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船舶電気装備技術講座 〔艤装工事及び保守整備編〕 (GMDSS)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


2・3・3 インマルサットシステム関連機器
 インマルサット静止衛星及び海岸地球局を介して陸上又は他の船舶等との間で電話、テレックス、データ等の通信を行うための無線装置である。
(1)インマルサットA型船舶地球局設備
 インマルサットA船舶地球局の設備は、船上装置(Above Deck Equipment)と船内装置(Below Deck Equipment)の二つの部分から構成されている。一般的には船上装置は安定台上に取り付けられた直径85cmないし1.2mのパラボラ空中線であって、船の動揺があっても常に衛星に向くようになっている。そして空中線には送信用Lバンド電力増幅器と受信用のLバンド低雑音増幅器と送受共用装置が取り付けられ、全体が低損失の保護用レドームの中に入っている。船内設備は空中線制御装置、通信用周波数変換器、変復調器、回線制御装置、電源などから構成されており、これに電話、テレックス、ファクシミリ、データ端末機等が接続される。
 IMOの総会決議A.608(15)「双方向通信の可能な船舶地球局の性能標準」には、この船舶地球局の要件が示されている。
 この性能標準は大略次の通りである。
(1)この装置は無線電話と直接印刷電信のできるもので、別に定めた環境条件などの一般要件に適合すること。
(2)外部の制御器で船舶局の識別を変更できないこと。
(3)船舶を通常操船する場所(操舵室)と遭難警報を行うために指定されたその他いかなる場所からも、電話又は直接印刷電信で遭難呼出しを開始し、行うことができること。さらに、無線通信のための部屋(無線室)が設けられる場合には、その部屋に遭難呼出しを開始する手段を備えること。遭難呼出しを開始する手段は、操作が容易であり、かつ、不注意による作動に対する保護の措置が取られていること。
(4)電波による危険の可能性に関する警告を適当な場所に表示するために、放射のレベルが100W/m2、25W/m2、10W/m2である距離を表示するラベルを空中線のレドームに貼りつけること。
(5)通常は、船舶の主電源から給電を受けること。さらに、代替電源で通常の機能を行うのに必要な空中線の追尾システムを含むすべての設備を運用できること。
(6)電源への切換えと電源の瞬断によって装置が運用できなくなったり、再起動を要したりしないこと。
(7)空中線は、設備の性能の重要な低下のないよう、できるだけ仰角-5°以内に障害物がない場所に取付けること。
(8)空中線の取付けはマスト上での高レベルの振動による悪影響とシャドー効果を最小にするよう慎重に考慮すること。特に6°を超えるシャドーセクターの原因となるレドームから10m以内の物体などは、設備の性能の大きな低下のおそれとなる。
(9)上部甲板の設備はその他の通信設備及び航海設備の空中線からできるだけ離すこと。
 また、インマルサットAには規格上クラス1から3までの種類があり、そのうち、クラス2の複信の電話並びに単信の電話と電信の受信が可能な装置は、電信の送信ができないので、GMDSS用の装置としては適さない。クラス1の複信の電信と電話並びに単信の電信と電話の受信が可能な装置及びクラス3の複信の電信と単信の電信受信が可能な装置のみがGMDSSの対象となっている。すなわち、GMDSS用のインマルサット装置は少なくともテレックス(直接印刷電信)の送受信が可能でなければならない。なお、実際の製品としてはクラス1とクラス2が殆どである。
 無線設備規則ではインマルサットC及び高機能グループ呼出受信機を含めて、第40条の4に性能基準があり、また、その条文に基づく告示で細かい規定がなされている。図2・18にインマルサットA型装置の例を示す。
 
図2・18 インマルサットA型装置
 
(2)インマルサットB型船舶地球局設備
 インマルサットB船舶地球局の設備は、インマルサットA船舶地球局と同様に、船上装置(Above Deck Equipment)と船内装置(Below Deck Equipment)の二つの部分から構成されている。一般的には、船上装置は安定台上に取り付けられた直径85cmないし90cmのパラボラ空中線であって、船の動揺があっても常に衛星に向くようになっている。そして空中線には送信用Lバンド電力増幅器と受信用のLバンド低雑音増幅器と送受切換え装置が取り付けられ、全体が低損失の保護用レドームの中に入っている。
 船内設備は空中線制御装置、通信用周波数変換器、変復調器、回線制御装置、電源などから構成されており、これに電話機、ファクシミリ、データ端末機等が接続される。
 詳細な性能要件はインマルサットBSDM(System Definition Manual)で規定されているが、IMOの性能基準としては、インマルサットAのところでも触れた総会決議A.608(15)「双方向通信の可能な船舶地球局の性能標準」が適用される。この他にIECに性能及び試験基準としてIEC61097-10があり、大略次の要件が示されている。
(1)直接印刷電信を用いて遭難・安全通信の送受信が可能なこと。
(2)遭難優先呼出を開始・受信できること。
(3)陸から船船舶への遭難警報の聴守が継続できること。EGC受信機での対応も可。
(4)無線電話又は直接印刷電信による一般通信が可能なこと。
(5)装置はインマルサットの型式承認を取得したものであること。また別に定めた環境条件などの一般要件に適合すること。
(6)電話及び直接印刷電信は、IMO総会決議A.694(17)に適合していること。
(7)遭難警報の送信状態が表示されること。
(8)全ての表示器と可聴器のテストができること。
(9)外部の制御器で船舶局の識別を変更できないこと。
(10)遭難警報の送信は、専用ボタンによってのみ可能であり、いつでも中断できること。
 図2・19にインマルサットB型装置の例を示す。
 
図2・19 インマルサットB型装置







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