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運輸安全委員会規定(Transportation Safety Board Regulations)
SOR/92-446
1992年7月20日登録
カナダ交通事故調査安全委員会法
(Canadian Transportation Accident Investigation and Safety Board Act)
運輸安全委員会規定
 議会総督は枢密院議長の勧告に基づき、カナダ交通事故調査安全委員会法第31条(1)項、(3)項、及び第34条(1)項*により、カナダ航空安全委員会が1984年10月3日に制定し、枢密院令P. C. 1984-3733によって1984年11月22日**に承認されたカナダ航空安全委員会規定の廃止をここに承認し、カナダ交通事故調査安全委員会が1992年6月25日に制定したカナダ交通事故調査安全委員会に関する付属規定を承認する。
*S. C. 1989, c. 3
**SOR/84-929, 1984-カナダ官報 Part II, p. 4301
 
カナダ交通事故調査安全委員会に関する規定
(Regulations Respecting the Canadian Transportation Accident Investigation and Safety Board)
 
簡略名称
第1条
 本規定は、交通安全委員会規定(Transportation Safety Board Regulations)と呼ぶ。
 
解釈
第2条
(1)本規定においては、以下と解釈する。
「カナダ交通事故調査安全委員会法(Act)」とは、カナダ交通事故調査安全委員会法を指す。(Loi)
「航空管制部」とは、航空規定第101条で定義される航空管制部を指す。(unité du contrôle de lacirculation aérienne)
「衝突(collision)」とは、通常の運転状況において、船舶、車両、航空機間で起こる衝突以外の衝突、又は、船舶、車両、航空機と他の物体との間に起こる衝突を指す。(collision)
「危険物(dangerous goods)」とは、その性質、あるいは、危険物輸送規定(Transbortation of Dangerous Goods Regulations)によって、危険物輸送法(Transportation of Dangerous Goods Act)の別表内いずれかの部類に含まれる製品、物質、又は有機物を指し、危険バルク材規定(Dangerous Bulk Materials Regulations)の別表Iに列記されている危険物、及び、危険物船舶輸送規定(Dangerous Goods Shipping Regulations)の第3条(1)項に示され、船舶によってバルク輸送される危険物を含む。(marchandises dangereuses)
「脱線(derailment)」とは、爆発又は衝突以外の理由により、車両の1つ以上の車輪がレールを離脱した結果生じた事故を指す。(déraillemeent)
・・・
「機械(machinery)」とは、カナダ船舶輸送法(Canada Shipping Act)第2条で定義される機械を指す。(machines)
「船長(master)」とは、報告すべき海難事故又はインシデントに関与する船舶においては、カナダ船舶輸送法第2条で定義される船長を指す。(capitaine)
「運航者(operator)」とは、・・・
(c)報告すべき海難事故又はインシデントに関与する船舶においては、その船舶を操作する者を指す。(exploitant)
 「所有者(owner)」とは、・・・
(b)報告すべき海難事故又はインシデントに関与する船舶においては、未登録船舶の実際の所有者、及び、登録船舶の登録所有者を指す。(propriétaire)
「水先案内人(pilot)」とは、報告すべき海難事故又はインシデントに関与する船舶においては、水先案内法(Pilotage Act)第2条で定義される水先案内人を指す。(pilote)
・・・
「プレジャーボート(pleasure craft)」とは、娯楽やレクリエーションに使われる船舶で、賃金や報酬と引き換えに物資や船客を輸送しない船舶を指す。(embarcation de plaisance)
「船舶報道ラジオ局(radio ship reporting station)」とは、カナダ沿岸警備隊(Canadian Coast Guard)ラジオ局、運輸省カナダ船舶交通サービスセンター(Canadian Vessel Traffic Service Centre of Department of Transport)、又は、セントローレンス水路局(St. Lawrence Seaway Authority)が運営するカナダ海洋ラジオ局を指す。(station de radiocommunications maritime)
・・・
「報告すべき事故(reportable accident)」とは、報告すべき海難事故、報告すべき鉄道事故、報告すべきパイプライン事故、報告すべき航空事故を指す。(accident à signaler)
・・・
・・・
「報告すべきインシデント」とは、報告すべき海上インシデント、報告すべき鉄道インシデント、報告すべきパイプラインインシデント、報告すべき航空インシデントを指す。(incident à signaler)
「報告すべき海難事故」とは、以下の場合にプレジャーボートを除く船舶の運航を直接の原因とする事故を指す。
(a)以下の結果によって、人が重傷を負ったり、あるいは死亡する場合。
(i)乗船中、あるいは船舶からの落下
(ii)船舶の一部、あるいは船舶の設備等との接触
(b)船舶に以下の結果が生じた場合。
(i)沈没、沈下、転覆
(ii)衝突への関与
(iii)火災、爆発
(iv)座礁
(v)耐航性に影響を与えたり、船舶本来の目的に適さなくなる損害を負う
(vi)行方不明、又は放棄(accident maritime à signaler)
「報告すべき海上インシデント」とは、以下の場合にプレジャーボートを除く船舶の運航を直接の原因とするインシデントを指す。
(a)人が船舶から落下した場合
(b)総トン数100トン以上の船舶が、故意ではなく海底に接触し、座礁を免れた場合
(c)船舶が、ユーティリティケーブルやパイプ、又は、水中のコモディティ・パイプラインをからませた場合
(d)船舶が衝突の危機に関与した場合
(e)船舶の機関が完全に故障した場合
(f)船舶の貨物が船外へ移動する、あるいは船外に喪失した場合
(g)船舶が、事故を回避するために、意図的に座礁、浜に乗り上げた場合
(h)船舶の安全運航に直接関係する任務の船員が、身体的無能力により任務を果たすことができず、人や財産、環境の安全への脅威が存在する場合
(i)危険物が船舶に荷積み、荷揚げされた場合(incident maritime à signaler)
・・・
「衝突の危険(risk of collision)」とは、船舶、車両、航空機の衝突の危険が非常に高い状況になり、人、財産、環境の安全に対する脅威が存在する場合を指す。(risque de collision)
「重傷(serious injury)」とは、入院が必要となる可能性が高い負傷を指す。(blessure grave)
「特別の状況」とは、そのまま放置されれば事故又はインシデントを誘発すると委員会が考えるにたる合理的な根拠がある状況又は状態を指す。(situation spéciale)
・・・
(2)本規定において、ある船舶が他の船舶によって牽引される場合、船舶の船長又は所有者には、牽引船の船長又は所有者も含まれる。
 
