日本財団 図書館


3・4 管海官庁の船舶検査対象船舶の範囲
 船舶安全法は、前述の船舶安全法の概要にあるとおり、(1)船舶の施設、(2)検査、(3)航行上の危険防止の骨子からなっており、それぞれの適用船舶の範囲は異なっているが、船舶検査対象船舶は3・4・2で述べる検査対象除外船舶以外のすべての船舶である。
3・4・1 一般施設(法第2条にいう所要施設の強制)
 日本船舶のうち、3・4・2に掲げる検査対象除外船舶以外の船舶は、次の諸設備を省令の定めるところにより施設することが必要である(法第2条、法第5条、法第6条)。
(1)船体
(2)機関
(3)帆装
(4)排水設備
(5)操舵、繋船及び揚錨の設備
(6)救命及び消防の設備
(7)居住設備
(8)衛生設備
(9)航海用具
(10)危険物其の他の特殊貨物の積附設備
(11)荷役其の他の作業の設備
(12)電気設備
(13)前各号の外国土交通大臣に於て特に定むる事項
3・4・2 船舶検査対象除外船舶(法第2条第2項、施行規則第2条)
 船舶検査対象除外船舶を列記すると下記のとおりである。
(1)6人を超える人の運送の用に供しない、ろ、かいのみを以て運転する舟
(2)推進機関を有する長さ12メートル未満の船舶(危険物ばら積船及び特殊船を除く。)であって次に掲げるもの。
(a)次に掲げる要件に適合するもの。
(i)3人を超える人の運送の用に供しないものであること。
(ii)推進機関として船外機を使用するものであり、かつ、当該船外機の連続最大出力が長さ5メートル未満の船舶にあっては3.7キロワット以下、長さ5メートル以上の船舶にあっては7.4キロワット以下であること。
(iii)湖若しくはダム、せき等により流水が貯留されている川の水域であって、面積が50平方キロメートル以下のもの又は次に掲げる要件に適合する川以外の水域で告示で定めるもののみを航行するものであること(現在告示で定められている水域は、能取湖、屈斜路湖、風蓮湖、洞爺湖、小川原湖、十和田湖、浜名湖、宍道湖、中海(島根県八束郡美保関町から島根県境港市昭和町にいたる境水道大橋及び陸岸により囲まれた海面)、浦ノ内湾(高知県土佐市宇佐町宇佐字鳥ヶ巣から同町宇佐井尻にいたる宇佐大橋及び陸岸により囲まれた海面)、江田島湾、羽地内海)。
(イ)平水区域であること。
(ロ)海域にあっては、陸地により囲まれており、外海への開口部の幅が500メートル以下で、当該海域内の最大幅及び奥行きが開口部の幅よりも大きいものであり、かつ、外海の影響を受けにくいこと。
(ハ)面積が100平方キロメートル以下であること。
(ニ)当該水域における通常の水象条件のもとで、波浪が緩やかであり、水流又は潮流が微弱であること。
(b)長さ3.0メートル未満の船舶であって、推進機関の連続最大出力が1.5キロワット未満のもの。
(3)長さ12メートル未満の帆船(国際航海に従事するもの、沿海区域を超えて航行するもの、推進機関を有するもの((2)に掲げるものを除く。))、危険物ばら積船、特殊船及び人の運送の用に供するものを除く。)
(4)推進機関及び帆装を有しない船(次に掲げるものを除く。)
(a)国際航海に従事するもの。
(b)沿海区域を超えて航行するもの。
(c)平水区域を超えて航行するもののうち、推進機関を有する他の船舶に押されて航行の用に供するもの(沿海区域を航行区域とする推進機関を有する船舶と結合し一体となって航行する船舶であって平水区域及び平水区域から最強速力で4時間以内に往復できる区域のみを航行するもの並びに管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認めるものを除く。)
(d)危険物ばら積船
(e)推進機関を有する他の船舶に引かれ又は押されてばら積みの油(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)第3条第2号に規定する油をいう。以下同じ。)の運送の用に供するもの
(f)推進機関を有する他の船舶に引かれ又は押されて人の運送の用に供するもの(次に掲げる要件に適合する長さ12メートル未満の船舶を除く。)。
(i)長さ5メートル未満の船舶にあっては、当該他の船舶の推進機関の連続最大出力が7.4キロワット以下、長さ5メートル以上の船舶にあっては、当該他の船舶の推進機関の連続最大出力が15キロワット以下であること。
(ii)(2)(a)(i)及び(iii)に掲げる要件
(g)特殊船
(h)推進機関を有する他の船舶に押されるものであって、当該推進機関を有する船舶と堅固に結合して一体となる構造を有するもの。
(i)係留船(多数の旅客が利用することとなる用途として告示で定めるものに供する係留船であって、二層以上の甲板を備えるもの又は当該用途に供する場所が閉囲されているものに限る。以下同じ。)
(5)災害発生時にのみ使用する救難用の船舶で国又は地方公共団体の所有するもの。
(6)係船中の船舶
(7)告示で定める水域のみを航行する船舶(現在告示で定められている水域;遊園地「奈良ドリームランド」及び動物公園「東武動物公園」内の人工池。モーターボート競走法第4条第1項の許可を受けた競走場に係る水域。社団法人日本モーターボート選手会の選手の訓練の用に供する水域並びに社団法人全国モーターボート競走会連合会の選手等の養成の用に供する水域)。遊園地「東京ディズニーランド」、「ニューレオマワールド」内の人工池、「ポルトヨーロッパ」、「パルケエスパーニヤ」、「ナガシマスパーランド」、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」及び「東京ディズニーシー」内の人工池及び人工水路。
(8)政令で定める総トン数20トン未満の漁船で次に掲げるもの。(法第32条、政令)もっぱら本邦の海岸から12海里以内の海面又は内水面において従業する漁船
(9)海上自衛隊に所属する船舶1・2・1注:(2)参照
3・4・3 満載喫水線の標示の強制(法第3条)
 満載喫水線を標示しなければならない船舶は
(1)遠洋区域又は近海区域を航行区域とする船舶
(2)沿海区域を航行区域とする長さ24メートル以上の船舶
(3)総トン数20トン以上の漁船
であって潜水船その他国土交通大臣が標示する必要なしと認める船舶(注参照)については適用除外している(施行規則第3条、自衛隊法第109条第1項)。
注:満載喫水線の標示の適用を免除されている船舶は下記の船舶である。
(a)水中翼船、エアクッション艇その他満載喫水線を標示することがその構造上困難又は不適当である船舶
(b)引き船、海難救助、しゅんせつ、測量又は漁業の取締りにのみ使用する船舶その他の旅客又は貨物の運送の用に供しない船舶(漁船を除く。)であって国際航海に従事しないもの(通常は国際航海に従事しない船舶であって、臨時に単一の国際航海に従事するものを含む。)。
(c)小型兼用船であって次に掲げるもの。
(i)漁ろうをしない間の航行区域が平水区域であるもの。
(ii)漁ろうをしない間の航行区域が沿海区域であって長さ24メートル未満のもの
(d)臨時変更証を受有している船舶であって次に掲げるもの。
(i)第十九条の二第一号又は第二号に該当する船舶
(ii)平水区域を航行区域とする船舶で沿海区域を航行し他の平水区域に回航されるもの
(e)臨時航行許可証を受有している船舶
(f)試運転を行う場合の船舶
(g)平水区域を航行区域とする旅客船であって、臨時に短期間沿海区域を航行区域とすることとなるもののうち、管海官庁が安全上差し支えないと認めるもの。
(h)海上自衛隊に所属する船舶(1・2・1注:(2)参照
3・4・4 無線電信又は無線電話施設の強制(法第4条)
 電波法による無線電信等を施設しなければならない船舶は次のとおりである。
(1)旅客船
(2)沿海以上の航行区域を有する長さ12メートル以上の非旅客船
(3)近海以上の航行区域を有する長さ12メートル未満の非旅客船
(4)小型兼用船(旅客定員12人以下のもの)であって、次のもの
(a)漁ろうに従事する場合は、漁ろうに従事する水域が本邦の海岸から100海里以遠の水域を航行するもの。
(b)漁ろうに従事しない間の航海区域が次表左欄の船舶の区分に応じ、右欄に掲げる水域のもの。
 
