日本財団 図書館


2. 検討過程の海上安全及び海洋環境保護政策
 
(1)Maritime Safety Package III
(1)海上交通管理及び情報システム指令の改正
(2)PSCに関する指令案の改正
(3)財政補償に関する指令案の提案
(4)旗国の最低基準に関する規則の提案
(5)海難事故調査に係る指令案の提案
(6)船舶検査機関(Classification Society)に関する指令の改正
(7)ILO海上統合条約の実施に係るコミュニケーションの提案
(2)海事政策に係るグリーンペーパー
(3)港湾セキュリティ確保指令案
 
(1)Maritime Safety Package III
(1)海上交通管理及び情報システム指令の改正
・船舶の監視機能の強化(LRITの活用)
・承認された位置表示装置の設置(Galileoの活用)
・海洋汚染の監視の強化(衛星の活用等)
 
(2)PSCに関する指令案の改正
・危険度の高い船舶のPSCの頻度を増加
・水先人による報告の充実・強化
・検査の拒否の基準強化
・優良船舶への負担の軽減等のイニシアティブを導入
 
(3)財政補償に関する指令案の提案
・EU海域における財政責任の上乗せ(例:日本の改正油賠法)
 
(4)旗国の最低基準に関する規則の提案
・IMO旗国小委員会の勧告内容に沿った規則の制定
・自国を旗国とする船舶の対する国際基準の連守の徹底等
・欧州海上保安庁(EMSA)が監査
 
(5)海難事故調査に係る指令案の提案
・加盟国間の共通の調査手法の確立及び情報の共有化
 
(6)船舶検査機関(Classification Society)に関する指令の改正
・船級協会の法定検査と船級の分離化
・新たな制裁措置の導入
・欧州委員会による調査権限の強化
 
(7)ILO海上統合条約の実施に係るコミュニケーションの提案
・ILOでの議論を見越したEUの船員の労勧基準の向上
 
(2)海事政策に係るグリーンペーパー
・Borg漁業・海事担当委員が議長である海事政策タスクフォースにて策定中。今年上半期にはグリーンペーパーを提案の予定
・運輸、環境、エネルギー、企業・産業担当委員等7名の欧州委員が参画
・詳細は、各分野ごとに欧州委員会にて検討。タスクフォースでは最終調整
・総合的な海事政策を検討すると予想されているが、詳細・結果等は不明
 
(3)港湾セキュリティ確保指令案
・ISPSコード(EU法化済み)の内容に加え、港湾と港湾施設の後背地とのアクセス等を規制
・これまで指令の適用範囲及び監査体制等について加盟国が反対
・05年5月の第1読会にて、欧州議会と閣僚理事会間で妥協案が得られ、欧州議会では可決済み
・2007年1月1日施行予定
 
3. 実施段階の海上安全及び海洋環境保護政策
(1)船舶起因汚染原因者刑事罰適用指令
・領海、内水内の海難による油流出も処罰の対象とするEU独自のMARPOL条約の上乗せ規制
・領海外における故意、重過失等による海洋汚染も処罰の対象
・刑事罰を適用することについては本指令の範疇となるものの、具体的な担保方策については第3の柱における枠組み決定による
・欧州Coastguard設置の実行可能性調査←加盟国は反対
 
(2)欧州海上保安庁(EMSA)の役割
・PSC強化、船舶交通管理及び情報システムの運用、PSCの強化、船級協会の監査等を任務とし、欧州委員会へ技術的助言を提供
・Prestige号事故を受け、海洋汚染の防止関係の責務が付加
・06年から欧州4海域にて、災害発生時に専用で利用できる油回収船を傭船予定(5/25基金創設を公表)
・05年夏には、本部がリスボンに移転予定
 
(3)船舶の避難場所
・船舶の故障時等に、修理のための停泊場所として提供される沿岸の海域が「船舶の避難場所」
・EUでは既に02年に指令としてEU法制化済み
・04年12月、8ヵ国の加盟国を「船舶の避難場所」に係る実施違反として、欧州裁判所に提訴(違反手続)
・避難場所を提供する法的枠組み、同場所に停泊した船舶による汚染の補償、法的枠組み等が問題
・IMOでは、本件に係る検討は先延ばし
 
(4)硫黄分含有海上燃料油に係る指令の改正
・海上燃料油に含まれる硫黄分を規制する指令
・07年までに硫黄含有率を1.5%まで、港湾区域については10年までに0.1%まで引き下げ
・05年4月、欧州議会が同指令案を採択
・現行はMARPOL条約のSECA内の条件と同一であるが、08年には見直しを予定
 
4. その他
(1)IMOにおけるEUのメンバーシップ
■現在EU(欧州委員会スタッフが出席)はIMOではオブザーバー→新規提案権、投票権なし
■欧州委員会は、IMO等の国際機関において、EUはフルメンバー資格であるべきで、EUが加盟国の代表して発言すべきと主張
■4月の運輸閣僚理事会にて言及
■6月の運輸閣僚理事会で引き続き議論の可能性
■本件については、02年に欧州委員会から提案されたものの、現在まで、棚上げ状態であったもの
■再び、議論の俎上となっている背景には、加盟国の権限の多くがEUへ委譲されている事実が存在
■多くの加盟国は本提案に反対
■一方で、EUで統一の基準等を作成する必要があるIMOの議題等(規則や指令となる可能性のある事項)については、事前調整を実施


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION