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報告書の公表
第24条
(1)調査が終了次第、委員会は、委員会が特定した安全性に関する欠陥や、運輸の安全に関して適切と考える勧告を含め、その調査結果についての報告書を公表しなければならない。
報告書案
(2)第(1)項の報告書を公表する前に、委員会は極秘で調査結果、及び特定した安全性に関する欠陥についての報告書案の複写を、各大臣、及び、その調査結果に直接の利害関係があると委員会が判断する者に送付し、また、当該大臣又は当該人物が、最終報告書の作成前に委員会に陳述する妥当な機会を与えなければならない。
報告書案の秘密保持
(3)是正措置をとる場合を除き、報告書の調査、及び、報告書に関する陳述作成に厳密に必要とされない場合はいかなる目的であっても、報告書案を伝達、使用すること、又はそれを許可してはならない。
陳述の処理
(4)委員会は、以下を行わなければならない。
(a)委員会が適切と考える方法によって、第(2)項に従って行われた陳述の受理
(b)当該陳述についての記録の保管
(c)最終報告書作成前の当該陳述の考察
(d)当該陳述に対する委員会の処理法につき、各陳述者へ書面での通知
陳述の保護
(4. 1)陳述は免責特権を持つが、委員会の調査結果に直接の利害関係を持つ省庁の担当大臣による陳述はこの限りではない。本法のその他の規定、又は、陳述者による書面の承認に従い、本条で入手が認められている者も含め、何人も意図的に陳述を他人に伝えたり、あるいは伝えることを許可してはならない。
委員会による使用
(4. 2)陳述が運輸の安全にとって必要であると委員会が判断する場合、委員会は当該陳述を使用することができる。
検死官への陳述の提出
(4. 3)委員会のために行われた陳述に関する状況を調査する検死官から要請がある場合、委員会は陳述を当該検死官に提出しなければならない。
使用禁止
(4. 4)調査の目的で検死官が使用する以外、法的、懲戒的、その他の手続に陳述を使用してはならない。
調査結果及び勧告の通知
(5)委員会は、
(a)運輸事故の調査中、委員会の調査結果に直接の利害関係を持つと委員会が判断する大臣や人物に対し、緊急措置が必要であると委員会が判断する調査結果及び勧告を、それが最終であるなしを問わず、直ちに書面で通知しなければならない。
(b)運輸事故の調査が終了次第、委員会の調査結果に直接の利害関係を持つと委員会が判断する大臣や人物に対し、当該運輸事故の原因及び要因、委員会が特定した安全性に関する欠陥について委員会の結果、及び、調査結果が導き出した勧告を、直ちに書面で通知しなければならない。
委員会に対する大臣の応答
(6)第(5)項(a)又は(b)で、委員会の調査結果及び勧告を通知された大臣は、通知後90日以内に、
(a)当該調査結果及び勧告に対してとる措置、あるいはとるべきと思われる措置を、書面によって委員会に通達しなければならない。
(b)何の措置もとられない場合、あるいは、とるべき措置が提案されているものと異なる場合は、その理由を書面によって委員会に示さなければならない。
 いずれの場合も、当該大臣はその応答を公表しなければならない。
制限
(7)第(6)項により国防省に義務が課せられる場合は、それらの義務は、国防法(National Defense Act)やその規定により定められている制限か、あるいは、総督命令によって認められている国家安全保障上の制限を受ける。
期間延長
(8)大臣が第(6)項に示される期間内に委員会に返答できないことを委員会が納得した場合は、委員会が必要と判断すれば、その期間を延長することができる。
1989, c. 3, s. 24; 1998, c. 20, s. 15
 
中間報告書
第25条
(1)委員会は以下に対し、調査の進捗及び結果に関する中間報告書を、極秘に提出しなければならない。
(a)当該調査に関する書面による要請を受けた場合、当該調査の内容に直接の利害関係を持つ省庁の担当大臣
(b)死亡を伴う運輸事故で、委員会の調査に大きな進捗があった場合は、当該事故を調査する検死官
中間報告書の限定使用
(2)第(1)項で中間報告書を提出された大臣を除き、厳密に当該調査書の審査に必要では場合はいかなる目的であっでも、当該報告書の使用すること、あるいは使用の許可を出してはならない。
1989, c. 3, s. 25; 1998, c. 20, s. 16.
 
再審権限
第26条
(1)委員会は、本法に基づいて実施した調査による結果及び勧告を、当該結果及び勧告の報告書公表のいかんに関わらず、どの時点でも再審することができる。
委員会による再審が必要とされる場合
(2)新しい重要事実が明らかになったと委員会が判断した場合、委員会は、本法に基づき実施した調査についての結果及び勧告を再審しなければならない。
 
委員会の権限委任
第27条
(1)第(2)項に従い、委任に関する法律で定められた制限に従い、委員会はいかなる者へも本法により委員会に与えられた権限、あるいは、委員会に課せられた義務を委任することができる。ただし、以下の権限を除く。
(a)本項に基づく委任権
(b)規定(regulations)を定める権限
(c)勧告を行う権限
解除
(2)第(1)項に基づく委任は、いかなる時点においても、委員会の書面をもって解除することができる。
 
免責特権(PRIVILEGE)
 
