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(関連規則)
(1)設備規程第299条から第302条の2関係(船舶検査心得)
 
(非常電源)
299.1.(a)
 第2号の「管海官庁が適当と認める起動装置を有する有効な原動機」は次に掲げる条件に適合するものとする。
(1)原動機は、0℃において容易に起動することができるものであること。なお、この温度より低い温度の下で非常発電装置を起動することが予想される場合には、非常発電装置の容易な起動を確保するため、適当な加熱装置が設けられていること。
(2)自動起動する原動機には、少なくとも3回の連続起動が可能な貯蔵エネルギーを有する起動装置が備えられていること。当該原動機に第2の独立の始動手段(例えば、エアモーターにより始動する場合の第2の独立の始動手段としては、セルモーター、手動クランキング等が考えられる。)が設けられていない場合は、自動起動操作により上記貯蔵エネルギーが致命的に消耗されることを防止する措置が講じてあること。さらに、手動により有効に起動することができる場合を除き、30分以内に更に3回の起動を行うことができる予備のエネルギー源が備えられていること。
(3)電気式及び油圧式の起動装置は、非常配電盤から給電されるものであること。
(4)圧縮空気式の起動装置は、適当な逆止弁を介して主若しくは補助の圧縮空気タンク、又は非常用空気圧縮機によって給気されるものであること。なお電動の非常用空気圧縮機は、非常配電盤から給電されるものであること。
(5)起動装置、充気又は充電装置及びエネルギー蓄積装置は、原動機の設置区域に備えられること。また、これらの装置は、原動機の運転以外の用途に使用されるものではないことただし、主又は補助の圧縮空気装置から、原動機の設置区域に設けられた逆止弁を介して、原動機用の空気タンクに給気することは差し支えない。
(6)自動起動が要求されていない場合には、手動のクランキング、慣性起動、手動で充てんされる蓄圧器又は火薬カートリッジ等の手動起動とすることができる。
(7)手動による原動機の起動が困難な場合には、起動装置は、(2)から(5)までの規定に適合するものであること。ただし、起動のための操作は、人為的に行ってもよい。
(b)第2号イの「有効な原動機」とはデーゼル機関又はガスタービンをいう。
299.2(a)各号に掲げる設備は、全て同時に作動するものとする。ただし、水密戸開閉装置(船舶区画規程第53条第1項の要件を満たしている場合に限る。)及びエレベーターについては、順次作動するものとすることができる。また、船舶安全法施行規則第60条の6の予備の無線設備を備える船舶にあっては、当該無線設備は、同時に給電される必要はない。
(b)舵角指示器は、第136条に規定する操舵装置の代替動力源として操舵設備告示で定める操舵機室に備える専用の動力源から給電することとした場合には除外することができる。
(c)消火ポンプは、電気式の非常消火ポンプ又は主電源を設置した場所の火災からの影響を受けない電気式のものに限る。
(d)「給電することができる」とは、配線工事等の措置が講じられていることをいう。
(e)非常電源が蓄電池で構成される場合には、無線設備の負荷については、次の算式により算定した値とすること。
 
C=t{0.5I(T)+V+}
 
t:要求時間(要求される時間に応じ6時間(h)又は1時間(h))
C:負荷(A・h)
I(T):無線設備の送信に必要な電流消費量(A)
V:無線設備の受信に必要な電流消費量(A)
:上記以外の追加の負荷(ジャイロコンパス、無線設備を操作する場所の照明装置、DC/ACインバーター等)
 
