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4.2.3 電子タグの機能別にみた活用の要件
4.2.3.1 書込み機能の活用
 書込み機能が有効になる場合とは、同一会社の同一構内での利用よりも異なる事業者間における活用方法が考えられます。
 この事例は、ロジスティクスのように生産・流通・輸送・消費にまたがる利用の場合では、複数関係者の入力やデータ共有が必要となります。
 発荷主・運送業者(トラック業者・倉庫業者)および着荷主の間、製造業者から卸業者、卸業者から大規模小売業者(量販店、百貨店)の間等の特定多数の関係者間での活用可能性が高いと見込まれます。
 ここでは、大量のデータを担う機能に期待するよりも、メーカー、運送業者、流通業者で異なるメモリエリアでの自社内利用(出入荷管理、仕分、検品等)と共通して追跡管理すべきコード(最終仕向地の位置コードや納品日時等)を分け、業際にまたがる部分で必要とされるコードとそうでないコードをデータ識別子やアプリケーション識別子で振り分けられる機能に着目すべきです。
 特に地理的情報として市区町村コードや郵便番号はホームページから無料でダウンロードできるようになり、データの共有が容易になりました。こういった無料公開と維持管理の方法が確保されれば、共有コードの利用は現実的になると考えられます。
・市区町村コード:
 
 しかし、物流事業者にはメリットがあっても、電子タグに予めデータを記入することができません。それは発荷主の仕事であり、メーカーがバーコードを製品ラベルに付与するように、発荷主側に商品発注者である着荷主からの情報を電子タグに記載するインセンティブがなければ机上の空論になります。
 
(1)郵便番号の例
 実際に発荷主側にデータ入力させている典型例は郵便番号です。その結果、郵便事業の仕分け効率は飛躍的に向上しています。同様のメカニズムを郵便事業だけでなく物流一般に適用させることは可能であると考えられます。
 
図4.2.3 郵便仕分けの方法 (資料):総務省
 
(2)トレーサビリティの例
 発荷主側がデータ入力するインセンティブがある場合とは、フランスでのBSEのトラサビリテのような場合です。そこでは、複数関係者の入力が不可欠であり、農家飼育履歴、食肉加工、運送、商品センター、小売店の各段階で、データの「蓄積」「共有」機能が必要であり、標準規格が不可欠です。ただし、この仕組みを構築することは容易ではありません。
 
図4.2.4 フランスでのBSEのトラサビリテの例
資料:朝日新聞2002年3月16日朝刊
 
4.2.3.2 複数回利用
 同一輸送容器における活用が複数回利用の考えられる一般的な利用部面です。
 通い箱、折り畳み式コンテナ、コンビテナー(ロールボックスパレット)、パレット、コンテナ(鉄道、航空、海上貨物用を含む)および車両単位の識別システムのように、同一媒体が複数回にわたって利用される場合には、安価で読み書き再生利用可能な電子タグが有効であり、環境面からの要請が強くなったリユース環境に最適だと考えられます。
 ここでは、電子タグリユース利用によるコスト削減と伝票削減・伝票レス化によるコスト削減、段ボールから折畳み式コンテナ利用への変更に伴うコスト削減効果が見込まれます。


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