日本財団 図書館

共通ヘッダを読みとばす


Top > 技術 > 電気工学.電子工学 > 成果物情報

船舶電気装備技術講座 〔艤装工事及び保守整備編〕 (GMDSS)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


2・3 インマルサットのシステムと装置
2・3・1 インマルサット・システム
(1)インマルサットの生立ち
 インマルサット(Inmarsat;国際海事衛星機構)は、国際海事機構(IMO)による海上安全委員会の主導により1976年の政府間会議により採択された「国際海事機構に関する条約」及び「同運用協定」に従い1979年に設立された。インマルサット設立の目的は世界的な海事通信の改善(衛星通信技術の導入)と船舶の安全航行を図ることであり、国際組織としてアメリカのMARISAT(マリサット)システムを引き継ぐ形で、1982年よりその活動を開始している。
 その後、1985年及び1989年の条約改正により海上通信の枠組みを航空機通信・陸上移動体通信に拡張し、現在ではサービスを陸・海・空の全てのエリアヘと展開するに至っている。また、1994年に名称を「国際海事衛星機構(International Maritime Satellite Organization)」から「国際移動通信衛星機構(International Mobile Satellite Organization)」へと変更し、そのシステム運用の効率化を意図し、宇宙部分(通信衛星及びその管制等に必要な関連地上設備)をイギリスの会社法に基づく民営会社(Inmarsat Ltd.)へと移行した。
 
表2・7 インマルサット年表
1976 国際海事機構に関する条約」及び「同運用協定」承認
1979 インマルサット設立
1982 マリサットより引継サービスを開始 1982 衛星系を借用しサービスを開始
1985 航空通信サービス承認
1989 陸上移動体通信サービス承認
1990-92 第2世代衛星の打ち上げ(独自衛星への移行)
1994 名称を国際移動体通信機構へ変更
1996-98 第3世代衛星の打ち上げ(スポットビーム機能追加)
1999 イギリス会社法に基づく一般商業会社となる
現在 第4世代衛星建造中(B-GAN開始予定)
 
 当初マリサットよりサービスを引き継いだ際にはINTELSAT・MARECS・MARISATの3衛星を使用し、運用していた衛星通信系も1990-1992年にかけてInmarsat独自の衛星(第2世代衛星)が4基打ち上げられ、それまでの3-4倍の回線容量を持つ独自の通信衛星を持つに至った。更に1996-1998年に第3世代衛星が予備機を含め5基打ち上げられ、それまで全世界を4つの衛星による広域通信ビームでカバーしていた状態に加え、通信量の多い地域を別途にカバーするスポットビーム機能が稼働するようになった。これによりそれまでに比べ、小型化されたアンテナを使用したMini-MやGAN(Global Area Network)のサービスが追加された。現在、更に細分化されたスポットビーム機能を持ち、第3世代携帯電話と互換性を有す第4世代衛星が2005年を目標に打ち上げ計画が進められている。この第4世代衛星では新しい通信方式であるB-GANのサービスが開始予定されている。この第4世代衛星は現在稼働中の第3世代衛星に比べ100倍の能力を持つものであり、B-GAN(Broadband-GAN)サービスが開始されれば少なくとも今日の10倍の通信量を支えるものとなる見込みである。
(2)インマルサットシステムの概要
 インマルサット通信をシステムとしてみた場合の構成要素は、衛星、ユーザーが使用する移動地球局(MES:Mobile Earth Station)、陸上に設置される陸上地球局(LES:Land Earth Station)、回線割り当て制御を行う通信網管理局(NCS:Network Coordination Station)および運用を統括するネットワーク管理センター(NOC:Network Operation Center)の4つである。特に船舶に装備する移動地球局のことを船舶地球局(SES: Ship Earth Station)と呼ぶ。図2・10にインマルサットシステムを示す。
 船舶から陸上への通信手順は、概略次のようになる。
(1)ユーザーの要求により船舶地球局より衛星経由で陸上地球局に回線接続を要求する。
(2)陸上地球局より通信網管理局に通信チャンネル割り当てを要求する。
(3)通信網管理局より陸上地球局に対して通信チャンネルを割り当てる。
(4)陸上地球局と船舶地球局間で回線を接続する。
(5)船舶地球局の端末と陸上地球局回線の端末を接続する。
(6)陸上の接続要求相手先端末の応答に従い船舶地球局との回線を接続する。
 また、陸上からの船舶局への通信手順は、概略次のようになる。
(1)端末より陸上回線経由で陸上地球局に対して船舶地球局への回線接続を要求する。
(2)陸上地球局より通信網管理局に対して船舶地球局の運用状況を問い合わせ、接続可能であれば通信チャンネルの割り当てと船舶地球局への通知を要求する。
(3)通信網管理局より、陸上地球局及び船舶地球局に対して通信チャンネルを割り当てる。
(4)陸上地球局より船舶地球局に対して回線接続を要求する。
 船舶地球局の応答により陸上の回線接続要求端末との回線を接続する。以上の流れになる。
 この際ネットワーク管理センターは全ての通信状況をモニターしているが、通常は個々の回線接続に対して直接的に係わる取り次ぎを行うことはない。
 
図2・10 インマルサットシステム
 
 船舶から陸上への通信シーケンス及び陸上から船舶への通信シーケンスを図2・11及び図2・12に示す。
 
図2・11 船舶から陸上への通信シーケンス
 
図2・12 陸上から船舶への通信シーケンス







サイトに関するご意見・ご質問・お問合せ   サイトマップ   個人情報保護

日本財団会長笹川陽平ブログはこちら



ランキング
注目度とは?
成果物アクセスランキング
104位
(31,386成果物中)

成果物アクセス数
118,091

集計期間:成果物公開〜現在
更新日: 2019年7月20日

関連する他の成果物

1.船舶電気装備技術講座 〔電気計算編〕 (中級)
2.船舶電気装備技術講座 〔電気装備技術基準編〕 (中級)
3.船舶電気装備技術講座 〔電気艤装設計編〕 (中級)
4.船舶電気装備技術講座 〔試験・検査編〕 (中級)
5.船舶電気装備技術講座 〔基礎理論編〕 (レーダー)
6.船舶電気装備技術講座 〔機器保守整備編〕 (レーダー)
7.船舶電気装備技術講座 〔装備艤装工事編〕 (レーダー)
8.船舶電気装備技術講座 〔船舶自動識別装置等設置編〕 (レーダー)
9.船舶電気装備技術講座 〔基礎理論編〕 (GMDSS)
10.船舶電気装備技術講座 〔法規編〕 (GMDSS)
11.船舶電気設備関係法令及び規則 〔(資格更新研修用テキスト〕 (強電用)
12.船舶電気設備関係法令及び規則 〔(資格更新研修用テキスト〕 (弱電用)
13.電線貫通部の工事方法に関する調査研究報告書
  [ 同じカテゴリの成果物 ]


アンケートにご協力
御願いします

この成果物は
お役に立ちましたか?


とても役に立った
まあまあ
普通
いまいち
全く役に立たなかった


この成果物をどのような
目的でご覧になりましたか?


レポート等の作成の
参考資料として
研究の一助として
関係者として参照した
興味があったので
間違って辿り着いただけ


ご意見・ご感想

ここで入力されたご質問・資料請求には、ご回答できません。






その他・お問い合わせ
ご質問は こちら から