図2・13に示すように現在、稼働中の衛星は4基あり、大西洋−西(AOR-W)、大西洋−東(AOR-E)、インド洋(IOR)、太平洋(POR)の4海域で極圏の一部を除く全世界をカバーし通信の中継を行っている。また、それぞれの海域に予備衛星が配備され、現用衛星に何らかの障害があった場合に備えている。
図2・13 インマルサット衛星のカバーエリア
ただし、インマルサットA用衛星については、次のように位置が変更されるため、カバーエリアが変わるので注意が必要である(図2・13-1参照)。
・インド洋衛星(IOR):2005年2月20日より64Eから109E
・大西洋衛星(AOR-W):2005年7月より54Wから98W
この衛星位置変更後にインマルサットA通信を行う場合は、船舶地球局装置の設定をメーカーからの情報に基づいて変更する必要がある。
図2・13-1 配置変更後のインマルサットA衛星のカバーエリア
(拡大画面:228KB)
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陸上地球局(LES)は世界各地に設置され、衛星回線と陸上国際通信回線の中継を行っている。日本国内ではKDDIの運用する山口地球局が稼働している。
通信網管理局(NCS)は海域毎に1局、全世界で計4局設置され、各海域内で行われる移動地球局と陸上地球局間の通信に対して使用する衛星通信チャンネルの割り当て及び通信中の移動地球局のリスト管理を行っている。また、遭難通信の発生時は接続回線のバックアップなどを行っている。ネットワーク管理センター(NOC)はイギリスのインマルサット本部内に設置され、24時間体制で全海域の通信量やネットワーク内の不具合の監視を行っている。
インマルサット通信では、現在A/C/B/M/Mini-M/GAN/Fleet F77/D+/E/Aero/Swift64/Regional B-GANという通信の種類でサービスが行われているが、それらの主要諸元を表2・8に、またインマルサット通信の種類と変遷を図2・14に示す。
表2・8 インマルサット通信システム主要諸元
通信の種類 |
A |
C |
M |
B |
Mini-M |
GAN |
運用開始年 |
1982 |
1991 |
1992 |
1993 |
1996 |
1999 |
サービス |
TELEX
電話
FAX
Data |
TELEX
FAX
Data |
電話
FAX
Data |
TELEX
電話
FAX
Data
HSD |
電話
FAX
Data |
電話
FAX
Data
ISDN64k
MPDS |
衛星ビーム |
グローバル |
グローバル |
グローバルスポット |
グローバルスポット |
スポット |
スポット |
変調方式 |
FM
BPSK |
BPSK |
O-QPSK |
O-QPSK
BPSK |
O-QPSK |
O-QPSK
16QAM |
|
通信の種類 |
Fleet F77 |
D+ |
E |
Aero |
Swift64 |
運用開始年 |
2002 |
1996 |
1993 |
1990 |
2002 |
サービス |
電話
FAX
Data
ISDN64k
MPDS |
Data |
EPIRB |
電話
FAX
Data |
電話
FAX
Data
ISDN64k
MPDS |
衛星ビーム |
グローバルスポット |
グローバル |
グローバル |
グローバルスポット |
グローバルスポット |
変調方式 |
O-QPSK
16QAM |
FSK |
FSK |
A-QPSK
A-BPSK |
A-QPSK
16QAM |
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図2・14 インマルサット通信の種類と変遷
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