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I-3 第10回 無線通信・捜索救助小委員会(COMSAR10)の審議概要
1 日程
(1)対処方針会議  平成18年3月5日(日)(在英国日本国大使館会議室)
(2)COMSAR9  平成18年3月6日(月)0930〜10日(金)1730
 
2 開催場所
国際海事機関 本部
 
3 日本側参加者:15名
◎:本委員会所属者の出席者 ○:英国からの出席者
○在英国日本国大使館一等書記官 植村 忠之
総務省総合通信基盤局電波部衛星移動通信課国際係長  芦澤 宏和
国土交通省海事局企画課課長補佐  伊藤 朋康
◎国土交通省海事局安全基準課専門官  河合 崇
◎海上保安庁警備救難部警備課専門官  渡部 一夫
◎海上保安庁総務部情報通信企画課専門官  小池 貞利
東京海洋大学海洋工学部教授  林 尚吾
独立行政法人海上技術安全研究所海上安全研究領域  丹羽 康之
独立行政法人海上技術安全研究所企画部研究統括副主幹  吉田 公一
電気事業連合会  岡村 敏
○(社)日本船主協会欧州地区事務局  中村 憲吾
◎(社)日本船主協会海務部課長  宮坂 真人
KDDIネットワーク&ソリューションズ  高崎 高秀
情報通信研究機構横須賀無線通信研究センター  藤瀬 雅行
○(社)日本海難防止協会ロンドン連絡事務所長  相馬 淳
 
4 議題
(1)議題の採択
(2)他のIMO機関の決定
(3)GMDSS
(4)ITU海上無線通信事項
(5)衛星業務(Inmarsat,COSPASSARSAT)
(6)捜索救助関連(1979SAR会議、GMDSS実施)
(7)海上無線通信システム及び技術の開発
(8)IAMSARマニュアルの改正
(9)SPSコードの改正
(10)海事保安促進の措置
(11)旅客船の安全
(12)SART性能基準の改正
(13)COMSAR11の作業計画及び議題
(14)2007年の議長及び副議長の選出
(15)その他の議題
(16)MSCへの報告
 
5 審議内容
(1)GMDSS(議題3関係)
(1)NAVAREA
 ロシアより提案(MSC80/13/2, COMSAR10/3)された北極地域に2つの新しいNAVAREA地域を設ける件については、ノルウェーより、まだ合意していない旨の意見が表明されたため、総会決議A706(17)に従って、更にIMO/IHO/WMOの協議により検討を継続していくこととした。
(2)津波
 日本提出文書COMSAR10/3/3などについて、次のとおり合意した。
・WMO Global Telecommunications systemが、津波警報伝達の中心的な役割を担う。
・SOLAS船に対しては、各国の津波情報センターからの警報発令要請があった場合にはInternational Safety NET systemにより、津波警報を発令する。
・各国沿岸における津波情報の伝達は、それぞれの国の責任で行われる。手段としてはラジオ、テレビ及び携帯電話が考えられる。
・沿岸ではSOLAS船、non-SOLAS船ともNAVTEXが利用できるが、non-SOLAS船はNAVTEXを搭載していないので、VHFの緊急通信の利用が考えられる。
・各国の沿岸及び港湾での津波警報伝達は、その国の責任で行うため、IMOはこれ以上作業を要しない。
・UNESCO/IOCが、IMO GMDSSシステムを利用することも可能である旨、IMOからUNESCO/IOCに対して、申し出をする。
・IMOは、各国がその沿岸及び港湾での津波警報伝達システムの構築及び維持に対して、技術協力の可能性を考える。
 
(2)ITU海上通信関連(議題4関係)
(1)衛星AIS
 衛星AISのために第3の周波数を利用する必要性について検討したところ、ICSより、新たな搭載が避けられないこと、LRITとの区別がMSCで十分に議論されていないこと等を述べ、導入について不安が表明された。
 IMOからITUへ、AISメッセージの衛星受信に関して、現在のAIS 2チャンネルでは、衛星受信には十分でないかもしれない、ざらなる研究が必要であること等をノートしたリエゾン声明(COMSAR 10/WP.4 Annex3)を作成した。
(2)ITUR WRC関係
 次回IMO/ITU合同専門家会合における検討内容として、次の事項を加えることとした。
・短波帯における新海上無線技術の導入
・周波数有効利用の観点から、無線規則付則17に含まれているアナログ音声チャンネルをデジタルデータ交換システムに使用できるように、短波帯周波数の将来の要求と規則の変更
・COSPAS-SARSAT衛星システムを通しての121.5MHz警報機能の停止及びインマルサットEサービスの停止の影響など
 
(3)海上無線通信システム及び技術の開発(議題7関係)
 我が国により提案(COMSAR10/7)した各国の船位通報システムを接続するためのXMLフォーマットの標準化に関して、原則として合意が得られた。ただし、EUにて同様の検討が進められていることなどが紹介されたため、更なる情報収集が必要であるとし、次回小委員会にてMSC決議案を起草することを前提として、各国に対し、情報提供を要請した。
 
(4)捜索救助関連(1979SAR会議・GMDSS実施)及びIAMSARマニュアルの改正(議題6及び8関係)
(1)IAMSARマニュアル(国際航空海上捜索救助マニュアル)の見直し
 海上における緊急通報に係る携帯電話の使用に係る提案文書(COMSAR10/8)について、米国から、プレナリーにおいて、プレジャーボート隻数が急増していること、同ボートがGMDSS機器を装備していないこと、同ボートからの緊急通報のほとんどが携帯電話によるものであること等の背景について説明があり、英国、中国、フランス等から支持が表明された。
 WGにおいては、多くの国から、米国と同様な現状から支持が表明されるとともに、発展途上国の携帯電話の現状について考慮する必要があること、通話者の個人情報、通報位置の取得には法令改正が必要な国があること、GMDSS装備船舶は同機器の使用が望ましいこと等の意見も提出された。審議の結果、WGとしては、携帯電話による海上遭難通信の利点を認めること、SOLAS船の遭難通信には、携帯電話ではなく、GMDSSの機器を利用することを推奨すること、沿岸を航行するnon-SOLAS船(内航船、漁船、プレジャーボート)については、携帯電話の利用が極めて有効であること等に合意し、修正したIMASAR MANUAL改正案に同意した。
 また、一連の議論の中で、中国等から、世界的に統一された緊急通報番号(特番)に係る提案があり、議論の結果、ITUへ補助的なシステムとしての携帯電話の活用方策として同提案に係る検討依頼文書が発出されることとなった。
 なお、日本からは、国によっては携帯電話のシステムが異なるため、国を超えて航行する船舶では携帯電話では通信できないことがあること等の問題点について指摘した。
(2)SAR活動における医療支援関係
 プレナリーにおいて、船舶に搭載すべき医薬品に係る提案文書(COMSA10/6/8)について、多数の国から同様の懸念が、また、医療情報の交換に係る提案文書(COMSAR10/6/9)について、その重要性について多数の国の支持が、それぞれ表明された。
 両提案については、医療専門家による小グループをWG内に設置し、更なる検討が行われ、所要の修正が行われ、合意された。


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