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船舶電気装備技術講座 〔試験・検査編〕 (中級)

 事業名 船舶の電気装備に関する技術指導等
 団体名 日本船舶電装協会 注目度注目度5


はしがき
 船舶の電気設備は船舶法、船舶安全法、船舶設備規程や船級規則等によって、メーカーに於いては製造中の試験・検査、また船内に於いては搭載後の試験・検査が行われ、設備によっては検査官、検査員の立合検査が実施される。
 本書は船舶法、船舶安全法等を平易に記述すると共に電気関係の諸設備中、主なものについて、試験・検査の方法及び規格などについて記述したものであるが、試験実施に当たってはなおよく注文主の要求等も考慮し、その該当する規則、規格を確認するようにされたい。
 なお、本書は競艇の交付金による日本財団の助成金を受けて作成したものである。
 
第1編 船舶法規
1 船舶法
1・1 船舶法の沿革
 わが国は、海国であるため、古来、幾多の海事に関する法制が存在していたが、明治27、28年の戦役を契機として、わが国の経済は飛躍的に発展し、これに伴い海上輸送の重要性及び国防上の見地から諸種の海運政策が樹立されるに及び本格的な海事法規の基礎を定めた「船舶法」が、明治32年に制定され、その後数回の改正を経て今日に至っている。
 
