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洋上救急マニュアル(第18版)

 事業名 基盤整備
 団体名 日本水難救済会  


洋上救急マニュアル(第18版)
平成17年7月
 
監修 海上保安庁警備救難部救難課
発行 日本水難救済会洋上救急センター
 
1 洋上救急体制整備の経緯
 社団法人日本水難救済会(以下「水難救済会」という。)は、海上安全船員教育審議会の建議に基づき、昭和60年10月1日から洋上救急事業を開始した。この洋上救急事業は、緊急に医師の加療を要する船舶上の傷病者に対する迅速な洋上救急往診を実現することにより、人命救助及び船員福祉の向上に寄与することを目的としている。
 従来、医師の洋上救急往診は、往診医師に万一事故が発生した場合に補償がないこと、往診が長時間に及ぶため代診医師の補充の必要等、医療機関がかなりの犠牲が強いられること等の問題があり、医師の確保が困難となっていた。このため、関係船員団体、船主団体等から、洋上救急体制の整備について強い要望があった。
 このような状況を背景に、海上安全船員教育審議会から、昭和59年12月3日、運輸大臣に対し、受益船主、船主団体、船員団体及び関係公益法人並びに関係官庁等が協力し、医師等の洋上への出動阻害要因の解消を図り、全国的な「洋上救急体制」を整備するよう建議が行われた。(資料−1参照)
 
(1)洋上救急体制の概要
 洋上救急体制においては、水難救済会が事業主体となり、関係法人等からの資金面の協力、医療機関の協力のもとに、海上保安庁の輸送力の活用等により、洋上の傷病船員に対して、医師・看護師(以下「医師等」という。)による救急往診を実施することとしております。このため水難救済会は同会に洋上救急センター(以下「センター本部」という。)を設けるとともに、全国10箇所に洋上救急センター地方支部(以下「センター支部」という。)を設置した。
 また、このセンター本部及びセンター支部の行う洋上救急業務を支援するため、センター本部及びセンター支部に対応して、海運関係者、水産関係者及び医療機関等の関係者で構成する洋上救急支援協議会が全国13箇所に設置されている。(資料−2、資料−3参照)
 
(2)洋上救急事業の主な内容
 洋上救急事業は、前記の建議に基づき実施されるものであり、その内容は、次のとおりです。
(1)洋上救急往診が必要な場合、水難救済会が船主等に代わり医療機関に対して洋上救急往診要請を行うこととし、医療機関に対する責任体制の明確化を図る。
(2)センター本部は、洋上救急往診に出動する医師等に対し、予め傷害保険を付保することにより、万一の際の補償対策をとる。
(3)水難救済会が受益船舶等から船主等負担金を徴収し、船員保険特別会計の援護金を加え、洋上救急往診に出動した医師等が所属する医療機関に対し、出動協力費を支払うことにより、医療機関の経済的負担の軽減を図る。
(4)水難救済会は、携帯用の簡易な医療器具等を用意することにより、出動医師の医療活動の便を図る。
(5)海上保安庁は、水難救済会と協力し、医師等の巡視船・航空機への体験同乗(慣熟訓練)を実施することにより、洋上への出動に対する危惧の解消を図る。
(6)海上保安庁は、出動医師等の輸送について、巡視船・航空機をもって協力する。
 
(3)洋上救急の仕組み
 傷病者発生船舶からの洋上救急往診要請に対する一般的な処理は、次のようになされる。(次の説明文と図−1「洋上救急の手順例」の番号を合わせて見て下さい。)
(1)洋上の船舶で傷病人が発生した場合は、通常、医療通信で医師の指示を受けていますが、医師の加療が必要な場合は、船主、代理店(以下「船主等」という。)を通じ、或は直接、海上保安機関または洋上救急センターに医師の洋上往診を要請します。
(2)要請を受けた海上保安機関または洋上救急センターは、協力医療機関と協議し、医師の洋上往診が必要であると判断された場合には、洋上救急センターは、直ちに協力医療機関に医師等の派遣を要請します。この要請は、海上保安機関が代行することがあります。
(3)協力医療機関が医師等の派遣を決定した場合、海上保安機関は、医師等を巡視船・航空機に乗せ、現場に急送します。同時に傷病者発生船舶は、海上保安機関の指示に従い会合地点に向かいます。
 (図−2「医師等出動から患者が病院に入院するまでの態様」参照、次号に同じ。)
(4)巡視船は、ヘリコプター等により傷病者発生船舶から傷病者を収容し、医師の応急措置を行いつつ、できるだけ早く陸上の医療機関に搬送します。
(5)洋上救急センターは、協力医療機関に出動協力費を支払います。また、船主等より負担金を徴収するなど必要な事後処理を行います。
(6)洋上救急支援協議会は、以下の事後処理を行います。
 
