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(d)直流発電機は、設備規程第196条から第199条までの規定を満足することが必要である。
 
(直流発電機)
第196条 直流発電機は、原動機の速度変動をも考慮してなるべく平複巻特性を有し、かつ、20パーセントから100パーセントまでの負荷を漸増し、又は漸減した場合において、その電圧が定格電圧の6パーセント以上の変動を生じないものでなければならない。ただし、負荷の変動の少ない用途に使用するものであって、その電圧特性曲線の垂下が定格電圧の15パーセントをこえないものについては、分巻特性のものでもよい。
第197条 直流三線式発電機は、その正極又は負極の負荷電流を定格電流に等しくし、かつ、不平衡電流を定格電流の25パーセントとした場合において、中性点に対する正極電圧と負極に対する中性点電圧との差が正負両極間の定格電圧の2パーセントをこえないものでなければならない。
第198条 複巻発電機は、その直巻線輪を負極にそう入し、又は両極に等分してそう入したものでなければならない。
第199条 主機により駆動される発電機にはなるべく自動電圧調整器を備え付けなければならない。
 
(関連規則)
 設備規程第196条及び第199条関係(船舶検査心得)
 
(直流発電機)
196.1(a)「負荷変動の少ない用途」とは蓄電池充電、照明、通信、電熱等をいう。
199.1(a)自動電圧調整器は、自動車等に使用される程度の非常に簡単なものでよい。
 
〔説明〕直流発電機について
 小型の船で、船内の負荷が主として電灯の場合は、主機(推進軸)に蓄電池充電用発電機(ダイナモ)を連結し、主機運転中は、この発電機が駆動され、蓄電池を浮動充電し、充電停止時は、蓄電池により船内に給電する方法が行われている。
 設備規程第199条には、主機に駆動される発電機は、なるべく自動電圧調整器を備え付けなければならないとされている。これは、発電機が主機(推進軸)に連結されているため、船の速度により、発電機の回転速度が変わり、また、船のピッチングにより、プロペラが空転し、主機の回転、すなわち発電機の回転速度が変り、従って電圧も変わるので、これを調整するため、自動電圧調整器が必要となるわけである。
 
(e)交流発電機は、設備規程200条の規定を満足することが必要である。
 
(交流発電機)
第200条 交流発電機は、無負荷から定格負荷までの負荷変動に対して原動機の速度変動及び自動電圧調整器の効果をも考慮して定格電圧の4パーセント以上の変動を生じないものでなければならない。ただし、自動電圧調整器を備え付けていないものについては、この限りでない。
 
(f)並行運転(又は並列運転)を行う発電機は、設備規程第201条の規定を満足することが必要である。
 
(並列運転を行なう発電機)
第201条 並列運転を行なう発電機は、あらかじめ各発電機をその定格負荷の75パーセントに調整した後、界磁調整器等により調整しないで負荷の総和を20パーセントと100パーセントの間に増減した場合において、各発電機の比例分担すべき負荷がその発電機の定格負荷の(±)15パーセント以上の変動を生じないものでなければならない。
 
(関連規則)
 設備規程第201条関連(NK規則)
 並行運転を行う発電機
 
2.4.13 直流発電機
-4. 直流発電機の総合電圧変動特性は、次の(1)から(3)の規定に適合しなければならない。但し、この場合回転速度は、全負荷において定格速度に合わせるものとする。
(1)分巻発電機
 温度試験に引き続き、全負荷において定格電圧に合わせた場合、無負荷における整定電圧は、全負荷における電圧の115%を超えないこと。また、すべての負荷における電圧は、無負荷における電圧を超えないこと。
(2)複巻発電機
 温度試験に引き続き、20%負荷において電圧を定格電圧の±1%以内に合わせた場合、全負荷における電圧は、定格電圧の±1.5%以内であること。また、20%負荷と100%負荷間の漸増及び漸減電圧変動曲線の各負荷における平均値は定格電圧より3%以上変動しないこと。
(備考)並行運転を行う複巻発電機は、負荷を20%から100%まで漸増した場合、電圧の垂下は、定格電圧の4%までとしてもよい。
(3)3線式発電機
 前(1)及び(2)の規定に適合するほか、正負いずれかに定格電流を、中性線に定格電流の25%を通じた場合、正と中性線又は負と中性線間の電圧差が正負間の定格電圧の2%を超えないこと。
-5. 直流発電機を並行運転する場合、各機の負荷の不平衡は、各機の定格出力の総和の20%と100%の間のすべての負荷において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力との差が、それぞれ最大機の定格出力の±10%を超えないものでなければならない。この場合、各機は75%負荷において、その定格負荷に比例した負荷を与えるように調整するものとする。
-6. 2線式複巻発電機の直巻界磁巻線は、負極側に接続しなければならない。
-7. 直流発電機の均圧線の断面積は、発電機と配電盤の間の負極接続線の断面積の50%未満であってはならない。
2.4.14 交流発電機
-1. 自励複巻式発電機を除き、各交流発電機には、自動電圧調整器を備えなければならない。
-2. 交流発電機の整定総合電圧変動特性は、無負荷から全負荷までのすべての負荷において、定格力率のもとで、定格電圧の±2.5%以内でなければならない。ただし、非常発電機の場合には、±3.5%以内とすることができる。
-3. 交流発電機の過渡電圧変動特性は、発電機が定格電圧及び定格速度で運転中に、指定限度内の電流及び力率の平衡負荷を急激に発電機に投入又は遮断した場合(2.4.15-3. 参照)、定格電圧の85%以上120%以下でなければならない。また、その際、発電機電圧は1.5秒以内に定格電圧の±3%以内に復帰しなければならない。ただし、非常発電機の場合には5秒以内に定格電圧の±4%以内の復帰とすることができる。
-4. 交流発電機を並行運転する場合、各機の有効電力の不平衡は、各機の定格出力の総和の20%と100%の間のすべての負荷において、各機の定格出力による比例配分の負荷と各機の出力との差がそれぞれ最大機の定格有効電力の15%又は各機の25%を超えることなく、安定運転できるものでなければならない。
-5. 電流発電機を並行運転する場合、各機の無効電力の不平衡は、最大機の定格無効電力の10%又は最小機の25%を超えることなく(いずれか小さい方の値以下とする)運転できるものでなければならない。
 
(g)適用除外
 船舶の安全性及び居住性に直接関係のない発電設備及び変電設備については、設備規程第184条の規定による。
 
(適用除外)
第184条 船舶の安全性及び居住性に直接関係のない発電設備及び変電設備については、本章のうち、第2節以下の規定(第194条、第195条、第203条、第205条及び第207条を除く)は適用しない。
 
(設備規程第184条についての説明)
 非重要の発電設備及び変電設備に対しては第2節以下は適用しない。ただし、次に示すものは適用する。
第2節 発電機
第194条(絶縁抵抗)
第195条(絶縁耐力)
第3節 蓄電池
第203条(蓄電池室及び蓄電池箱)
第4節 変圧器
第205条(変圧器の配置及び構造)
第207条(絶縁耐力)







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