(7)従属栄養細菌とした。
 
(1)流量計測
(2)スリットの上流及び下流の圧力計測
(3)水中オゾン濃度
(4)気相オゾン濃度
(5)水中オキシダント濃度
(6)50μm以上の水生生物
(7)従属栄養細菌
 
(3)試験方法
 
1)試験時期
 2005年8月24日〜9月3日
 
2)試験場所
 佐賀県伊万里市の臨海試験施設
 
3)試験方法
(1)試験システム
 図II.2.2-1には、ハイブリッド第1世代の改良試験システム図を示し、写真II.2.2-1には、使用した散気管を掲載した。
 システムは、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験のオゾンをスペシャルパイプの上流から注入した場合と同様である。ただし、試験は、オゾンの注入をミキサーパイプ及び散気管の2種類で行った。
 
図II.2.2-1 ハイブリッド第1世代の改良試験システム図
(拡大画面:18KB)
 
写真II.2.2-1  ハイブリッド第1世代の改良試験で使用した散気管
 
(2)試験ケース及び観測・分析項目
 表II.2.2-1には、ハイブリッド第1世代の改良試験における試験ケース及び観測・分析項目を示した。
 試験は、スリット幅0.3mmのスリット板と衝突板が装着されたスペシャルパイプを用いて実施した。
 試験ケースは、スリット部流速が30及び40m/sec、注入時のオゾン濃度が2.5〜4.0mg/、オゾン注入方式がミキサーパイプ及び散気管の2種類である。
 水生生物の分析は、処理直後とG8ガイドラインの陸上試験の要件に正式に規定された暗所保存の処理5日後とした。ただし、散気管による試験ケースのうち、注入時オゾン濃度3.0mg/の40m/sec、3.5mg/の30m/sec及び40m/secの試験では、処理5日後だけの試料で行った。
 
表II.2.2-1  ハイブリッド第1世代の改良試験における試験ケース及び観測・分析項目(○印)
試験ケース 観測・分析項目
オゾン注入法 注入時のオゾン濃度 スリット部流速 物理条件 水中オゾン濃度 気相オゾン濃度 水中オキシダント濃度 50μm以上の水生生物 従属栄養細菌
ミキサーパイプ 2.5mg/ 30m/sec
40m/sec
散気管 2.5mg/ 30m/sec
40m/sec
3.0mg/ 30m/sec
40m/sec
3.5mg/ 30m/sec
40m/sec
4.0mg/ 40m/sec
0.3mm幅のスリット板+衝突板が装着された基本システムによる。
 
(3)観測・分析項目及び方法
 表II.2.2-2には、ハイブリッド第1世代の改良試験における観測・分析項目及び方法概略を示した。
 観測・分析方法は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の方法で行ったが、その位置・頻度が項目により異なる。
 各項目の詳述は、以下に示す。
 
表II.2.2-2 改良試験における観測・分析項目及び方法概略
分類 観測・分析項目 観測・分析方法
物理条件 流量計測
圧力計測
流量計による計測
圧力計による計測
水質等 水中オゾン濃度
気相オゾン濃度
水中オキシダント濃度
吸光度計による計測
検知管法
ヨウ素滴定法
水生生物 50μm以上の水生生物
従属栄養細菌
顕微鏡下における計数
平板培養法
 
a. 流量及び圧力
 流量及び圧力計測は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の機器及び位置で行った。
 流量及び圧力計測は、全ての試験ケースで行った。
 
b. 水中オゾン濃度
 水中の溶存オゾン濃度計測は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の機器・方法により、スリット直後の位置で行った。
 水中の溶存オゾン濃度計測は、全ての試験ケースで行った。
 
c. 気相オゾン濃度
 気相オゾン濃度計測は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の機器・方法により行った。
 計測ケースは、貯水タンク満水直後及びその5分後は全てのケースで行い、30分及び1時間後は、散気管による2.5mg/の注入時及びミキサーパイプのスリット部流速30m/secで行った。
 
d. 水中オキシダント濃度(オゾン換算)
 水中オキシダント濃度(オゾン換算)分析は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の機器・方法で、処理水貯水タンク満水直後(オゾン注入から95秒後)に行った。
 水中オキシダント濃度分析は、全ての試験ケースで行った。
 
e. 50μm以上の水生生物
 50μm以上の水生生物分析は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の機器・方法により行った。
 
f. 従属栄養細菌
 従属栄養細菌の分析は、ハイブリッド第1世代の処理効果再検討試験と同様の機器・方法により行った。


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