1・2 船舶法の概要
 船舶法は、日本船舶の国籍、船舶の総トン数、その他登録に関する事項及び船舶の航行に関する行政上の権利及び義務を定めた法律であり、他の海事関係の法令の基礎になるものである。
1・2・1 船舶の適用の範囲
 船舶法は、日本船舶の特権及び義務を規定したもので、日本船舶のうち、海上自衛隊の使用する船舶(自衛隊法第109条)及び推進機関を持っていない浚渫船(船舶法施行細則(明治32年逓信省令第24号)第2条)を除くすべての船舶に適用になる。ただし、総トン数20トン未満の船舶及び端舟、その他“ろ”、“かい”のみで運転し又は主として“ろ”、“かい”のみでもって運転する舟は、遠距離の航行に敵せず、国際航海に従事するものが、ほとんどないことから、登録制度に関する規定の適用がない(船舶法第20条)が、総トン数20トン未満の船舶であって、次の船舶以外の船舶は、小型船舶として「小型船舶等の登録等に関する法律(平成13年法律第102号)」により日本小型船舶検査機構にて登録される。
(1)漁船法(昭和25年法律第178号)第2条第1項の漁船
(2)総トン数5トン未満の船舶
(3)“ろ”、“かい”又は主として“ろ”、“かい”をもって運転する舟、係留船その他国土交通省令で定める船舶。
注:(1)船舶法による登録制度を受ける船舶は、登記をなし、かつ、「船舶国籍証書」の交付を受けなければならないが、一般にこれらの船舶を『登簿船』といい、その他の船舶を『不登簿船』という。
注:(2)海上自衛隊に所属する船舶とは海上自衛隊に所属する船舶又は海上自衛隊の用船した船舶のうちで海上自衛隊の本来の目的に使用するものをいう。
 なお、海上自衛隊以外の国有船、例えば、陸上自衛隊所有の船、海上保安庁所有の巡視船等はすべて船舶法の対象となる。
1・2・2 日本船舶の意義
 この法律でいう「日本船舶」とは、次に掲げるものが所有する船舶である(船舶法第1条)。
(1)日本の官庁、公署
(2)日本国民
(3)日本に本店がある商事会社
(4)日本に主となる事務所がある法人
 ただし、法人については代表者、合名会社にあっては社員、合資会社にあっては無限責任社員、株式会社及び有限会社にあっては取締役のそれぞれ全員が日本国民でなければならない。
1・2・3 日本船舶の特権
 日本船舶は、日本の国旗を掲揚することができ、また、日本の不開港場に寄港したり、日本各港の間で貨物や旅客の運送をする特権をもっている(船舶法第2条及び第3条)。
1・2・4 日本船舶の義務
 日本船舶は、1・2・3に述べたような特権を有する一方、その船舶の所有者は、次のような義務が課せられている。
 ただし、1・2・1で述べたような総トン数20トン未満の船舶及び端舟、その他“ろ”、“かい”をもって運転する舟には適用されない。
(1)日本に船籍港を定め、その船籍港を管轄する管海官庁(地方運輸局又は神戸運輸監理部若しくは運輸支局)の行う船舶の総トン数の測度を受けなければならない(船舶法第4条)。
(2)登記を行い、更に船籍港を管轄する管海官庁に船舶の登録を行わなければならない(船舶法第5条)。なお、登記については、船舶登記規則及び船舶登記取扱手続において規定されている。
(3)船舶国籍証書又は仮船舶国籍証書の交付を受け、その後でなければ航行及び国旗の掲揚をすることができない。ただし、航行認可書の交付を受けた場合はこの限りでない(船舶法第6条)。
(4)船舶の修繕による船舶の総トン数の改測を受けなければならない(船舶法第9条)。
(5)船舶所有者が変更したときは、船舶国籍証書の書換の申請をした後でなければ、船舶を航行できない。ただし、その事実を知った日より2週間はこの限りでない (船舶法第6条の2)。
(6)登録した事項に変更があった場合は、その事実を知った日から2週間以内に変更の登録を行わなければならない(船舶法第10条)。
(7)船舶国籍証書の記載事項に変更があった場合は、その書換を受けなければならない(船舶法第11条)。
(8)船舶国籍証書が損傷又は滅失したときは証書の書換又は再交付の申請をその事実を知った日から2週間以内にしなければならない(船舶法第11条及び第12条)。
(9)船舶が滅失若しくは沈没したとき、解撤したとき又は海外売船等により日本の国籍を失ったときなどの場合には、その事実を知った日から2週間以内に抹消の登録をし船舶国籍証書を返さなければならない(船舶法第14条)。
(10)指定された期日までに船舶国籍証書の検認を受けなければならない(船舶法第5条の2)。
(11)次に掲げる場合には船舶の後部に国旗を掲揚しなければならない(船舶法第7条及び施行細則第43条)。
(a)我が国の灯台、海岸望楼より要求されたとき。
(b)外国の港を出入りするとき。
(c)外国貿易船が我が国の港を出入りするとき。
(d)法令に別段の定めがあるとき。
(e)管海官庁より指示があったとき。
(f)海上保安庁の船舶又は航空機より要求されたとき。
1・2・5 用語の意味
(1)汽船と帆船
(a)汽船・・・蒸気を用いるかどうかの区別ではなく、機械力をもって航行する船舶
(b)帆船・・・主として帆をもって航行する船舶
(2)船籍港
 船籍港とは、船舶所有者が船舶の登記及び登録をし船舶国籍証書の交付を受ける地をいう(船舶法第4条第1項)。
 船籍港は、船舶所有者が定めるものであり、日本船舶として新たに登録する船舶についてはもちろん、すでに登録されている船舶であっても、所有者が変更した場合、新所有者が新たにこれを決定すべきものである。
 船籍港とする地は、日本国内の地であって、船舶の航行できる水面に接した市町村(都の市町村の存在しない区域では都)に限られ、原則としてはその船舶所有者の住所に定めることを要する。なお、船舶所有者の住所が日本国内にない場合、船籍港とすべき市町村が船舶の航行できる水面に接していない場合、その他やむを得ない事由がある場合(住所と運航の根拠地と異なる場合)は、住所以外の日本国内の地に船籍港を定めることができる。
(3)船舶番号
 船舶の最も端的な表示として、1個の番号に対し1隻の船舶しか存在しないよう各船に対し続き番号でもって、番号を附されている。
(4)信号符字
 船舶の信号符字とは、その船舶の同一性を識別する一種の国際的な表示であって、信号をなすために用いる一種の符号で、無線電信の呼出符号と一致させるべきこととしている。信号符字は総トン100トン以上の船舶については点附するものとし数百トン未満の船舶については船舶所有者の申請により信号符字を点附することも取消することも出来る。(施行細則第17条の3)
(5)船舶国籍証書
 船舶国籍証書は、総トン数20トン以上の日本船舶に対して交付されるものであって、船舶が日本国籍を有すること及び当該船舶の同一性を証明する公文書である。
 これは、船舶の新規登録が完了したときに、当該船舶の船籍港を管轄する地方運輸局長又は神戸運輸監理部長若しくは運輸支局長より所有者に交付されるものである。
 船舶国籍証書は、その性質上必ず船舶に備え付けておかなければならないものである(船員法(昭和22年法律第100条)第18条)。
 船舶国籍証書には、次の内容が記載されている。(施行細則第17条の2)
(1)番号
(2)信号符字
(3)種類
(4)船名
(5)船籍港
(6)船質
(7)帆船の帆装
(8)上甲板の下面において船首材の前面より船尾材の後面に至る長さ
(9)船体最広部においてフレームの外面より外面に至る幅
(10)長さの中央においてキールの上面より船側における上甲板の下に至る深さ
(11)総トン数
(12)閉囲場所の合計容積
(13)除外場所の合計容積
(14)機関の種類及び数
(15)推進器の種類及び数
(16)造船地
(17)造船者
(18)進水の年月
(19)所有者の氏名又は名称、住所及び共有の場合は各共有者の持分
 船舶国籍証書及び船舶原簿に記載されている事項が実質関係と一致するかどうか確認するため一定期間ごと(総トン数100トン以上の鋼船にあっては4年以上、総トン数100トン未満の鋼船にあっては2年以上、木船にあっては1年以上)に期日を指定して検認を行う制度になっている(船舶法第5条の2)。







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