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第1章 日本三津の総路「坊津」と薩摩の諸港
 九州島の西南端、日本本土の南玄関口という、海上交通上の要衝に位置する坊津は、東アジアの海を行き交う船舶が集まる要港として、国内外にその名を知られました。
 
1. 日本三津
 中国の明時代に書かれた『武備志』には、商船が集まる日本の港として、薩摩「坊津」、筑前「花旭塔(博多)津」、伊勢「洞(安濃)津」の3つの港が挙げられています。筑前「博多津」は現在の福岡県福岡市、伊勢「安濃津」は現在の三重県津市にあたります。往時の坊津が日本の南玄関口の要港として、その名を広く知られていたことがわかります。
 
『武備志』
(パネル展示:原資料 独立行政法人国立公文書館蔵)
 
 また、『武備志』に描かれた南九州付近の地図をみると、「坊津港・泊津港・久志港・秋目港」が大きく記載されており、坊津諸港に対する中国側の関心の高さがうかがわれます。大まかな形状で表現される他地域に比べ、坊津諸港が入り組んだリアス式の海岸線でしっかりと表現されている点からは、坊津諸港地域に関する地理情報の豊富さが見て取れます。
 
『武備志』「日本圖」南九州・南西諸島部分
(パネル展示:原資料 独立行政法人国立公文書館蔵)


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