平成十七年度夏季吟道大学
日時:七月二十三日(土)〜七月二十四日(日)
場所:湘南国際村センター・国際会議場
主催:財団法人日本吟剣詩舞振興会
湘南の地に、吟剣詩舞道の真髄を学ぶ
湘南国際村センター(神奈川県逗子市)に場所を移して開かれる夏季吟道大学も、今年で三回目。日本全国から受講生一三七名の方々が集まり湘南の地で一泊二日の課業が行なわれました。
七月二十三日(土)
平成十三年度までは本栖湖のモーターボート研修所において二泊三日で行なわれていた夏季吟道大学でしたが、湘南国際村センターに場所を移して三回目。期間も一泊二日と短縮された形となりましたが、徒来からの「礼と節」を重んじる受講精神と、充実した内容のカリキュラムに変わりはありませんでした。
緊張した面持ちの受講生が国際会議場に集合するなか、矢萩保三事務局長の事務局通達、工藤龍堂専務理事の「開講のことば」とつづき、河田和良財団会長が挨拶に立ちました。笹川良一創始会長のお言葉「吟剣詩舞は魂に栄養を与える芸道」を引用され、吟剣詩舞の重要性を語られました。「受講生誓いのことば」では亀井寥風第一班々長が「吟剣詩舞道の真髄を学ぶためにがんばります」と力強く宣言。「受講生記念合吟(桂林荘雑詠その一)」は巽吟城第二班副班長が先導して、皆さん堂々と吟じられていました。
「学長あいさつ」を述べる河田和良会長
午後一時から河田和良財団会長による「吟剣詩舞道憲章の精神」の一時限目の課業が始まりました。国家に憲法があるように、吟剣詩舞道憲章は財団の精神性を表す最も重要なもの。その憲章を、河田和良財団会長と受講生の皆さんが大きな声で読み合わせ、吟剣詩舞道の精神を胸に刻み込んでいました。
二時限目は工藤龍堂専務理事による「財団の組織運営と指導者の役割」。終戦後の日本の状況を踏まえながら、財団の始まりから今日までの経緯を解説されました。指導者の役割としては伝統の継承を力説されていました。
三時限目は鈴木吟亮財団副会長による「審査規定の解説とコンクール審査の実態」でした。鈴木吟亮財団副会長ご自身は夏季吟道大学の第一回受講生で、その時のことを思い出すように講義されている姿が印象的でした。
四時限目は「放送キャスター」として著名な押阪忍先生が、今の日本語のおかしな使い方を面白おかしく話されました。例えば、若者の間では「めし食う?→食う!→どこ?→あそこ!→OK!」で会話が成立してしまう携帯(電話)会話や、「食事とかしにいったら、ケーキとか頼んで、食べて、コーヒーとかも頼んだの」など、なんにでも「とか」を付けて話す話し言葉など、いまの言葉には語感がないと嘆かれていました。そうした現状を正すには、慣用句などを使い慣れている中高年の方々が、言葉の使い方を教えるべきではないかと語られていました。
五時限目は演出家の石川健次郎先生による「吟詠家の舞台動作」。吟詠家もただ吟じれば良いというのではなく、より芸術性の高い吟詠を求めるならば、見せる吟詠というものをもっと研究すべきと話されました。
課業の締めくくりは、明日の意見交換会に提出するための意見を討議する班別座談会が行われ、「吟詠の普及振興をめぐって」という議題について、夜遅くまで皆さん真剣に話し合われていました。
七月二十四日(日)
湘南国際村センターに変わってからは行なわれていなかった、夏季吟道大学の名物である朝の「点呼」と「とり舟体操」が復活。受講生は大きな声を出して点呼を取っていました。また、点呼の後は、健康増進はもとより、腹筋の鍛錬によいとされている笹川良一創始会長発案の「とり舟体操」に汗を流していました。
