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委員の義務
第8条
(1)第12条により招集された会議において、委員は、
(a)委員会会議における業務活動についての付則を確立しなければならない。
(b)調査を要する運輸事故の種類に関する方針を確立しなければならない。
(c)調査において、一般的に、又は、運輸事故の種類ごとに従うべき方針を確立しなければならない。
(d)第10条(1)項(a)で示される主任調査官(Directors of Investigation)が提出した報告書を検討しなければならない。検討後は、主任調査官に対し、運輸事故のどのような面に関しても追調査を要求することができる。
(e)運輸事故の原因と要因に関する委員会の調査結果を決定しなければならない。
(f)運輸事故によって明らかになった安全性に関する欠陥を特定しなければならない。
(g)必要な場合は、安全勧告を出さなければならない。
方針の公表
(1)委員会は、第(1)項(b)又は(c)により規定された方針を公表しなければならない。
1989, c. 3, s. 8; 1998, c. 20, s.6
 
職員
第9条
(1)委員会の適切な業務遂行に必要とされる職員は、公職雇用法(Public Service Employment Act)に従って任命される。
技術的支援
(2)利害問題が発生しない限りにおいて、委員長は、本法における委員会の義務遂行を支援する技術的、専門的有識者を一時的に就業させることができ、当該人物には、財政委員会(Treasury Board)の承認のもと、委員会が設定した報酬及び経費を支払うことができる。
 
主任調査官(Directors of Investigation)、及び調査官(investigator)
第10条
(1)第9条(1)項で任命される職員は、以下とする。
(a)(航空)主任調査官、(海難)主任調査官、(鉄道・パイプライン)主任調査官
(b)その他の調査官
主任調査官の権限
(2)第(1)項(a)に記述される各主任調査官は、本法に基づき、航空事故、海難事故、鉄道・パイプライン事故について、それぞれ委員会に代わって調査を実施する独占的権限を有する。ただし:
(a)本項における当該主任調査官の権限は、第8条(1)項(b)及び(c)で定められる方針に基づいて行使されなければならない。
(b)当該主任調査官は調査について委員会に報告し、第8条(1)項(d)による委員会の要求に従って、追調査を行わなければならない。
その他の調査官の役割
(3)第(1)項(b)に示される調査官は、調査の実施において主任調査官を支援しなければならない。
任命証明書
(4)委員長は、第(1)項(a)及び(b)に示される者に対し、任命証明書を発行しなければならない。
1989, c. 3, s. 10; 1998, c. 20, ss. 7, 25(E)
 
委員会の地位
第11条
(1)委員会は法人であり、また、あらゆる目的において女王の代理人であり、本法における委員会の義務及び権限は、女王の代理人としてのみ行使することができる。
契約
(2)契約は、女王又は委員会のいずれかの名のもとに、委員長が委員会を代表して締結しなければならない。
財産
(3)委員会が取得した財産は女王の財産であり、それに対する権利所有権は、女王又は委員会の名のもとに付与される。
法的手続
(4)委員会、女王の名のもとにかかわらず、委員会が女王に代わって取得した権利又は負うべき責務についての処分、訴訟、その他の法的手続は、委員会の名のもとに、委員会を原告、被告として、委員会が女王の代理人ではないと想定した場合に管轄となる裁判所に持ち込むことができる。
 
委員長による会議の招集
第12条
(1)委員会の業務上必要とされる場合や、2人以上の委員から委員長に書面による要請があった場合、委員長は委員会会議を招集する。また、その会議では委員長は司会を務めるものとする。
(2)[撤廃1998, c. 20, s. 8]
1989, c. 3, s. 12; 1998, c. 20, s. 8
 
本部
第13条
(1)委員会本部は、首都法(National Capital Act)の別表に記載される首都圏(National Capital Region)に置かれる。
監査
(2)委員会の会計及び金融取引は、カナダ会計検査院長(Auditor General of Canada)による年次検査を受け、検査報告は委員長及び議長に提出し、委員長及び議長は、議長が当該報告を受領後、下院議会開会後20日以内に下院に当該報告書を提出しなければならない。
年次報告
(3)委員会は議長を通じて、各会計年度の活動、調査結果、勧告について議会に報告しなければならない。その目的において以下を行う。
(a)委員会は、各会計年度末後3ヶ月以内に、議長に報告書を提出しなければならない。
(b)議長は当該報告書を受領後、下院議会開会後20日以内に、下院に当該報告書を提出しなければならない。
会計年度
 (3. 1)委員会の会計年度は、各年の4月1日から翌年の3月31日までとする。
議会の小委員会(committee)による参照
(1)第(3)項により議会に提出された報告書は、運輸関連事項の検討のために設立される議会のいかなる小委員会(committee)においても、恒久的に参照される。
1989, c. 3, s. 13; 1998, c. 20, s. 9
 
調査及び公開審理(INVESTIGATIONS AND PUBLIC INQUIRIES)
 