「搭載記録(on-board recording)」の定義
第28条
(1)本条において「搭載記録」とは、以下の全部又は一部を指し、航空機の操縦室・船舶の操舵室又は管制室、機関車の運転室、パイプラインの操作室などの操縦士によって意図的に管理されない記録装置を使って記録されたもので、そのような記録の転写又は実質的な要約を含む。
(a)以下から発信、又は受信された音声通信の記録
(i)航空機の操縦室
(ii)船舶の操舵室又は管制室
(iii)機関車の運転室
(iv)パイプラインの管制室又はポンプ室
(b)航空機、船舶、機関車、パイプラインの運転士の活動を映すビデオ記録
搭載記録の免責特権
(2)各搭載記録は免責特権を持ち、本条で定められている場合を除き、本条で入手が認められている者も含めいかなる者も、
(a)意図的に搭載記録を他人に伝えたり、あるいは伝えることを許してはならない。
(b)法的、懲戒的、その他の手続においては、当該記録の提出、又は、それに関する証拠の提出を求められることはない。
委員会の閲覧
(3)本法のもとで調査中の運輸事故に関する搭載記録は、当該調査の目的のために当該記録を要請した調査官には公開しなければならない。
委員会による使用
(4)委員会は、運輸の安全にとって必要であると判断した場合、本法のもとで取得した搭載記録を使用することができるが、第(5)項に従い、調査中の運輸事故の原因や要因、又は、安全性に関する欠陥に関係がない部分を、何人も他人に伝えたり、伝えることを許可してはならない。
警察官、検死官、その他調査官の閲覧
(5)委員会は、本法に基づき取得した搭載記録を、以下に公表しなければならない。
(a)[撤廃 1998, c. 20, s. 17]
(b)自身が実施中の調査のために公表を要請した検死官
(c)第18条のもとで共同調査を実施している者
裁判所又は検死官の権限
(6)本条の規定にかかわらず、裁判所又は検死官の面前での審理において、搭載記録の提出及び証拠開示手続が要請された場合、当該裁判所又は検死官は、
(a)委員会が当該審理の当事者でない場合、委員会に当該要請を通知しなければならない。
(b)非公開で、搭載記録を精査し、それに関する妥当な陳述の機会を委員会に与えなければならない。
(c)当該事例の状況において、正当な裁判権が、本条によって当該搭載記録に付与されている特権より重要であると裁判所又は検死官が結論づけた場合、裁判所又は検死官が適切であるとみなす制限に従って、当該搭載記録の提出及び証拠開示手続を命じなければならない。また、いかなる者にも、搭載記録に関する証拠の提出を要求することができる。
禁止の使用
(7)懲戒手続、役人や職員の機能遂行能力や適性に関する手続、法的手続、その他の手続においては、以下の者は搭載記録を使用してはならない:航空・鉄道交通管制官、海上交通管制官、航空・鉄道・船舶の乗組員(船舶の場合は、船長、高級船員、操縦士、アイスアドバイザ(ice adviser)を含む)、航空車両オペレータ、飛行情報局専門家、航空・鉄道交通制御、海上交通規則その他に関する連絡事項を中継する者、パイプラインの稼動に直接間接に関与する者。
「裁判所(court)」の定義
(8)第(6)項においては、「裁判所」には、本法又は調査法(Inquiries Act)による運輸事故の公開審理を行うことを任命又は指名された、一名又は複数の者が含まれる。
1989, c. 3, s. 238; 1998, c. 20, s. 17
 
「通信記録(communication record)」の定義
第29条
(1)本条においては、「通信記録」とは、以下の記録、記録物、複写、転写、実質的要約の全部又は一部を指す。
(a)航空交通管制又は関連事項に関して、以下の者の間で交わされた、あらゆる種類の通信:航空交通管制官、航空機乗組員、航空車両オペレータ、飛行情報局専門家、航空交通規則その他に関する連絡事項を中継する者
(b)鉄道交通管制又は関連事項に関して、以下の者の間で交わされた、あらゆる種類の通信:鉄道交通管制官、列車乗組員、保線従業員、信号保守管理者、車両オペレータ、鉄道交通規則その他に関する連絡事項を中継する者
(c)海上交通管制又は関連事項に関して、以下の者の間で交わされた、あらゆる種類の通信:海上交通管制官、カナダ海事法(Canada Marine Act)第58条(1)又は第76、99、106で指名されている者、船舶乗組員(船長、高級船員、操縦士、アイスアドバイザを含む)、沿岸警備隊ラジオ局、救難調整センター及び副センター、港務官室のスタッフ
(d)海難、海上安全、その他関連事項に関する、以下のあらゆる種類の通信。
(i)以下の者の間で交わされた通信:沿岸警備隊ラジオ局オペレータ、船舶乗組員(船長、高級船員、操縦士、アイスアドバイザを含む)、船舶運輸サービスセンターのスタッフ、カナダ海事法第58条(1)又は第76、99、106で指名された者、救難調整センター及び副センター、港務官室、船舶代理業者
(ii)沿岸警備隊ラジオ局を通じて、陸上にいる者と船舶の間で交わされた通信
(e)管制室・ポンプ室の職員、オペレータ、保守管理班、緊急対応班の間で交わされた、パイプラインの稼動に関するあらゆる種類の通信
(2)−(5)[撤廃1998, c. 20, s. 18]
禁止の使用
(6)法的手続においては、本法で取得した通信記録を第(1)項に示される者に不利に使用してはならず、懲戒手続においては、適用されるいかなる労働協約(collective agreement)に従って使用してはならない。
1989, c. 3, s. 29; 1998, c. 10, s. 167, c. 20, s. 18


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