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随伴症状
(1)睡眠の異常
(2)てんかん発作
(3)ひきこもり
(4)統合失調症様症状
(5)気分障害様症状
 
睡眠の異常
・睡眠随伴症
夜驚、夢中遊行、夜尿など
・不眠
入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒
・中枢性障害の存在
 
てんかん発作
・器質論の根拠
・一般児より高率発症
・脳波異常の高率存在
・非特異的脳波異常
・抗てんかん薬の投与
 
ひきこもり
・高機能者の社会的挫折
・二次的な自信喪失、自己評価の低下
・プライドの存在と行動困難
・行動障害の併発
 
精神分裂病様症状
・幻覚・妄想の出現
・高機能での顕在化
・思春期以降の発症
・内容の非拡散化
・願望充足的内容の混在
 
気分障害様症状
・思春期以降の発症
・双極性感情障害との類似
・不眠、全能感、逸脱行動など
・幻覚・妄想の混在
 
自閉症の年齢と症状
(1)1歳まで
(愛着行動の乏しさ)
・ベットの上でじっとしている
・泣いて注意をひこうとしない
・あやしても笑わない
・手がかからず、おとなしい
 
(2)2歳まで
(愛着行動の乏しさ、知覚の異常、睡眠障害)
・刺激への極端な反応
・模倣が見られない
・抱かれようとしない
・人見知りがみられない
・呼名反応ないが、CMには跳んでくる
・言葉が出ないか、ふえない
・体に砂や水が付くのを極端に嫌う
・時間と関係なく起きたり寝る
 
(3)就学まで
(視覚・聴覚、全身の動き)
・換気扇や光の点滅をじっと見つめる
・顔を物や他人の顔に思い切り近づける
・オモチャの車を一直線に並べ、斜め下方より見つめる
・特定の音を避けて耳をふさぐ
・多動で迷子になり保護される
・お腹を突き出して手を左右に振って走る
・グルグル回っても目が回らない
 
(対人関係、遊び、言葉、心の動き)
・視線が合わず、合っても持続しない
・一人遊びが好きで、手伝うと嫌がる
・形式的な遊びにとどまる
・興味の幅が狭く、遊びが反復常同的
・こだわりが目立ち、「パニック」が始まる
・抽象的な表現は苦手である。
 
(4)学童期以降
・知的・適応水準により異なる
・約20%にてんかん発作がある
・精神分裂病様症状が出現する(幻覚妄想)
・気分障害様症状が出現する(躁と鬱)
・心身症の出現(円形脱毛、消化器潰瘍)
・神経症様症状(強迫、不登校、不安)
・自傷・攻撃的行動が増える
 
幼児期の受診
・言葉の遅れが心配である
・視線が合わないが大丈夫か
・落ち着きがないのが心配である
・3歳(1.5歳)健診で、受診を勧められた
・療育のための情報が欲しい
・効果のある薬物が欲しい
 
就学前の受診
・診断をして欲しい
・どんな教育がよいのか教えて欲しい
・就学までに行動の改善をしたいのだが
・家庭での対応が難しくなっているが
・自閉症だと思うが効果のある薬はないか
・療育をして欲しい
 
学童期の受診
・集団参加が難しいのだが
・ADHDやLDではないだろうか
・「パニック」への対処を教えて欲しい
・学校や教育相談室で受診を勧められた
・医療機関とつながっておきたい
・短期間あずかって欲しい
 
思春期以降の受診
・対人関係の問題をなんとかできないか
・こだわりや自傷行動が改善できないか
・新たに出現した精神症状を改善して欲しい
・脳波の検査と改善をして欲しい
・義務教育以降の教育や就労の相談
・いつ頃になったら落ち着くか
 
成人以降の受診
・施設や作業所での不適応への対処を教えて欲しい
・こだわりや自傷の改善ができないか
・短期間入院できるところがないか
・障害年金の診断書を作って欲しい
・適切な薬物はないだろうか
 
分かりやすい自閉症基礎講座
―支援の基本―
2005.12.11.
ペアレントメンター養成講座
ゆうあい会館
東京都立梅ヶ丘病院 市川宏伸
 
アスペルガー障害の特徴と対応
ガイドブック アスペルガー症候群(トニー・アトウッド著:富田真紀他訳:東京書籍)より
(1)社会性の欠如
・友人を作る意欲・能力に欠ける
・社会的・感情的交流の困難
(対応)
・他の子どもを見て、行動の目安とするよう教える
・その子どもに対する上手な接し方のモデルを示す
・本当はどうすればよかったかを、分かりやすく示す
・適切性に欠ける社会的ふるまいの実例を示す
 
(2)言語の問題
・表面的によく熟達した表出言語
・形式的で細かなことにこだわる言語表現
・意味の取り違えなどの理解の悪さ
(対応)
・共感する時の言い方の模範を示す
・こちらの言ったことや指図が誤解されている可能性
・抽象的な表現やあいまいな表現を避ける
・指図を繰り返し、単純でやさしい言葉に置き換える
 
(3)特定の興味とこだわり
・興味の幅の狭さ
・固定した無目的な行動
・他人への押し付け
(対応)
・楽しみと息抜きを得る手段を考える
・監督下におき、長期間の没入を避ける
・時間の観念と、予定した活動の順序を示すスケジュールを教える
 
(4)不器用な運動機能
・手先の不器用さ
・不随意運動と奇妙な姿勢
(対応)
・ワープロやパソコンが使えるようにする
・二つ以上の動作の協応をはかる
・なんらかの運動機能障害を検討する
 
(5)認知の問題
・思考の柔軟性の欠如
・学習上の困難
・現実逃避としての想像
(対応)
・あるやり方に代わる別のやり方を考える練習をする
・独自な方法でうまく行っている場合は、そのやり方を認めて発展させる
・想像的世界を逃避や楽しみの一形態としてとらえる
 
自閉症児(?)が来院したら
・乳幼児期:診断および療育、情報提供
・・・外来、幼児デイケア、療育プログラム、入院治療
・学童期:行動障害への対応
・・・外来、グループ治療、入院(第一種自閉症施設)、
・思春期以降:行動障害への対応、公的扶助
・・・外来、入院
 
TEACCHの基本理念とは
―自閉症のTEACCH実践より―
1 自閉症の特性を子どもの観察から理解
2 親と専門家が協力
3 子どもの弱点を補う環境調整
4 個別治療教育プログラムの作成
5 構造化された教育
6 認知理論と行動理論を重視
7 長所と短所を正確に認識
8 ジェネラリストとしての専門家
9 生涯にわたる援助
 
機能による分類(ド・マイヤーを改変)
(1)高機能:正常の知的水準
コミュニケーション可能
通常教育可能
(2)中機能:軽度精神遅滞
単語と簡単なやりとり言語
社会的認知の障害
(3)低機能:重度精神遅滞
言語交流困難
低水準の社会生活機能
 
高機能自閉症と経過
(1)正常知能
・高校、大学への進学可能
・対人関係の問題(就職)
(2)正常下限
・特定分野の能力
・論理的思考の欠如
・要求水準と現実能力の乖離
・思春期以降の社会適応上の破綻
 
中機能自閉症と経過
・個別的対応、構造化された教育の必要性
(少人数学級の有効性)
・独自の認知構造、情報処理過程
(全体的把握の困難性)
(理解困難とかんしゃく・こだわり)
 
低機能自閉症と経過
(1)身辺自立の困難
・生活機能の習得
・言語的交流の困難
(2)身辺自立の成立
・言語機能の習得
・社会的機能の習得
 
・知覚の過敏、認知の障害、注意指向性の困難


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