日本財団 図書館


2.4.12 非常電源等
(1)非常電源等については、設備規程第299条から第302条の2までの規定による。
 
(非常電源)
第299条 国際航海に従事する旅客船及び係留船には、次の各号のいずれかの非常電源であって独立のものを備えなければならない。
(1)次に掲げる要件に適合する蓄電池
イ 常に必要な電力が充電されているものであること。
ロ 電圧を定格電圧の(±)12パーセント以内に維持しながら給電できるものであること。
(2)次に掲げる要件に適合する発電機
イ 独立の給油装置及び管海官庁が適当と認める起動装置を有する有効な原動機(引火点が摂氏43度以上の燃料を用いるものに限る。)によって駆動されるものであること。
ロ 主電源からの給電が停止したとき自動的に始動し、45秒以内に定格出力で給電できるものであること。
2. 前項の規定により備える非常電源は、当該船舶に備える次に掲げる設備(A2水域及びA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものを除く。)にあっては第7号及び第8号に掲げる設備、A1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶にあっては第6号から第8号までに掲げる設備を除く。)に対し給電することができるものであり、かつ、当該設備のうち管海官庁が指定するものを同時に作動させるために十分な容量を有するものでなければならない。
(1)船舶救命設備規則第87条第1項第14号並びに第90条第1項第8号及び第9号の照明装置
(2)非常標識(電気式のものに限る。)
(3)非常照明装置
(4)船灯
(5)VHFデジタル選択呼出装置、VHFデジタル選択呼出聴守装置及びVHF無線電話
(6)MFデジタル選択呼出装置、MFデジタル選択呼出聴守装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話
(7)インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話
(8)HFデジタル選択呼出装置、HFデジタル選択呼出聴守装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話
(9)船舶安全法施行規則第60条の6の予備の無線設備であって次に掲げるもの
イ VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話
ロ MFデジタル選択呼出装置、MFデジタル選択呼出聴守装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話
ハ インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話
ニ HFデジタル選択呼出装置、HFデジタル選択呼出聴守装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話
(10)信号灯
(11)汽笛
(12)第297条の警報装置
(13)火災探知装置及び手動火災警報装置
(14)船舶防火構造規則第22条の防火戸閉鎖装置
(15)非常用の船内通信装置及び船内信号装置
(16)自動操舵装置
(17)電子海図情報表示装置及び電子航海用刊行物情報表示装置
(18)航海用レーダー
(19)電子プロッティング装置
(20)自動物標追跡装置
(21)自動衝突予防援助装置
(22)ジャイロコンパス
(23)船首方位伝達装置
(24)音響測深機
(25)衛星航法装置等
(26)船速距離計
(27)回頭角速度計
(28)音響受信装置
(29)船舶自動識別装置
(30)航海情報記録装置
(31)第146条の43の舵角指示器及び表示器
(32)消火ポンプのうちの1個
(33)自動スプリンクラ装置
(34)第288条の電動ビルジポンプ
(35)船舶区画規程第90条第3項に規定するビルジ管の制御に必要なコック又は弁の操作のための電気設備
(36)非常電源を代替動力源とする操舵装置
(37)第287条第1項の水密戸開閉装置、警報装置及び指示器
(38)エレベーター
(39)その他管海官庁が必要と認める装置
3. 第1項の規定により備える非常電源は、船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させるために十分な容量を有するものでなければならない。ただし、非常電源から給電されない場合においても船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動される措置が講じられている場合は、この限りでない。
4. 第1項の規定により備える非常電源は、第2項第1号から第35号までに掲げる設備に対しては36時間、同項第36号に掲げる設備に対しては第136条に規定する当該設備の操舵能力を維持する時間として告知で定める時間、同項第37号及び第38号に掲げる設備に対しては30分間、第39号に掲げる設備に対しては管海官庁が指示する時間以上給電することができるものでなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、その指示する時間によることができる。
5. 第1項の規定により備える非常電源は、主電源からの給電が停止したとき自動的に非常配電盤に接続し、かつ、第2項第1号から第15号まで及び第37号に掲げる設備に対して自動的に給電できるものでなければならない。この場合において、当該非常電源が蓄電池であるときは、当該設備に対して直ちに給電を開始することができるものでなければならない。
6. 非常電源と独立した蓄電池であって管海官庁が適当と認めるものを備える船舶の非常電源には、当該蓄電池から給電される設備(第2項第10号から第31号までに掲げるものに限る。)への給電に関する前3項の規定は、適用しない。
第300条 外洋航行船(国際航海に従事する旅客船を除く。)、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船には、次の各号のいずれかの非常電源であって独立のものを備えなければならない。
(1)前条第1項第1号イ及びロに掲げる要件に適合する蓄電池
(2)前条第1項第2号イに掲げる要件に適合する発電機
2. 前項の規定により備える非常電源は、当該船舶に備える次に掲げる設備(内航ロールオン・ロールオフ旅客船にあっては、前条第2項第2号及び第3号に掲げる設備)に対し給電することができるものであり、かつ、当該設備のうち管海官庁が指定するものを同時に作動させるために十分な容量を有するものでなければならない。
(1)自動スプリンクラ装置の自動警報装置
(2)前条第2項第1号から第13号まで、第15号から第32号まで、第36号及び第39号に掲げる設備(旅客船以外の船舶(限定近海貨物船を除く。)にあっては同項第2号に掲げる設備、限定近海船にあっては同項第2号、第5号から第10号まで、第16号から第32号まで及び第36号に掲げる設備を除く。)
(3)第287条第2項の水密戸開閉装置及び指示器並びに同条第3項の開閉装置
3. 第1項の規定により備える非常電源(限定近海貨物船に備えるものを除く。)は、船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させるために十分な容量を有するものでなければならない。ただし、非常電源から給電されない場合においても船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させる措置が講じられている場合は、この限りでない。
4. 第1項の規定により備える非常電源は、第2項第1号に掲げる設備並びに同項第2号に掲げる設備のうち前条第2項第1号及び第36号に掲げるもの以外のものに対しては18時間(前条第2項第39号に掲げるものに対しては管海官庁が指示する時間)、第2項第2号に掲げる設備のうち前条第2項第1号に掲げるものに対しては3時間、同項第36号に掲げるものに対しては第136条に規定する当該設備の操舵能力を維持する時間として告知で定める時間、前項第3号に掲げる設備に対しては30分間以上(内航ロールオン・ロールオフ旅客船にあっては、前条第2項第2号及び第3号に掲げる設備に対して12時間以上)給電することができるものでなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、その指示する時間によることができる。
5. 第1項の規定により備える非常電源(同項第2号に掲げるものにあっては、前条第1項第2号ロに掲げる要件にも適合するものに限る。)は、主電源からの給電が停電したとき自動的に非常配電盤に接続し、かつ、第2項第2号に掲げる設備のうち前条第2項第1号から第13号まで(旅客船以外の船舶にあっては、第2号を除く。)及び第15号に掲げるもの並びに第2項第3号に掲げる設備(限定近海貨物船にあっては、前条第2項第1号、第3号、第4号、第11号から第13号まで及び第15号に掲げる設備)(内航ロールオン・ロールオフ旅客船にあっては、前条第2項第2号及び第3号に掲げる設備)に対して自動的に給電できるものでなければならない。この場合において、当該非常電源が蓄電池であるときは、当該設備に対して直ちに給電を開始することができるものでなければならない。
6. 非常電源と独立した蓄電池であって管海官庁が適当と認めるものを備える船舶の非常電源には、当該蓄電池から給電される設備(第2項第2号に掲げる設備のうち前条第2項第10号から第13号まで及び第15号から第31号までに掲げるものに限る。)への給電に関する第2項から前項までの規定は、適用しない。
第300条の2 前2条の規定により船舶に備える非常電源が発電機であって、船舶消防設備規則第5条第5号に掲げる固定式加圧水噴霧装置のポンプに給電する場合には、当該発電機は、当該ポンプの主動力源が故障した場合に自動的に作動して十分に給電することができるものでなければならない。
(臨時の非常電源)
第301条 国際航海に従事する旅客船及び係留船に備える非常電源が発電機である場合は、当該船舶には、臨時の非常電源として蓄電池を備えなければならない。
2. 前項の規定により備える蓄電池は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。ただし、係留船にあっては、管海官庁が当該係留船の係留の態様を考慮して差し支えないと認める場合は、第2号の要件を緩和することができる。
(1)主電源又は非常電源からの給電が停止したとき、第299条第4項に規定する設備(同条第2項第5号から第9号までに掲げる設備を除く。)(同条第2項第37号に掲げる設備のうち水密戸開閉装置にあっては、船舶区画規程第52条第5項の電動開閉装置に限る。)に対して自動的に、かつ、直ちに給電を開始することができるものであること。
(2)前号に規定する設備に30分(水密戸開閉装置に対しては、3回操作するため必要な時間)以上給電できるものであること。
(3)第299条第1項第1号イ及びロに掲げる要件
第301条の2 外洋航行船(国際航海に従事する旅客船を除く。)、内航ロールオン・ロールオフ旅客船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船に備える非常電源が発電機である場合は、当該船舶には、臨時の非常電源として蓄電池を備えなければならない。ただし、当該発電機が第299条第1項第2号ロに掲げる要件にも適合するものである場合は、この限りでない。
2. 前項の規定により備える蓄電池は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
(1)主電源又は非常電源からの給電が停止したとき、第300条第4項に規定する設備(第299条第2項第5号から第9号までに掲げる設備を除く。)に対して自動的に、かつ、直ちに給電を開始することができるものであること。
