日本財団 図書館


●6月12日 色丹北西岸 大崎近辺
 
○潜水1 ゼニガタ上陸場前
北緯 43°48′44.0"
東経 146°35′56.6"
 
 前日と同じ場所で潜水。ゼニガタアザラシの親子とパップ(当歳獣)が岩場に上陸。観察者の接近に驚いて海に逃げ込んでしまった。波打ち際の岩場も起伏に富んでいて、岩と岩のすき間を抜けながらアザラシは沖へと逃げていった(写真14)。
 
写真14
 
 ハナサキガニを数個体観察することができた。そのうち一個体は、エゾバフンウニをはさみではさんでいた(写真15)。捕食するまでの観察にはいたらなかったが、その可能性は期待できうると考える。
 
写真15
 
【考察】
 今回、潜水観察をした地点は、いずれの海中もアイヌワカメ、スジメ、ナガコンブ、オニコンブ、ホンダワラなどの海藻が海底一面を覆い尽くすように繁茂していた。
 それぞれの調査ポイントで卓越する海藻が異なり、例えば色丹島大島東岸は厚岸大黒島、えりも岬、同島南岸は知床半島羅臼の海中を彷彿させた。
 これまで個人的にゼニガタアザラシの生息地の海中を観察してきた結果から、彼らが好んで選択している上陸場周囲の海底地形は、ところどころに岩の暗礁が点在する起伏に富んだ海藻藻場だと予測していた。このように起伏に富み海藻が繁茂する立体的な海底地形は、ゼニガタアザラシにとって格好の隠れ場所、そして餌生物であるタコ類、魚類などの生息環境として適当であると考えられるからである。
 色丹島大崎には、まさしくそのような海底が広がっていたが、色丹島大島東岸、南岸、ハルカリモシリ島北岸については、遠浅の海底が沖合に向かって続いていた。
 比較的起伏に乏しい遠浅の海中でも、大型の海藻類が海底を覆い隠すようにして繁茂することによって、そこに立体的な海底地形が形成され、ゼニガタアザラシの生活に適した環境が出現すると考えられる。
 今回の調査では、当初、アザラシの上陸場と、そうではない海中を観察し比較する予定であった。しかし天候および海況の関係で十分な潜水ができず、来年以降の調査の課題として残す結果となった。


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION