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船舶電気装備技術講座 〔艤装工事及び保守整備編〕 (GMDSS)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


(3)GMDSSとインマルサット
 GMDSS設備としてA3水域を航行する船舶に搭載が認められているインマルサットの設備には、インマルサットCと静止衛星用L-バンド非常用位置指示無線標識装置(EPIRB)がある。インマルサットAとインマルサットBに関しては、高機能グループ呼出(EGC)受信機能を追加することでGMDSS設備となるが、インマルサットFleet F77については、EGC受信機能の他にテレックス機能を追加しなければGMDSS設備とはならない。
 このように、インマルサットA/B/Fに関しては機能追加が必要であるためGMDSS設備としているケースは非常に少なく、一般通信設備として使用されているケースがほとんどである。
(4)インマルサットA船舶地球局
 インマルサットA船舶地球局は、アナログ方式による音声とテレックス、ファクシミリ及び中速データ通信設備である。インマルサットAには規格上はクラス1から3までの種類があり、そのうちクラス2の複信の電話並びに単信の電話と電信の受信が可能な装置は、電信の送信ができないのでSOLAS条約適用船のGMDSS用の装置としては適さない。クラス1の複信の電信と電話並びに単信の電信と電話の受信が可能な装置及びクラス3の複信の電信と単信の電信受信が可能な装置のみがGMDSSの対象となる。すなわち、GMDSS用のインマルサットの装置は少なくともテレックス(直接印刷電信)の送受信が可能でなければならない。また、GMDSSではSOLAS条約第4章第4規則に“陸上から船舶向けの遭難警報を受信すること”という規定があり、これを満足させるために後述のEGC(Enhanced Group Call、高機能グループ呼出)の機能が必要となる。
 なお、インマルサットAは1982年よりサービスが開始されたが、デジタル方式のインマルサットB船舶地球局の普及に伴い使用隻数は減少し、2007年末をもってサービスが終了することになっている。そのため、既に新規の船舶地球局の申請も停止されている。
(5)インマルサットB船舶地球局
 インマルサットB船舶地球局は、インマルサットAの機能を引継ぎ、デジタル音声などのデジタル通信技術を使用した無線設備であり、テレックス、電話、FAXのノイズの少ない安定した通信が可能である。また、装置にオプションとして、モデム・インターフェース・ユニット(MIU)を組込み、装置にパーソナルコンピュータを付けることにより、通信スピードが最大9.6kbpsのデジタルコンピュータ通信が可能である。オプションでハイ・スピード・データ(HSD)を組込むことにより、更に高速な(最大64kbps)データ通信が可能である。HSDを付けることで、画像データや大容量のデータをすばやく送ることができる。
 無線通信機としての性能を示すと、送信のEIRPは、33+1/-2dBW、変調方式は0-QPSK/BPSK、誤り訂正方式としてはビタビ復号/シーケンシャルが使用されている。また、EIRPは、33/29/25(BWの3段階のパワー切り替えとなっている。アンテナとしては90cm程度のパラボラが使用されている。
 インマルサットB船舶地球局は、1993年にサービスが開始されてから新造船の多くで装備されてきた他、インマルサットAからの換装としても装備されてきたが、今後は2002年にサービスが開始されたインマルサットFleet F77が主流になっていくものと考えられる。
(6)インマルサットC船舶地球局
 インマルサットC船舶地球局は、基本的に無指向性空中線を使用する小形、軽量の送受信装置で、600bps(ビット毎秒)のテレックスとデータ通信が可能であるが、音声による電話通信の機能はない。データ通信には、メール通信や船舶から陸上のFAX端末への出力機能がある。現在、GMDSSの主要設備としてEGCを利用した海洋安全情報の船舶への通知や、船舶での非常事態に際して遭難連絡を救難センターへと繋ぐ役目を担っている。
 インマルサットCは、EGC受信機能との関連で規格上はクラス1から3までの三つの種類がある。クラス1はインマルサットCの送受信のみできる基本的な装置で、EGC受信機能は持たないため、GMDSSの装置には適さない。クラス2は、インマルサットCの送受信機能とEGC受信機能を切換えて使用できるものである。クラス3は、独立したEGC受信機能を持ち、インマルサットCの送受信とEGC受信とが互いに独立して動作をすることのできるものである。このクラス2とクラス3がGMDSSの装置として適する。また、インマルサットCは、管理水域における漁船の運用状況を把握する船舶のモニターシステム等にも使用されている。
 通信方式としては、同時双方向通信ではなく蓄積伝送方式であり、全ての通信データは船舶地球局、陸上地球局に一時蓄えられ、そこから次の通信先へと送付されていく。また、必要な時に即時に遭難通信の送受が行えるよう、運用開始時や運用海域変更時に通信網管理局に運用状況を登録するログイン方式を採用している。
 無線通信機としての性能を示すと、送信のEIRPは仰角5°において14±2dBW、変調方式は、BPSK(二位相シフトキーイング)(1200シンボル/秒で、誤り訂正のため、符号化率1/2の畳込み符号を使用)である。
(7)インマルサットFleet F77船舶地球局
 インマルサットFleet F77船舶地球局は、2002年より運用が開始されたデジタル通信方式によるシステムで、電話/FAX/データ通信のサービスが提供されている。電話については、4.8kbpsの通常品質と64kbpsの高品質通話が選択可能で、FAXについては、64kbps ISDNプロトコルを利用したG4 FAX、64kbps帯域を利用したアナログG3 FAX(33.6kbps max)およびFIU(Fax Interface Unit)によるアナログG3 FAX(9.6/2.4kbps max)が利用可能である。また、データ通信については、2.4kbpsのMIU(Modem Interface Unit)モード、64kbpsのHSD(High Speed Data)モード及び64kbpsのMPDS(Mobile Packet Data Service)が利用できる。インマルサットBとの主な相違点は、テレックス機能が廃止されたこと、船舶の遭難通信に際して自動的に位置情報を海難救助センターへ通知するためにGPSが組み込まれたこと、HSD機能が標準装備されたこと及び新たにMPDS機能が導入されたことである。
 この新たに導入されたMPDS(パケット通信)は、1つの大きいデータをパケットに分割してパケット毎に伝送していく方式である。この方式は、インターネット等でも使用されており、1つの回線を複数のユーザーで共有できること、回線の使用状況に応じて対応できること等のメリットがある。また、この方式では回線接続時間による課金ではなく、通信データ量による課金となることから、今後更に増加が見込める陸上ネットワークへの接続時の通信費削減が期待できる。
 無線通信機としての性能を示すと、送信のEIRPは、32+1/-2dBW、変調方式は0-QPSK/16QAM、誤り訂正方式としてはビタビ復号/タ―ボが使用されている。また、EIRPは、5〜32dBWまで2dBステップで13段階とインマルサットBよりさらに細かなパワー切り替えに対応している。アンテナは90cm程度のパラボラが使用されている。







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