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II-4 欧州事情紹介(海上安全および海洋環境保護政策)
欧州海事事情 紹介
海上安全及び海洋環境保護政策
日本海難防止協会
ロンドン研究室
 
報告項目
1 欧州連合について
2 検討過程の海上安全及び海洋環境保護政策
3 実行段階の海上安全及び海洋環境保護政策
4 その他
 
欧州連合の現状
 
1. 欧州連合(European Union)について
(1)EUの拡大
■2004年5月のEU拡大により、旧東中欧諸国等が加盟し、現在、25ヵ国が加盟国
■2007年の加盟を目途に、ブルガリア、ルーマニアと加盟交渉中
■2004年6月、クロアチアを加盟候補国として決定
■トルコとは、政治的基準を満たせば、加盟交渉開始
 
(2)EUの権力構造
■閣僚理事会(Council of the European Union)→立法機関
■欧州委員会(Commission)→行政機関(法案提出)
■欧州議会(European Parliament)→諮問機関
■上記3機関にて「The Triangle of Power」を構成
■欧州裁判所(European Court of Justice)→司法機関
 
(3)EUの3つの柱
第1の柱:欧州諸共同体(EC)
・主として経済分野における政府間協力を超えた超国家性を有する国家続合体
・加盟国から主権の一部を移譲
・現在では、人の移動(国境管理)、民事司法協力を含む
・(2)等の主要機関はECの機関
 
第2の柱:共通外交・安全保障政策
・政治協力の強化、共通政策による安全保障の強化等が目的
・政府間協力(決定・実施上の権限を有するのは加盟国)
 
第3の柱:司法・内務分野協力(警察・司法分野協力)
・テロリズム、麻薬の密輸対策等に係る政府間協力
 
注)政府間協力
・第1の柱においては、政府間協力を超えた国家共同体として、EUは存在する。このため、加盟国は、閣僚理事会等で多数決にて決定されるEUの法令に従う必要がある。
・第2の柱、第3の柱における政府間協力は、あくまで協力であるので、実施決定権は加盟国が有する。
・政府間協力は、閣僚理事会での全会一致により施策が決定される。
・政府間協力は、欧州司法裁判所等の審査範疇外
・政府間協力については、閣僚理事会が決定することとなるが、欧州委員会は事務局として機能する。一方、欧州講会は諮問を受けるのみ
 
(4)EUの法令
■「Regulation(規則)」:EUで採択されたRegulationが直接加盟国に適用され、加盟国の法令の規定状況如何にかかわらず、Regulationが優先適用
例:SOLAS条約改正に伴うISPSコード導入に伴う規則
■「Directive(指令)」:Directiveの内容を、加盟国が国内法に取り込み、実効を担保
例:船舶通航監視及び情報システムに関する指令
■「Decision(決定)」:特定の加盟国、企業等を対象とする行政執行法規で、強制力有
■「Recommendation(勧告)、Opinion(意見)」:単なる意見の表明であり、強制力なし
 
(5)提案文書
■「Green Paper」
■「White Paper」
■「Communication」
■欧州委員会からの提案文書の種類。後者になるほど、具体性・現実性が高い


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