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6 参考資料
資料−1 建議関係
1 建議
海安教審 第13号
昭和59年12月3日
運輸大臣 山下徳夫 殿
海上安全船員教育審議会
会長 地田知平
 
洋上救急体制の整備について(建議)
 
 船舶上における傷病船員からの救急診療要請に対し、医師の確保が困難である現状に鑑み、本審議会は、その対策等について審議した結果、下記のとおり結論を得たので建議する。
1. わが国周辺海域における洋上救急診療要講事案は年間数十件程度と見込まれるが、人命救助と船員福祉の観点から、早急に何等かの対策を講ずる必要がある。
2. 従って、受益船主、船主団体、船員団体及び関係公益法人並びに関係官公庁等が協力し、医師等の洋上への出動阻害要因の解消を図り、洋上における救急業務の円滑な実施を目的とする全国的な「洋上救急体制」の整備に努めること。
3. 体制の整備に当たっては、海上保安庁等の船艇・航空機による救急搬送能力を活用する方向で検討すること。
 
付録
海上安全船員教育審議会海上安全部会構成
―― 委員 ――
部会長 野村一彦 海事国際協力センター理事長
朝川五郎 大日本水産会
荒木善之 日本パイロット協会副会長
岩井 聡 東京商船大学教授
内田 守 日本海事協会副会長
岡部 保 日本港湾協会会長
川島 裕 日本船長協会会長
川村 赳 全日本海員組合副組合長
木元教子 放送キャスター
熊谷 清 日本船主協会会長
篠原 宏 朝日新聞社調査研究室嘱託
鈴木 勲 石油連盟理事
谷 初蔵 東京商船大学名誉教授
地田知平 青山学院大学教授
土屋研一 日本海難防止協会副会長
浜崎礼三 全国漁業協同組合連合会常務理事
平本文男 東海大学教授
船谷近夫 海上保安協会理事長
三木友輔 日本内航海運組合総連合会会長
宮原九一 中央漁業操業安全協会理事長
柳沢 厚 海難審判協会理事長
山崎 城 日本旅客船協会副会長
 
―― 特別委員 ――
谷川 久 成蹊大学教授
 
2 海上安全部会の了承した体制整備案
1. 体制の概要
イ 日本水難救済会本部(社団法人)内に「洋上救急センター」を設け、洋上救急事業の推進母体(中央事務局)として機能させるとともに、日本水難救済会関係地方支部等を同センターの地方支部とする。
ロ 洋上救急センター地方支部は、関係海上保安部署と協力して「地区洋上救急支援協議会」の設立に努め、設立後は、その事務局を兼ねる。
ハ 地区洋上救急支援協議会(任意団体)の設立場所は、当面ヘリコプター搭載型巡視船の配属地である釧路、函館、塩釜、横浜、福岡、鹿児島を目標とし、宮城県及び岩手県の「洋上救急支援協議会」は、そのままの形で「○○地区洋上救急支援協議会」に移行する方向で検討する。
 
2. 主要業務
イ 洋上救急センターは、次の業務を行う。
(イ)所要資金の調達
(ロ)地区洋上救急支援協議会の往診可能医師、看護婦の登録
(ハ)登録医師等の保健加入手続
(ニ)各地区の洋上救急支援協議会との連絡調整
(ホ)医師等への往診要請と、巡視船等へ出動要請
(ヘ)所要経費の支払い
(ト)船主分担金の集金
(チ)登録医師等のヘリコプター搭載巡視船による慣熟訓練(地区洋上救急支援協議会との共催)
(リ)協議会整備の促進作業、受益船主等の洋上救急関係諸作業への援助、その他洋上救急事業に必要な業務
 
ロ 地区洋上救急支援協議会は地方自治体関係者、海運水産関係者、海上保安関係者、洋上往診に応じ得る医師、看護婦等の会員により構成され、次の業務を行う。
(イ)洋上救急センターの行う業務の援助
(ロ)協議会会員相互及び洋上救急センター、海上保安機関等との連絡、調整、親睦
(ハ)洋上救急センター登録医師、看護婦等のヘリコプター搭載型巡視船による慣熟訓練
(ニ)その他協議会の目的達成に必要な業務
 
3. 体制の整備
イ 前記洋上救急体制は、受益船主、船主団体、医療関係団体及び関係公益法人並びに関係官庁の協力を前提としたものであるので、その整備及び維持にあたっては、相互に密接な協力が必要である。
 このため、事業開始に先立ち、必要に応じ関係機関間(洋上救急センター、地区洋上救急支援協議会、日本船主協会等関係船主団体、日本海員掖済会、船員保険会、日本赤十字社等の関係機関等)の協定等の締結を行う。
ロ 体制の整備の目途は、諸準備を勘案すれば、昭和60年10月が適当と考えられる。


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