矢萩保三事務局長の司会進行で始まった六時限目の「意見交換会」は、昨夜話された意見が各班の代表から発表されました。一班は「幼少年から吟詠を始めてもらうには、祖父母が教えたり、学校教育(幼稚園・保育園)を通して吟を見せ聞かせたりすることが必要」「吟詠を広めるなら指導者自身が自分の吟の向上を図る」などが話されました。二班は「ボランティアの課外授業として小学校の授業に取り入れてもらう」「子供たちだけの時間をとり、楽しく学ばせる」などが、三班は「子供が興味を持つ吟詠の教本作りができないか(絵本など)」「幼少年部の吟題を青年の部と切り離して考えられないか」などが発表され、四班は「定年後の方たちにも積極的に勧誘する」「吟詠を楽しく学ぶためには、旅行や合宿などを行なっては」「幼少年にはわかりやすい文章で吟詠を行なう」「若者層にはインターネツトで情報を流す」「新しい教室(吟詠を広めるための拠点)をもっと作る」など、五班は「公民館活動を地道に続けてきて、一五〇名増員した人がいる」「俳句甲子園(高校生による俳句の全国大会)などで俳句が活性化してきたのと同様に、吟詠も何かできるはず」などが、、六班は「個別に粘り強く勧誘に取り組む」「町の広報誌に載せてもらう」「流会派の発表会を会員だけでなく、一般に向けた外向きなものにする」「地区予選までのコンクールの衣装は普段着でもいいのでは」などが発表されました。皆さん、吟詠を広めるためには、どうすればよいのかを真剣に考えていることがひしひしと感じられました。
七時限目は作曲家舩川利夫先生による、吟詠の発声法と研修吟詠が行なわれました。まず、吟詠の発声法では、吟題によって吟じ方も変えることが大切で、例えば江戸風の発声と関西風の発声を組み合わせてみるなど、実践的な講義が続きました。また、研修吟詠では舩川先生の厳しさのなかにユーモアあふれる的確な指導に、受講生の方々も笑いを交えながらも四苦八苦。普段は指導者としてご活躍の皆さんも、この時ばかりは一受講生となって真剣な面持ちで指導を受けられていました。
すべての課業が終了すると、受講生の皆さんに修了証書が渡され、武田香風第三班々長が「受講生感謝のことば」を述べ、一泊二日の夏季吟道大学も無事終了することができました。ここで学んだこと、ここで知り合った仲間、それらはきっと、一生を通じての思い出となることでしょう。
受講生誓いのことば
亀井寥風さん(第一班々長)
「バスの中で急に指名されましたので緊張しましたが、何とかできたと思います。また、ここで学んだことを流派に持ち帰り、皆さんにしっかり伝えていきたいと思います」
受講生感謝のことば
武田香風さん(第三班々長)
「指名されて光栄に思います。ここにいる方々は、皆さん立派な方たちなので、気後れする部分もありましたが、しっかり学んで帰りたいと思います」
平成17年度 夏季吟道大学 受講者一覧
氏名 |
流会派 |
亀井 寥風 |
神心流尚道館総本部 |
児島 節風 |
麗風会本部 |
久保 萌心 |
心洲流 |
中川 緑洋 |
緑崇流吟道緑水吟詠会 |
柴野 白秀 |
深谷吟詠会 |
白幡 紫香 |
清香流大栄吟詠会 |
中俣鴻中子 |
吟道鴻成流 |
光銭 鳳朱 |
北海道詩吟連盟 |
合田 正眼 |
吟剣詩舞正親流平安研心館 |
秋宗 岳郁 |
日本詩吟学院岳風会 |
川上 政風 |
高知岳風会 |
内藤 奉悠 |
奉観流詩吟道 |
長谷川芳泉 |
吟道清泉流清泉会 |
野地 蕗風 |
陽風流吟道陽風会 |
増田 山 |
水真流山陽吟詠会 |
柳澤 紅山 |
岳精流日本吟院砂子岳精会 |
堀内 芳慧 |
関西吟詩青葉支部 |
古謝 將山 |
正山流 |
木村 健風 |
新潟県岳星会 |
高橋 吟凰 |
吟亮流吟風会 |
藍田 麗月 |
清吟堂吟友会 |
佐瀬 八舟 |
報国吟社総本部 |
庄子 輝泉 |
大輪神刀流 |
佐々木峯惇 |
峯麗流吟詠会 |
巽 吟城 |
礒部流吟道清明会 |
土田 伸水 |
小府流阿見詩吟会 |
麻生 義霊 |
淡窓伝光霊流 |
藤井 國馨 |
日本吟心流詩吟國舟会 |
吉田 鴛山 |
雪山流吟詠会 |
中條 仙舟 |
吟道紘仙流祥誠会 |
西岡 緑春 |
緑崇流吟道緑水吟詠会 |
矢野 鳳月 |
北海道詩吟連盟春鈴鈴鳳会 |
野中 嘉瑞 |
瑞祥流吟詠会 |
亀山 尚 |
三王流吟詩道大和会 |
篠原 脇泉 |
哲泉流日本吟詠協会 |
内藤 龍淨 |
岳精流日本吟院三河岳精会 |
福田賀穂陽 |
吟道賀堂会 |
浅田 聖謙 |
聖風流総本部 |
田村 煌泉 |
哲泉流日本吟詠協会 |
河井 心閃 |
心彰流伊勢崎吟詠会 |
大森 龍翠 |
岳精流日本吟院井田岳精会 |
松江 豊穂 |
関西吟詩文化協会 |
澤上 吟棹 |
天山流吟 会 |
植野 虎泉 |
哲泉流日本吟詠協会 |