報告義務
報告すべき海難事故及びインシデント
第3条
(1)第(2)、(6)項により報告すべき海難事故、又はインシデントが発生した場合は、当該船舶の所有者、運航者、用船主、水先案内人、船員は、第(3)項に示される情報のできるだけ多くを、できるだけ早急に委員会に報告しなければならない。
(2)船舶報道ラジオ局に提出された報告は、委員会に提出されたものとみなされる。
(3)第(1)項にある報告には、以下の情報を含めるものとする。
(a)船舶の名称あるいは識別番号、国籍、種類
(b)船舶の所有者、運航者、用船者、代理人の氏名
(c)船舶の船長及び水先案内人の氏名及び資格
(d)事故又はインシデントの日時
(e)事故又はインシデント発生時の天候及び海洋条件
(f)船内搭載の航行支援システムの記述
(g)船舶の最終出発地と予定目的地、及び出発日時
(h)船舶が行方不明ではない場合
(i)事故又はインシデントの発生場所。目印となる地理的地点や経緯度を引用する。
(ii)死亡又は重傷を負った船員、乗客、それ以外の人の数
(iii)事故又はインシデントの記述、及び、船舶、環境、その他の財産に対する損害の程度
(iv)船舶に荷積みされた、あるいは船舶から放出された危険物の記述
(i)船舶が行方不明になった場合
(i)船舶が連絡を絶った地点及びその日時。目印となる地理的地点や経緯度を引用する。
(ii)乗船していた船員、乗客数
(iii)搭載していた危険物の記述
(iv)船舶発見のために採った行動
(j)船舶のトン数、全長、推進タイプなどの技術仕様
(k)搭載貨物の記述
(l)報告した者の住所、氏名。また適宜、報告を行った船舶の名称及び識別番号。
(4)第(1)項に定められた報告要件に加えて、報告すべき海難事故又はインシデントに関与した船舶の船長は、第(3)項に示されるすべての情報を、委員会の認める書式に従って事故あるいはインシデント発生後30日以内に提出しなければならない。ただし、第(5)項により委員会が免除した場合は除く。
(5)委員会が自らの調査によって事故又はインシデントに関する情報を収集した場合、委員会は船長に対し、第(4)項に示される情報を提出する義務を免除することができる。
(6)いかなる者であっても第(1)項に従って報告を行った場合は、当該項に示される他の者は報告する義務はない。
・・・
 
