4.2 台風9918号事例による詳細な検証(T9918について)
(1)波浪推算、高潮推算で与えた海上風
従来モデルにより推算した海上風を図4.4(1)に、数値予報モデルにより推算した海上風を図4.4(2)に示す。従来モデルにより推算した海上風は、周防灘では9月24日8時頃最も強く、周防灘東部では広い海域で風速24から30m/sの南風が出現している。一方、数値予報モデルにより推算した海上風は、周防灘では9月24日8時頃周防灘の大部分の海域で風速33m/s以上で、風速36m/s以上の強風域も出現し、風向は豊予海峡から周防灘西部へ海域に沿う向きになっている。
図4.4(1)周防灘における海上風(従来モデル)
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図4.4(2)周防灘における海上風(数値予報モデル)
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(2)波浪推算結果
従来モデルにより推算した海上風を入力として波浪場を推算した。波高分布結果を図4.5(1)に示す。1999年9月24日5時頃から高波浪域が豊予海峡から周防灘に進入し、8時から9時に徳山沖で波高は4m以上に達する。一方、周防灘西方(苅田)では波高は概ね2m前後である。
図4.5(1)従来モデルの海上風を用いた波浪推算結果(T9918号)
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数値予報モデルにより推算した海上風を入力として波浪場を推算した。波高分布結果を図4.5(2)に示す。豊予海峡から周防灘に進入する波浪は、1999年9月24日5時頃から波高2mを超え、10時には徳山沖まで5m以上に達する。また強い東風により周防灘西方(苅田)でも、8時から9時の波高は3mを超える。
図4.5(2)数値予報モデルの海上風を用いた波浪推算結果(T9918号)
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周防灘では苅田において波浪観測が実施されている(水深 -9m)。苅田における波高および周期の経時変化を図4.6(1)、(2)に示す。従来モデルの海上風を入力とした場合(1)の推算結果は24日6、8時(ピーク時)に2m程度で観測値と比較して過小評価となっている。一方、数値予報モデルの海上風を入力とした場合(2)の推算結果は24日8時に波高約3.4m、周期約8秒と観測値の最大値を概ね再現した。周防灘を東から西へ向かう強風の再現性が向上したためであると考えられる。
図4.6(1)推算値と実測値の経時変化図(従来モデル)
図4.6(2)推算値と実測値の経時変化図(数値予報モデル)
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