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4.2.4 適用分野の機能別にみた活用の条件
4.2.4.1 商品・製品管理
 商品・製品レベルでは、生産管理や販売管理面において従前から多くの適用例がみられ、賞味期限の自動チェック、鮮度管理(自動鮮度チェック)の精度向上、セット商品の一括検品、流通加工漏れの自動チェック等、同一構内、店内での利用が見られます。
 この場合は各社独自のシステムであっても、個体管理の個数が多く、処理時間が短い場合に電子タグによる一括読取り機能が有効になると考えられます。
 
4.2.4.2 梱包単位・荷札
 梱包単位になると、入荷検品の効率化・精度向上、たとえば、入荷登録省力化(入荷年月日等の自動入力)や入庫仕分け省力化(商品情報による自動仕分け)に活用できると考えられます。
 このほか、保管・在庫管理での棚卸作業の省力化、自動在庫補充アラーム、出荷(出荷検品効率化・精度向上)、貨物追跡登録作業の省力化(荷積み・荷卸し自動チェック)、貨物情報管理精度の向上(個数口貨物の自動チェック・誤積誤着早期発見)等への活用可能性が考えられます。
 
(1)構内作業の場合
 現在の荷物の輸送管理は、各事業者が独自のシステムを構築しており、荷物ごとにバーコードを添付し、荷物の入出荷時あるいは庫内への入出庫時といったイベント時にデータベース上の情報と照合する方法を用いています。
 バーコードによる荷物の管理は、目視確認と手作業での情報入力を省略した意味で画期的です。
 これに対して、電子タグは、形状等の要因でバーコードでの識別が困難な場合、大量貨物の中から特定貨物を抽出する場合等に有効であると考えられます。
 さらに、共同輸送・共同保管等複数事業者が関与する環境での識別・情報共有に有効であると考えられます。
 
(2)輸送の場合
 多くの宅配事業者では、バーコードを付属した送り状を用いて、ターミナルの出入時に自動認識したコードの管理で貨物追跡管理システムを構築しています。
 年間25億個が消費される複数連票の宅配便の送り状は、当初最も期待される適用分野と考えられていました。
 しかし、個人顧客が記入し一方向に利用されるため、電子タグへのソースデータ入力が見込めず、既存の10円前後の紙代に代替する要素は少なかったといえます。
 一般事業者は、納品代行や共同配送等の付加価値輸送を中心とし、保管、在庫管理や流通加工と合わせた業務を請け負っている例もみられます。
 ここでは、荷主主導のシステム構築が多く、特定荷主に複数運送業者が関与している場合や業者の出入り等が複雑な場合には、納品書やピッキング・輸送・検品での情報媒体、配送センターや倉庫内管理、集配トラックの入出庫管理に電子タグが活用される余地があります。
 この分野では、多段階にわたる商用貨物の流通在庫管理に効果的に適用できるか、商品盗難防止のようなセキュリティ管理ニーズに関連して電子タグが活用されることになると考えられます。
 
4.2.4.3 パレット
 パレットへの電子タグの適用にあたっては、パレットという輸送容器管理だけでなく、搭載商品の管理を一体的に行おうとするためにデータベース側の処理と業務効率化が混線して適用効果が半減している面が見られます。
 パレット管理そのものであれば、電子タグは、荷物積載時、物流拠点等任意の場所での位置情報管理、倉庫での自動仕分け及びロケーション管理等で活用することができます。
 現状では、各社独自に物流量の変動に対応したパレットの調達や管理を行い、その寸法も商品に応じて多様であることから、購入者や管理費等はそれぞれの料金に反映されておりコストアップの一因となっています。
 このため、レンタル方式や共通荷主での事業者間をまたがる各パレットの共同利用へのニーズは強いといえます。
 しかし、パレットの共同管理にあたっては、以下の問題が指摘されています。
(1)パレットが分散し、回収物流費が高騰傾向にあります。
(2)紛失・破損しやすい。
(3)無断流用・流失等の管理責任が不明確になる傾向にあります。
 このため、パレットの共同利用におけるパレット管理の適正化にあたって、パレット受渡確認、管理データとのマッチングにより以下の効果が期待できます。
(1)管理責任の明確化
(2)所在管理
(3)一括回収
(4)伝票レス化
(5)新規パレット投入所要量・管理方法の改善
 このようなパレット管理精度の向上、共同利用管理システムの整備を通じて、パレットの所要枚数軽減、維持管理費節減、回収滞留時間・積載率の改善によるパレット移送費用節減等の効果が見込まれます。
 また、付帯的要件として、以下のような効果も見込まれます。
(1)伝票レス化による紙資源の節減
(2)段ボール箱から樹脂製の通い函等への変更に伴う再利用と森林資源の保全効果
 木製パレットから樹脂製パレットへの変更・タグの付与による耐用年数の延長は、森林資源保護の効果も大きいと見込まれます。
 
4.2.4.4 貨物コンテナ管理
 貨物コンテナの管理では、トラックターミナルにおけるトラクタ相互の切替え・中継、港湾、鉄道等のインターモーダルなターミナルにおけるコンテナのトラックとの間の積替管理、主要積替拠点(倉庫、港湾、税関、ヤード等)におけるターミナルでの所在管理、マーシャリング効率の向上に貢献すると考えられます。
 コンテナターミナルにおいては、現在、本船の荷卸し業務、ターミナル内でのコンテナのロケーション管理、ベイプランの作成業務においてコンテナの番号を、目視確認後にキーボードに手入力管理している事業者が多い状態です。このため業務効率の面でも情報化の効果が見込まれます。
 ただし、国際コンテナ輸送業務においては、荷主、トラック会社、船会社、コンテナターミナル、海貨業者、検数業者等の様々な事業者が関係しており、必要となる帳票も多種多様です。
 このため帳票ベースの共通化は困難です。この点はウェブサーバでの管理情報の共有と電子タグ情報との連携を待つ必要があると考えられます。
 また、国際コンテナの移動範囲は世界中にわたることから、システムの構築には全コンテナヘの電子タグの取付けと世界各国で共通する読取機の設置や蔵置場所のレイアウト変更等が必要です。
 さらに、国際物流業務では、関係者が国、事業者等と複数にわたる場合が多いことから、システム運用上の責任区分や管理範囲等を明らかにすることが必要です。
 活用データのうち、共同利用する項目の選定やデータ送受信の方法等の国際標準が必要です。
 
4.2.4.5 車両管理レベル
 車両管理での電子タグの活用には、以下のような利用部面が考えられます。
(1)ヤード出入の車両管理
 (コンテナヤード出入トラクタのタグをゲートアンテナで読取誘導・保安管理)
(2)物流拠点、鉄道・港湾施設等の出入ゲートの無人の車両情報管理
(3)主な施設の出入等のスポット情報のみを記録することによるサインポスト位置情報管理を通じた、経路・到着時刻管理、車両維持管理・温度管理
 車両の識別情報をキーコードに用いて、運送依頼データとの照合を行い貨物追跡に反映することもできますし、行政ニーズでみると、産業廃棄物、危険物、過積載その他の監視システムに連携させることもできると考えられます。
 電子タグのアプリケーションに応じた市場のセグメント化と対応する共通規格をステップバイステップで市場投入していくことが、活用すなわち市場拡大の必須要件であると考えられます。


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