船舶の区分 航行区域
長さ12メートル未満の船舶 近海以上
長さ12メートル以上の船舶 沿海以上
 
(5)総トン数20トン以上の漁船
(6)本邦の海岸から100海里を超える水域で従業する総トン数20トン未満の漁船
 
法第4条による無線電信等を施設しなければならない船舶
■は法第4条による無線電信等を施設しなければならない船舶
□は法第32条の2(施設強制の規定の不適用)より法第4条による無線電信等を当分の間施設しなくてもよい船舶
注1 近海区域及び沿岸区域を航行区域とする長さ12メートル以上の小型兼用船(旅客定員12人以下のものに限る。注2において同じ。)であっても、漁ろうをしない間の航行区域が限定沿岸に限定されているもの。
注2 近海区域を航行区域とする長さ12メートル未満の小型兼用船であって、漁ろうをしない間の航行区域が沿海区域内に限定されているもの。
注3 法第4条による無線電信等の施設の適用が免除され又は除外される船舶は次の船舶である。
(i)施設を免除される船舶(要許可)(施行規則第4条)
(1)臨時に短期間無線電信等の施設の適用を受けることとなる船舶
(2)発航港かた到達港までの距離が短い航路
(3)母船の周辺のみを航行する搭載船
(4)推進機関及び帆装を有しない船舶であって次に掲げるもの。
イ 危険物ばら積船
ロ 特殊船
ハ 推進機関を有する他の船舶に引かれ又は押されてばら積みの油の運送の用に供するもの
(5)無線電信等を施設することが構造上困難又は不適当な船舶(潜水船、水中翼船、エアクッション艇その他特殊構造船)
(6)無線電信等に代わる有効な通信設備を有する船舶
 例えば、パーソナル無線、トランシーバーその他簡易な無線設備(常に直接陸上との間で連絡を行うことができる範囲内のみを航行する場合)又は警察用無線設備(警察用無線設備の使用可能な範囲内のみを航行する場合)を有する船舶(船舶検査心得4.1(f))
(ii)施設適用除外の船舶(施行規則第4条の2)
(1)臨時航行許可証を受有している船舶
(2)試運転を行う場合の船舶
(3)湖川港内の水域(琵琶湖を除く。(平成4年運輸省告示第54号))のみを航行する船舶
(4)推進機関及び帆装を有しない船舶(危険物ばら積船、特殊船及び推進機関を有する他の船舶に引かれ又は押されて人又はばら積みの油の運送の用に供するものを除く。)







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION