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b. 気相オゾン濃度
 表II.2.1-13には、処理水から脱気する気相オゾン濃度計測結果(2回計測平均)を示し、図II.2.1-5には、気相オゾン濃度の変化を示した。
 気相オゾンは、スリットの下流部でオゾンを注入したケースでは、上流部で注入したケースよりも高濃度であった。この理由は、スリット下流から注入した場合には、オゾンの気泡が大きいため海水との反応が非効率で多くが脱気し、上流で注入した方がポンプやスリット部でオゾンの気泡が微細化されることで効率的に海水と反応するためと考えられる。すなわち、前記した水中の溶存オゾン計測結果と合わせて考えると、オゾンをスリット及びポンプの上流部で注入する方式は、オゾンを効果的に活用することが明らかになった。
 なお、12時間後には、オゾンの注入位置やスリット部流速に係わらず全て検出限界以下となった。
 
表II.2.1-13  貯水タンク内処理水直上の気相オゾン濃度(ppm)計測結果(2回計測平均)
注入時のオゾン濃度 2.5mg/
スリット部流速 40m/sec 30 m/sec
オゾン注入位置 スリットの上流 スリットの下流 スリットの上流
貯水タンク満水直後 92.5 460.0 35.0
  〃    30秒後 90.0 405.0 35.0
  〃    1分後 80.0 385.0 32.5
  〃    5分後 67.5 235.0 35.0
  〃    10分後 50.0 160.0 32.5
  〃    30分後 30.0 45.0 19.0
  〃    1時間後 4.4 25.3 9.0
  〃    3時間後 0.05 2.4 1.3
  〃    6時間後 ND 0.2 0.03
  〃    12時間後 ND ND
  〃    24時間後
データは2回計測平均。“ND”は検出されなかったことを表す。
ND以降の計測は行っていない。
 
図II.2.1-5  貯水タンク内処理水直上の気相オゾン濃度の変化
(拡大画面:14KB)
注:いずれも注入時のオゾン濃度は2.5mg/で3回計測の平均値を図示。
 
c. 水中オキシダント濃度
 表II.2.1-14には、処理水中のオキシダント濃度(オゾン換算)分析結果(3回計測平均)を示し、図II.2.1-6には、処理水中のオキシダント(オゾン換算)濃度の変化を示した。
 水中オキシダント濃度は、スリットの下流でオゾンを注入したケースで、計測当初から上流部でオゾンを注入したケースに比べ高濃度で検出された。しかし、いずれのケースも2日後(48時間45秒後)には、ほぼ未処理水(自然海水)のオキシダント濃度水準まで減少した。
 
表II.2.1-14  処理水中のオキシダント(オゾン換算)濃度(mg/)分析結果(3回計測平均)
注入時のオゾン濃度 2.5mg/
スリット部流速 40m/sec 30 m/sec
オゾン注入位置 スリットの上流 スリットの下流 スリットの上流
オゾン注入から45秒後 10.2 12.3 9.8
  〃    5分45秒後 10.8 12.8 9.8
  〃    10分45秒後 9.4 12.0 9.2
  〃    1時間45秒後 9.8 11.5 8.0
  〃    6時間45秒後 9.7 9.8 9.3
  〃    24時間45秒後 8.1 9.8 7.4
  〃    48時間45秒後 6.6 7.7 6.7
  〃    72時間45秒後 6.7 6.3 6.4
  〃    120時間45秒後 5.3 6.0 6.1
未処理水(自然海水) 6.7 7.5 6.4
データは3回計測平均。
 
図II.2.1-6  処理水中のオキシダント(オゾン換算)濃度の変化
(拡大画面:9KB)
注:いずれも注入時のオゾン濃度は2.5mg/で3回計測の平均値を図示。
 
d. 未処理水中の溶存有機炭素(DOC)
 オゾンの消費・分解に影響する溶存有機炭素は、1.1〜1.2mg/の範囲であった。
 
e. 未処理水中の粒子状有機炭素(POC)
 溶存有機炭素と同様に、オゾンの消費・分解に影響する粒子状有機炭素は、0.09〜0.24 mg/の範囲であった。この量は、溶存有機炭素の量に対し、10〜20%の割合である。
 
f. 未処理水中の浮遊物質(TSS)
 粒子状有機炭素を含む浮遊物質量は、3〜5 mg/の範囲にありほぼ安定していた。


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