(2)前号に規定する設備に30分間以上給電できるものであること。
(3)第299条第1項第1号イ及びロに掲げる要件
3. 前項第1号に規定する設備に給電することができる独立の電源を備える船舶については、当該電源が、管海官庁が適当と認めるものである場合に限り、前2項の規定の適用を緩和し、又は適用しないことができる。
(補助電源)
第301条の2の2 国際航海旅客船等及び国際航海旅客船等以外の船舶(総トン数300トン未満の船舶であって旅客船以外のもの及び沿海区域又は平水区域を航行区域とするものを除く。)には、常に必要な電力が充電されている蓄電池により構成される独立の補助電源を備えなければならない。
2. 前項の規定により備える補助電源は、当該船舶に備える次に掲げる設備(A2水域又はA1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶(A1水域のみ(湖川を含む。)を航行するものを除く。)にあっては第3号及び第4号に掲げる設備、A1水域のみ(湖川を含む。)を航行する船舶にあっては第2号から第4号までに掲げる設備を除く。)に対し給電することができるものであり、かつ、当該設備のうち管海官庁が指定するものを同時に作動させるために十分な容量を有するものでなければならない。
(1)VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話
(2)MFデジタル選択呼出装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話
(3)インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話
(4)HFデジタル選択呼出装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話
(5)船舶安全法施行規則第60条の6の予備の無線設備であって次に掲げるもの
イ VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話
ロ MFデジタル選択呼出装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話
ハ インマルサット直接印刷電信及びインマルサット無線電話
ニ HFデジタル選択呼出装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話
(6)その他管海官庁が必要と認める設備
3. 第1項の規定により備える補助電源は、前項に規定する設備に対し、非常電源から第299条第2項第5号から第9号までに掲げる設備(以下この条において「VHFデジタル選択呼出装置等」という。)に対し給電することができる船舶にあっては1時間、非常電源からVHFデジタル選択呼出装置等に対し給電することができる船舶以外のものにあっては6時間以上給電することができるものでなければならない。ただし、管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合は、その指示する時間によることができる。
(放電指示器)
第301条の3 第299条第1項若しくは第301条第1項又は第300条第1項若しくは第301条の2第1項の規定により蓄電池を備える場合には、当該蓄電池が放電していることを示す指示器を主配電盤又は機関制御室内の見やすい位置に取付けなければならない。
(非常配電盤)
第302条 外洋航行船、内航ロールオン・ロールオフ旅客船、係留船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船に備える非常電源及び臨時の非常電源を制御する非常配電盤は、非常電源にできる限り近接した場所に備えなければならない。
2. 前項の非常電源が発電機である場合には、非常配電盤は、その操作が害されない限り、非常電源と同一の場所に設けなければならない。
3. 第299条第1項若しくは第301条第1項又は第300条第1項若しくは第301条の2第1項の規定により備える蓄電池は、非常配電盤と同一の場所に設けてはならない。
4. 第299条第4項若しくは第301条第2項第1号又は第300条第4項若しくは第301条の2第2項第1号の規定により主電源又は非常電源からの給電が停止したときに自動的に給電するための切替装置は、非常配電盤に設けなければならない。
5. 通常の状態において主配電盤から非常配電盤へ給電する場合には、管海官庁が適当と認める非常配電盤を保護するための措置を講じなければならない。
6. 非常配電盤は、第299条第2項各号又は第300条第2項各号に掲げる設備以外のものに給電する回路(管海官庁がその用途等を考慮して差し支えないと認めるものを除く。)に対する適当な負荷優先遮断装置を備えたものでなければならない。
(非常電源等の配置)
第302条の2 外洋航行船、内航ロールオン・ロールオフ旅客船、係留船及び国際航海に従事する総トン数500トン以上の漁船に備える非常電源、臨時の非常電源及び非常配電盤は、次に掲げる要件に適合する場所に配置しなければならない。
(1)最上層の全通甲板の上方であること。
(2)主電源、これと関連する変圧器若しくは主配電盤を設けた場所又は特定機関区域内の各場所の外部であって、これらの場所の火災その他の災害による影響をできる限り受けない場所であること。ただし、係留船にあっては、管海官庁が当該係留船の大きさ、構造等を考慮してやむを得ないと認める場合は、この限りでない。
(3)船首隔壁の後方であること。
(4)暴露甲板から容易に近づき得ること。
2. 第287条第1項の非常配電盤からの電路が分電盤を経由するものである場合は、当該分電盤は専用のものとし、かつ、隔壁甲板の上方に配置しなければならない。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION