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吟剣詩舞の若人に聞く[第74回]《特別編》
高江洲真美さん
 
野地高史くん
 
坂本美和さん
 
高江洲真美さん:吟詠・詩舞(十二歳)神奈川県川崎市在住
師(吟詠):星野洲虹さん(紫虹流)
師(詩舞):星野静さん(静山流)
野地高史くん:吟詠(十三歳)神奈川県足柄郡在住
師:杉山陽風さん(陽風流)
坂本美和さん:剣舞(二十三歳)神奈川県横浜市在住
師:村本誠鳳(誠鳳流)
若人の中に息づく、日本の伝統、日本の心
 若くして日本の伝統文化、吟剣詩舞と触れている若人三人。高江洲さん、野地くん、坂本さん、それぞれの吟剣詩舞に対する考えや思いをお聞きしました。
(神奈川県吟剣詩舞道総連盟主催、平成十七年度青少年発表大会会場にて収録)
 
――皆さんは吟剣詩舞の何を習っているのですか?
野地「僕は吟詠です」
坂本「私は剣舞を習っています」
高江洲「吟と詩舞を習っています」
――野地くんは、何歳から吟詠を始めましたか?
野地「六歳ごろから始めました。祖母や母がずっと吟詠をしており、兄と妹も始めたので、僕も興味を持ち習うようになりました」
――坂本さんは、何歳から始めましたか?
坂本「二十歳をきっかけに、私自身何か習い事をしたいと思いはじめました。そんな折、祖母から剣舞を習ったらどうかしら、とさりげなく勧められたのです」(笑)
――勧められて、いかがでしたか?
坂本「剣舞って何ですか?という感じでした(笑)。でも、私の家系は武家の出身なので、剣舞を始めればご先祖様も喜ぶのではないかと思いました(爆笑)。それと、高校のときにアメリカに留学していまして、ある日、アメリカの友人から何かやってといわれましたが、私には「折り紙」とか「綾取り」くらいしかできませんでした。もし剣舞ができれば、その時演じてあげられたのにと思いました。また、日本人なので日本の伝統文化を引き継ぎたいという気持ちもあり、剣舞を始めました」
――高江洲さんはいくつから始めましたか?
高江洲「六歳か七歳くらいから始めました」
――始めた理由は何ですか?
高江洲「いま習っている先生の家が近くにあり、先生が喫茶店をされていて、小さなころからお爺さんやお婆さんと一緒に行っているうちに、やってみないかと言われて始めました」
――始めに習ったのは何ですか?
高江洲「詩舞ですが、今度、吟詠のコンクールがあるからやってみないかと言われて、二ヶ月ほど習ってコンクールに出たのが吟詠の始まりです」
――習いだした時の印象はどうでしたか?
高江洲「姉も私もバレーを習っていたのですが、それとはぜんぜん違い、不思議な感じがしました。和服も今までは七五三ぐらいにしか着ませんでしたし(笑)、詩舞を習っても驚くことばかりで、変な感じでした」
――野地くんの年齢で吟詠を習うのは珍しくない?
野地「同年代で習っている人は少ないので、珍しがられます(笑)。でも、僕としては吟詠をしていると日常生活の中で役立つ、例えば、学校の授業で発音するときにしっかり発音できたり、音楽など音に関係するものが良くできたりしますから、良いと思っています」
――練習はどんなことから始めましたか?
野地「発声練習からでしたが、それまでは大きな声を出したことがなくて恥ずかしかったです」(笑)
――練習が嫌になることはありますか?
野地「あります(爆笑)。学校の部活ではバレーボール部のレギュラーなので、試合に出てチームのために働きたいのですが、うまく両立できないとき、部活の試合を休んでしまうので、そんな時は残念に思います」
――坂本さんは剣舞に対してどんな印象をもちましたか?
坂本「剣舞は、カッコいいという印象がありました」(笑)
 
本番前の慌ただしい中、にこやかにインタビューに応えてくれた写真左より高江洲真美さん、坂本美和さん、野地高史くん
 
――練習を始めて難しいと思ったことは何ですか?
坂本「吟に合わせて舞うことです。吟自体も聞いたことがありませんから、吟を覚えるのが大変でした」(笑)
――舞うことに難しさはありませんでしたか?
坂本「私は楽しんで舞っているのですが(笑)、先生から腰を下ろしなさいとか、膝を伸ばしなさいとか、今でも基本的なことを注意されます。私自身、まだ難しいと思うレベルに行ってないのでしょうね(笑)。これから難しさを感じると思います」
――高江洲さんが大変と思うことはなに?
高江洲「最初は何もわからなかったので、難しさを感じませんでしたが、最近は同じ流派で全国優勝された荒崎春奈さんのように上手くなりたくてまねをしたら大変で、吟詠の難しさを感じています」
――先生に注意されることはありますか?
高江洲「吟詠はもう少し大人らしく吟じて、詩舞では基本をしっかり身に付けるようにと言われています」
――吟と詩舞ではどちらが好きですか?
高江洲「はじめは吟でしたが、最近では吟詠も詩舞も同じくらい好きです。というのも、吟詠のほうがコンクールに出て成績が良かったからです(爆笑)。吟詠はこれまで六回東日本大会へ出ています。でも今年、詩舞で全国大会へ出ます」
――他の皆さんも、コンクールに出たことがありますか?
野地「中学生になったときにコンクールに出て、東日本大会まで行きました」
坂本「昨年から出るようになり、県大会青年の部で優勝し、東日本大会に出ました」
――コンクールに出た感想はありますか?
野地「知らない人と競うのは緊張しないのですが、知っている人がいると緊張します」
坂本「普通の発表会などとは雰囲気も違い、皆さん真剣で、舞い方もそれぞれ違いますから、いい勉強になると同時に緊張もしました。コンクールは私にとって必要なことのひとつです」
――吟剣詩舞を習って、良かったことは何でしょうか?
野地「先ほど言った発声のことです」
坂本「友達に剣舞を習っているというと、興味を持ってくれることです」
――野地くんはどう?
野地「去年から、興味を持って吟を聞いてくれた友達が、おじいさんの勧めも会って、吟詠を習ってくれるようになりました」
坂本「私も友達が二人ほど、教場を見たいといっている人がいますから、こんど強引に連れて行こうかと思っています」(笑)
――最後になりますが、これからの抱負などがありましたら、お願いします。
野地「大会などで、いい成績を残すようにがんばります」
坂本「大きな夢ですが、アメリカに友達がいますから、彼らを通して日本の伝統文化、剣舞を世界に広めたいと思っています」
高江洲「優勝したり、武道館で吟じたり舞ったりしたいです」
――本日はインタビューに答えていただき、ありがとうございます。夢がかなうよう、これからもがんばってください。


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