(f)第39号の「その他管海官庁が必要と認める設備」とは、第22号に規定するジャイロコンパスとは別にインマルサット直接印刷電信又はインマルサット無線電話を有効に作動させるためにジャイロコンパスを船舶に備えた場合には当該ジャイロコンパスをいう。
299.3(a)「船舶の推進に関係のある機関を30分以内に始動させるために十分な容量」とは、当該非常電源により30分以内に主機(複数の主機を有している場合はいずれか1の主機。(b)において同じ。)、主発電機及び主ボイラを運転状態に入ることができる状態にさせることをいう。
(b)本項ただし書の「措置が講じられている場合」とは、手動により空気圧縮機を作動させ、又は非常用の空気圧縮機を作動させることにより、30分以内に主機、主発電機、主ボイラが運転状態に入ることができる場合とする。
299.4(a)「第31号に掲げる設備に対しては管海官庁が指示する時間」とは、36時間とする。
(b)「管海官庁が当該船舶の航海の態様等を考慮して差し支えないと認める場合」の指示については、次に掲げるところによる。
(1)船灯のうち海上衝突予防法の規定により航行中の船舶が掲げなければならない船灯については、3時間とすることができる。
(2)信号灯、汽笛、第297条の警報装置及び手動火災警報装置については、連続で30分間とする。
(3)総トン数5,000トン未満の船舶に備える第2項第18号の航海用レーダーについては3時間とする。
(4)総トン数5,000トン未満の船舶に備える第2項第197号から第30号に掲げる設備については0時間とする。
(5)第2項第31号の舵角指示器への給電時間については、第136条に規定する当該設備の操舵能力を維持する時間として操舵設備告示で定める時間とすることができる。
(6)短時間の航海に定期的に従事する船舶にあっては、36時間の給電時間は、航海時間に応じて12時間まで減じることができる。(ただし、(1)から(5)まで及び第2項第1号に掲げるものを除く。)この場合においては、資料を添えて、管轄の地方運輸局又は運輸支局に相談すること。
300.2(a)「当該設備のうち管海官庁が指定するものを同時に作動させるために十分な容量を有するもの」とは、非常電源の電力が、非常の際に安全を確保するために不可欠な負荷に対し、同時に作動することを考慮して十分な容量を有することをいう。
 各号に掲げる設備は、原則として全て同時に作動するものとするが、非常照明設備等連続して給電されるものを除き、各設備の作動形態等を考慮して所要電力量を算定してよい。また、航行中の船舶が掲げなければならない船灯及び航海設備については、考慮することを要しない。
(非常電源)
300.3(a)299.3(a)は、本項の非常電源について準用する。
300.4(a)非常電源の容量は、始動電流及び負荷の過渡特性を考慮し、次の表に掲げる時間給電できるものであること。
(b)沿海区域又は平水区域を航行区域とする内航ロールオン・ロールオフ旅客船であって、航行予定時間の短いものについては、12時間適宜しん酌して差し支えない。
(補助電源)
301-2-2.1(a)「常に必要な電力が充電されている」とは、10時間以内に要求される最小限の容量まで自動充電することができるとともに、12月を超えない間隔で船舶の停泊中に、蓄電池の電解液の比重を計測すること、電圧を計測すること等により、電池の能力が適正であることを確認することをいう。
(b)「独立の補助電源」とは、第301条の2の2第2項各号に掲げる設備及び第268条の3の設備専用のものをいう。
 なお、第311条の22又は施行規則第60条の6の規定に該当し一般通信用無線電信等を備えることとなる場合においても同様とする。
301-2-2.2(a)第1号及び第5号のイの「VHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話」とはVHFデジタル選択呼出装置及びVHF無線電話が一体となっているものをいい、146-34-3.0(a)(2)の規定によりVHFデジタル選択呼出装置を備えない船舶に備えるVHF無線電話並びに311-22.1(a)(2)及び施行規則60-6.1(b)により146-10-4.0(b)(3)の規定((iv)に係る部分を除く。)に適合する船舶に備える27MHz帯を使用する無線電話はこれに該当しない。
(b)第2号及び第5号ロの「MFデジタル選択呼出装置、MF直接印刷電信及びMF無線電話」は、MF直接印刷電信及びMFデジタル選択呼出装置又はMF無線電話及びMFデジタル選択呼出装置が一体となっているものをいい、146-38-2.1(a)(2)の規定によりMFデジタル選択呼出装置を設置していない船舶に備えるMF無線電話はこれに該当しない。
(c)第4号及び第5号ニの「HFデジタル選択呼出装置、HF直接印刷電信及びHF無線電話」は、HF直接印刷電信及びHFデジタル選択呼出装置又はHF無線電話及びHFデジタル選択呼出装置が一体となっているものをいい、146-38-2.2(a)(2)の規定によりHFデジタル選択呼出装置を設置していない船舶に備えるHF無線電話はこれに該当しない。
 
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注1 「船灯(航行中に掲げるもの)」とは、船灯のうち海上衝突予防法の規定により航行中の船舶が掲げなければならない船灯をいう。 
注2 信号灯、汽笛、第297条の警報装置及び手動火災警報装置にあっては、連続で30分とする。
 
(d)補助電源は、第2号及び第4号に対して同時に給電する必要はなく、また、第5号ロ及びニに対しても同様とすることができる。
(e)補助電源は、次に掲げる無線設備に対して同時に給電できなければならない。
(1)VHF無電電話、VHFデジタル選択呼出装置及びVHFデジタル選択呼出聴守装置
(2)(1)の設備と同時に使用することができる他のすべての無線設備
 なお、負荷については、第301条の2の2第2項第1号から第4号まで及び第6号に掲げる設備並びに同項第5号及び第6号に掲げる設備についてそれぞれ計算し、いずれか大なる負荷に対し、要求される時間給電できるものでなければならない。
 なお、第311条の22又は施行規則第60条の6の規定に該当し一般通信用無線電信等を備えることとなる場合においても同様とする。
(f)給電すべき無線設備の負荷については、299.2(e)の計算方法を準用する。
(g)第6号の「その他管海官庁が必要と認める設備」とは次に掲げる設備をいう。
(1)299.2(f)に規定する設備
(2)146-10-4.0(b)(3)の規定((iv)に係る部分を除く。)に適合する船舶にあっては次に掲げる設備(予備の無線設備を除く。)
(i)VHF無線電話又は27MHz帯を使用する無線電話
(ii)MF無線電話
(iii)HF無線電話
(非常配電盤)
302.5(a)「管海官庁が適当と認める非常配電盤を保護するための措置」とは、次に掲げるものをいう。
(1)過負荷及び短絡に対して主配電盤において保護され、かつ、非常配電盤において自動的に切り離すことができる中間接続フィーダにより主配電盤から給電する。
(2)フィードバック操作を行うよう措置されている場合には、中間接続フィーダは、少なくとも短絡に対し、非常配電盤においても保護する。
302.6(a)「管海官庁がその用途等を考慮して差し支えないと認めるもの」は、VHF無線電話、機関室の通風装置、非常用の充気装置の回路とする。
(b)非常電源が、非常用負荷に対して十分な容量(発電機の容量及びそれに使用する燃料の容量)を有し、かつ、非常配電盤から給電される他の負荷に対しても十分な容量を有する場合には、負荷優先遮断装置を備えることを要しない。ただし、この場合には、いかなる設備に対しても不等率を考慮しないこと。







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