図−1 洋上救急の手順例
 
図−2 出動から患者が病院に入院する前までの態様
 
2 傷病者発生時の処理要領
 センター本部またはセンター支部は、傷病者発生船舶等から洋上救急往診申請を受けた場合には、原則として、自ら次により処理を行うものとする。
 なお、傷病者は昼夜を分かたず発生することから、各海上保安本部或いは海上保安部署(以下「海上保安部署」という。)の協力を得なければ、本事業の円滑な運営が困難な場合があるので、センター本部またはセンター支部は、海上保安部署と平素から綿密な連携をとるとともに、海上保安部署に代行してもらう場合の措置要領について明確な打ち合わせをしておくこと。
 
(1)船主負担金の支払いの確認等
 洋上救急往診の要請を受けた場合、センター本部またはセンター支部は、船主等に対して洋上救急体制の概要を説明するとともに船主等負担金の支払いの有無を確認し、これを海上保安部署に連絡する。
(1)船主等負担金は、出動医師の手当て、出動医師に代わって患者を診る代診費用、危険業務にあたるための費用で、病院に支払います。
(2)洋上救急を要請した船主等の出動負担費用(船主等負担金、税別)
・医師と看護師の2名(標準編成)で出動・・・1日 220,000円
・医師のみ2名で出動・・・1日 270,000円
・医師1名で出動・・・1日 170,000円
・医師2名と看護師1名で出動・・・1日 320,000円
(3)出動医師への加算支給額(上記編成に追加した場合)
・医師1名・・・1日 100,000円
(4)PI保険、漁船PI保険に加入している船舶が洋上救急を要請した場合の船主等負担金は、当該保険から離路費用の範囲で補填されることとなるので、実質上の経費負担は無くなります。
(5)深夜の21時以降に出動し、翌日03時までに帰院した場合は1日で請求します。
(6)船員保険加入者への援護金
 洋上救急の必要な傷病者本人が、我が国の船員保険に加入している時、船員保険から援護金が補助され、船主等負担金から減額されます。現在、50,950円が補助されています。
(7)事業協力金
 洋上救急活動を維持して行くために、事業協力金として1件当たり100,000円を負担して頂きますが、洋上救急事業に資金援助している次の団体等に加入している船舶は免除されます。
・日本船主協会
・大日本水産会・全漁連傘下各組合
・全日本海員組合
・官公庁船等
 
(2)医療機関に対する出動要請
 医療機関に出動要請を行う必要がある場合、センター本部またはセンター支部は、海上保安部署が医師等の出動要否について総合的判断を行うこととしているので、海上保安部署の指導を受けて行うこと。
 なお、出動要請を行う際には、海上保安部署と連絡のうえ、次の事項を通知又は確認すること。
(1)乗船又は搭乗場所、時刻
(2)概略の救助計画、帰着までの所要時間
(3)携帯医療器具の巡視船・航空機への積載の有無
(4)乗船又は搭乗場所までの交通手段
注:1 原則としてタクシーを使用する。費用は医師等に立替払いをしてもらい、事後センター本部から支払う。(可能な限り領収書を徴してもらうこと。)
注:2 自家用車、病院等を使用する場合は、経路のキロ数により次の算式によりガソリン代を算出し、事後センター本部から支払う。
経路のキロ数/6km×150円=所要額(10円未満切上げ)
(5)出動医師、看護師の氏名、年令
(6)船内又は機内での活動や保温上適当と思料される服装(帽子、衣服、靴)の勧奨
 
(3)保険関係の確認等
(1)センター支部は、医師等の出動要請を行った場合は、医師及び看護師の氏名及び所属医療機関をセンター本部に可及的速やかに通報する。
(2)センター本部は、全国の出動した医師、看護師の氏名及び所属の医療機関を記録するとともに、当月分を取り纏め契約保険会社に傷害保険移動承認請求書を提出し、所要の保険料を支払う。
 
(4)洋上救急往診終了後の事務処理
 洋上救急往診終了後の事務処理は、センター本部またはセンター支部が、水難救済会の定めた事務処理要領に基づき実施すること。
(1)出動協力費の医療機関への支払事務・・・出動協力費等に関する事務処理要領
(2)船主等負担金の徴収事務・・・出動協力費等に関する事務処理要領
(3)船員保険特別会計からの援護金に関する社会保険庁への手続き事務・・・社会保険庁の定めるところによる。
(4)出動医師・看護師に関する災害補償事務・・・災害補償に関する事務処理要領


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更新日: 2020年10月24日

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