委員会の管轄権
第14条
(1)ほかのいずれの議会法(Act of Parliament)にもかかわらず、しかし、第18条によって総督による要請があれば、委員会はその目的遂行のために運輸事故の調査を行わなければならない。
省庁又は州による要請
(2)第18条により、省庁、州副知事、北西準州(ヌナヴト準州)総監(Commissioner of the Northwest Territories)、ユーコン準州総監が、当該領域における最高執行委員会(Executive Council)の合意のもとに、委員会に運輸事故の調査を要請し、調査において委員会が負担する相当の経費を支払うことを保証した場合、委員会は運輸事故の調査を行う。
委員会の独占的管轄権
(3)ほかのいずれの議会法にかかわらず、
(a)以下の場合は、国防省以外の省庁は、原因及び要因を究明するために運輸事故の調査を始めてはならない。
(i)本法のもとで、当該運輸事故調査が委員会によって進行中か、又は以前から行われている場合
(ii)本法のもとで、当該輸事故調査を委員会が行うよう計画されていることを、当該省庁が知らされている場合
(b)運輸事故調査が国防省以外の省庁によって開始された後、本法のもとで委員会による調査が開始された場合は、当該調査が当該運輸事故の原因及び要因を調べることを目的としている場合に限り、当該省庁は直ちにその調査を中止しなければならない。
保留条項(Saving provision)
(4)第(3)項は、以下を妨げるものではない。
(a)省庁が運輸事故の原因や要因の追求以外の目的で調査を開始、継続すること、あるいは、当該運輸事故に関係する事項で委員会が調査を行っていない事項を調査すること。
(b)いかなる目的であっても、カナダ王立騎馬警察官(the Royal Canadian Mounted Police)が自ら調査権を有する運輸事故を調査すること。
委員会が調査しない場合
(5)委員会が運輸事故の調査を行わない場合、省庁は自らが調査権を有する運輸事故のどのような側面をも調査することを妨げられることはない。
1989, c. 3, s. 14; 1993, c. 28, s. 78; 1998, c. 20, s. 10; 2002, c. 7, s. 130
 
調査及び是正措置の調整
第15条
(1)本法に基づく運輸事故の調査中はいつでも、国防省以外の省庁が当該運輸事故の調査を行う、あるいは当該事故に関する是正措置を講じる場合は、委員会及び当該省庁は、当該運輸事故に関する活動が確実に調整されるよう、あらゆる合理的措置をとらなければならない。
利害の衝突
(2)第(1)項に基づいて活動を調整する際、委員会と省庁との間に利害の衝突が生じる場合は、第(3)項、及び、第17条のもとで締結される合意に従い、委員会の要件及び利益が当該衝突の範囲を優先する。
保留条項
(3)第(2)項は、委員会の要件及び利益をカナダ王立騎馬警察官のそれに優先させるものではなく、また、そのほかの議会法やそれに基づく規定のもとで、省庁が緊急是正措置をとることを妨げるものではない。
州との合意
第15.1条
(1)委員会は、運輸事故、インシデント、及び、そのまま放置すれば事故又はインシデントを誘発するおそれのある状態及び状況に関する調査における権限及び機能の行使について、州の立法権の範囲内において、合意を締結することができる。その合意には、調査において委員会が負担した相当の経費を、州が委員会に支払うことを規定しなければならない。
制限
(2)委員会は州との合意に基づいて、第7条及び本法のその他すべての規定に適合した権限及び機能のみを行使する。
1998, c. 20, s. 11.
 
矛盾しない手続、及び、実務
第16条
 委員会は、運輸事故に関する調査手続及び実務が以下に矛盾しないよう、あらゆる適切な措置を講じなければならない。
(a)カナダが当事者となっている国際協定又は条約
(b)沖合海域の石油(採掘)活動管理のために設立された取締機関、及び当該州の検死官が従うべき調査手続、及び、実務
 また、委員会は、委員会が従うべき手続及び実務が、当該州の検死官及び取締機関が従う手続及び訴訟手続にできる限り矛盾しないよう、当該州政府及びその取締機関との合意締結にむけて、あらゆる適切な努力を講じなければならない。
1989, C. 3, s. 16; 1998, c. 20, s. 12.
 
合意
第17条
 委員会は、以下を行う省庁の担当大臣と合意締結にむけて、あらゆる適切な努力を請じなければならない。
(a)運輸事故の調査手続及び実務、事故の報告要件など、委員会と各省庁との間での運輸事故に関する活動の調整
(b)運輸事故に関する活動中、委員会と省庁との間に利害衝突が生じた場合に従うべき手続
 
定義
第18条
(1)本条においては、以下と定義する。
「民間輸送設備(civil transportation facility)」(installation de transport civile)
「民間輸送設備」とは、軍事輸送設備でない、以下を指す。
(a)航空機、船舶の運航や維持を促進するために設計、使用される設備
(b)鉄道
(c)パイプライン
「軍事輸送機関(military conveyance)」(moyen de transport militaire)
「軍事輸送機関」とは、各地を移動するために設計された航空機、船舶、車両、自動車などの機械で、国防省、カナダ軍又は訪問軍により、又はそれらに代わって運転されるものを指す。
「軍事運輸設備(military transportation facility)」(installation de transport militaire)
「軍事運輸設備」とは、以下を指し、国防省、カナダ軍、訪問軍により、又はそれらに代わって運転されるもの。
(a)各地を移動のために設計された航空機、船舶、車両、自動車などの操作や維持を促進するために設計された、あるいは使用される装置を指す。
(b)鉄道
(c)パイプライン
「訪問軍(visiting force)」(force étrangère présente au Canada)
「訪問軍」とは、訪問軍法(Visiting Forces Act)第2条で定義される訪問軍を指す。
軍事輸送機関、又は、軍事交通設備
(2)第(3)項に従い、委員会は、軍事輸送機関又は軍事運輸設備が関与する運輸事故の調査を行ってはならない
委員会が調査できる場合
(3)委員会は、以下の運輸事故を調査することができる。
(a)軍事輸送機関と、軍事輸送機関ではない航空機、船舶、車両が関与した事故
(b)軍事輸送設備と民間交通設備が関与した事故
(c)軍事運輸設備と、軍事輸送機関でない航空機、船舶、車両が関与した事故
調査の調整
(1)委員会、国防省、カナダ軍、訪問軍が第(3)項に示される運輸事故を調査する場合、委員会及び国防省は、調査の調整のためにあらゆる適切な措置を講じなければならない。
1989, c, 3, s. 18; 1998, c. 20, s. 24


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