松島 鶴清 |
吟道鶴州流大竹吟詠会 |
武田 香風 |
明峰岳風会 |
和田 瑞鵬 |
朝翠流朝詠会 |
尾崎 英岳 |
日本詩吟学院岳陽会 |
内藤 源鵬 |
朝翠流朝道吟詠会 |
藤村 鳳粘 |
瑞鳳流日本吟詠会 |
甲斐光櫻子 |
淡窓伝光霊流 |
中島賀黄蘭 |
吟道賀堂流近畿本部 |
畠山 滄雄 |
東滄流岳南吟詠会 |
清水 煌風 |
兵庫東播岳風会 |
志小田瑞尚 |
瑞祥流 |
室 芳絹 |
関心流初香山吟詩会 |
井上 霊 |
淡窓伝光霊流 |
水谷 城洲 |
天洲流吟詠会 |
倉本月華城 |
賀城流広島吟詠会 |
山中 星洋 |
北海道詩吟連盟 |
多田 黛泉 |
哲泉流日本吟詠協会 |
石井 桃苑 |
詩吟洌風流鷺苑会 |
小野 京風 |
吟道館流上武吟詠会 |
後藤 盈風 |
翠風流朗詠道総本部 |
前田 卓霊 |
淡窓伝光霊流 |
高地 芳洲 |
聖風流吟道会 |
伊井野踪風 |
吟道翔風流日本吟翔会 |
小嶋 東鴒 |
東道流吟道陽春白雪会 |
清宮 吟照 |
吟亮流吟風会 |
猪木原 泉 |
哲泉流日本吟詠協会 |
奥野 仰洲 |
関心流日本興道吟詩会 |
沼田 義霊 |
淡窓伝光霊流 |
林 景華 |
関西吟詩文化協会景昶会 |
秋山 槐堂 |
詩吟洌風流 |
谷口 鶴煌 |
岡山県鶴山吟友会 |
永冶 繁風 |
八雲流八雲吟詠会 |
遠藤 碧水 |
飛翔流 |
東田 鶯洲 |
峯鶯流石洲吟詠会 |
吉倉 興晞 |
興国流詩舞道会金港吟詠会 |
野原光珠子 |
淡窓伝光霊流 |
加藤 契琵 |
契秀流吟詠会 |
森島 麗清 |
清耀流玄真会 |
山本 啓粋 |
墨粋流富士吟詠会 |
渡辺 秀翔 |
吟道秀明会 |
田原 荘洲 |
至善流大洲吟詠会 |
鈴木鴻珠子 |
吟道鴻成流 |
松森 和山 |
水真流呉吟詠会 |
塚本 峰将 |
吟道清峰流猶興吟詠会 |
藤城 宗丈 |
吟道裕丈流 |
井上 鳳獅 |
吟詠大獅子吼流 |
多田 紫匂 |
紫洲流日本明吟会総本部 |
森 慧洲 |
関心流日本興道吟詩会 |
山岡 桜山 |
吟道哲山流興風吟詠会 |
三浦 喨泉 |
哲泉流日本吟詠協会 |
蔵原 興光 |
興國流吟詠詩舞道会 |
野村 禎山 |
詩歌朗詠清香吟社 |
長谷川岳精 |
岳水流吟詠会 |
工藤 光玉 |
光峰流周防地区連合会 |
石村 凛城 |
礒部流吟道清明会 |
井手 麗煕 |
清吟堂吟友会 |
牧 蘇憲 |
詩歌吟詠道蘇山流 |
藤井 瑞珠 |
瑞祥流瑞珠会 |
篠田光冽子 |
淡窓伝光霊流 |
今村 紫長 |
紫洲流日本明吟会 |
網野 鳴滉 |
嚶鳴流吟剣詩舞道会 |
岩川 鶯妙 |
日本吟詠連盟 |
樫本 旺山 |
岡山県鶴山吟友会 |
金営 瑛峰 |
秀峰堂吟剣詩舞会 |
辰村 芳蘭 |
関心流日本興道吟詩会 |
神林 秀洲 |
聖風流吟道会 |
大野 師 |
三王流吟詩道大和会 |
脇坂 津風 |
岳精流日本吟院六郷岳精会 |
濱田 玉風 |
真道流尚武館総本部 |
斎藤 翠玉 |
翠穂流洗心吟詠会 |
松本 緑扇 |
関西吟詩文化協会 |
今村 契鉅 |
契秀流吟詠会 |
佐藤 真道 |
吟道旭真流真秋吟詠会 |
奥谷 昌山 |
岳風流宝吟道会 |
安井 鶴嶺 |
岡山県鶴山吟友会 |
鈴木 秋山 |
秋月流秋月会 |
小川 虹風 |
神心流尚道館 |
長谷川興倚 |
興國流吟詠詩舞道会 |
宮本 廣岳 |
長崎岳鐘会 |
宇井 修光 |
日本修道流 |
林 英風 |
富山県壮吟会 |
岡田 容映 |
関西吟詩文化協会 |
永井 路峰 |
北辰神桜流桜聖吟詠会 |
師岡 祐愛 |
日本詩吟祐窓流吟道会 |
中村 秀理 |
吟道秀明会 |
能勢 暁文 |
紫暁流日本吟奨会 |
坂本光恵子 |
淡窓伝光霊流 |
青木 照洸 |
近代詩吟照風流照洸吟詠会 |
香川 麗鳳 |
清吟堂吟友会 |
斎藤 吼章 |
吼山流詩吟道吼龍連合会 |
山口 良風 |
光風流山陽吟詠会 |
盆子 桜岳 |
東新岳風会 |
下河邊佳景 |
詩歌吟詠景心流六映会 |
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