自発的報告
一般事項
第7条
 船舶、車両、コモディティ・パイプライン、航空機の運航に関連する事故、インシデント、又は特別な状況について知る者はいずれも、関連すると信ずるいかなる情報も委員会に報告することができる。
 
機密報告
第8条
(1)委員会は、第7条に従って行われた口頭、書面による報告を極秘に受領、調査する独占権を有する機密報告部を設置することができる。
(2)委員会に報告が提出された場合、第3条(1)項、第4条(1)項、第5条(1)項、あるいは第6条(1)項に示された者が行った報告すべき事故又はインシデントに関する報告を除き、報告者の身元、又は、その者の身元が分かるような情報を公表してはならない。ただし、報告者が公表を書面で認めた場合はこの限りではない。
 
報告すべき事故及びインシデントに関する証拠の保存
第9条
(1)第(2)項及び第(3)項を前提として、報告すべき事故あるいはインシデントが発生した場合、所有者、運航者、船長、船員は、委員会からの指導や法律による規定がない限り、可能な範囲内において、カナダ交通事故調査安全委員会法第19条(16)項で定義される書類に記載された証拠を含め、報告すべき事故又はインシデントに関するあらゆる証拠を保存、保護しなければならない。
(2)第(1)項は、人、財産、環境の安全確保に必要な対策を講じることを阻むものとして解釈されてはならない。
(3)第(2)項に従って、報告すべき事故又はインシデントに関する証拠を妨害しなければならない場合、その妨害を指示、監督、手配する者は、そのような状況下において可能な範囲内で、その妨害を行う前に取りうる最善の手段をもって当該証拠を記録しなければならない。
(4)第(1)項に従って報告すべき事故又はインシデントに関する証拠の保存、保護を義務づけられている者が、証拠の保存、保護を行う場合、当該項に示される者以外は、そのような証拠を保存、保護する必要はない。
 
立会人
第10条
(1)カナダ交通事故調査安全委員会法第23条(2)項(a)(b)(d)に示された者が、委員会が行う事故、インシデント、あるいは特別な状況の調査に立会人として立ち会う場合、その者は、委員会から課せられた条件に従い、そして調査官の監督のもとに、以下を行うことができる。
(a)事故、インシデント、特別な状況の現場の立会い
(b)事故、インシデント、特別な状況に関与した船舶、車両、コモディティ・パイプライン、航空機、及び、その部品、在中物の調査
(c)法律で禁じられていない限りにおいて、カナダ交通事故調査安全委員会法第19条(16)項に示される以下に関する書類、及び、その他の関連証拠の調査。
(i)事故、インシデント、特別な状況が発生した輸送活動
(ii)事故、インシデント、特別な状況に関与した乗員
(iii)船舶、車両、コモディティ・パイプライン、航空機、及び、その部品、在中物
(d)実験室での試験や分析への立会い
(2)カナダ交通事故調査安全委員会法第23条(2)項(c)に示された者が、事故、インシデント、特別な状況に関する委員会の調査に立会人として立ち会う場合、法律で禁じられていない限りにおいて、その者には当該条項に示された権利と特権が付与され、国際協定や条約で定められている慣習が推奨されなければならない。
(3)立会人に付与された権利及び特権には、委員会が許可しない限りにおいて、調査における証人尋問への立会いは含まれない。


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