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(5)インマルサットFleet F77型船舶地球局設備
 インマルサットFleet F77船舶地球局の設備は、インマルサットB船舶地球局と同様に、一般的には船上装置(Above Deck Equipment)と船内装置(Below Deck Equipment)の二つの部分から構成されている。船上装置は安定台上に取り付けられた直径70cmないし90cmのパラボラ空中線であって、船の動揺があっても常に衛星に向くようになっている。そして空中線には送信用Lバンド電力増幅器と受信用のLバンド低雑音増幅器と送受切換え装置が取り付けられ、全体が低損失の保護用レドームの中に入っている。
 船内設備は空中線制御装置、通信用周波数変換器、変復調器、回線制御装置、電源などから構成されており、これに電話機、ファクシミリ、データ端末機(PC等)が接続される。
 詳細な性能要件はインマルサットFleet F77 SDMで規定されているが、IMOの性能基準としては、インマルサットAのところでも触れた総会決議A.608(15)「双方向通信の可能な船舶地球局の性能標準」が適用される。この他にIECに性能及び試験基準としてIEC61097-13があり、大略次の要件が示されている。
(1)遭難・安全通信の送受信が可能なこと。
(2)遭難優先呼出を開始・受信できること。
(3)無線電話による一般通信が可能なこと。
(4)装置はインマルサットの型式承認を取得したものであること。また別に定めた環境条件などの一般要件に適合すること。
(5)インマルサットFleet F77設備とインマルサットC及びEGC受信機との組合せでIMO総会決議A.694(17)GMDSS一般要件を満たす。
(6)外部の制御器で船舶局の識別を変更できないこと。
(7)船舶を通常操船する場所(操舵室)と遭難警報を行うために指定されたその他いかなる場所からも、電話又はデータ通信で遭難呼出しを開始し、行うことができること。さらに、無線通信のための部屋(無線室)が設けられる場合には、その部屋にも遭難呼出しを開始する手段を備えること。
(8)遭難警報の送信は、専用ボタンによってのみ可能であり、いつでも中断できること。
(9)遭難警報を発信できる全ての場所には可視及び可聴表示器を備えること。可視表示はリセットするまで継続し、リセットは権限のある者によってのみ可能であること。
 図2・22にインマルサットFleet F77型装置の例を示す。
 
図2・22 インマルサットFleet F77型装置







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