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5. 実践報告
5-2「脳科学の知見を活かしたささやかな試み」レジュメ
東本郷小学校の実践
―脳科学の知見を生かしたささやかな試み―
川口市立東本郷小学校長
桑原 清四郎
1 はじめに
・我は赤子 真理求めて 泣く赤子 あんあんあんあん・・・人生の旅
・育つ育てる―医師(それはトレニングです)・技術者・職人技
・くるくる変わる教育の世界、混乱する教育界、不幸な子どもたち・・・変わらない教育の筋道(DNA・脳・歴史・公教育140年・自分の経験)
 
2 森先生との出会いと本校の歩み
・校内研修(脳と教育) ・森教授講演(ゲーム脳の恐怖)
・研究室訪問 ・校内研修(森教授の講義)
・元気度チェック(脳測定) ・森先生の授業
・「心の教育」自主研究発表会(1/28)
・第1回感性・脳科学教育研究会(7/2)
 
3 ささやかな実践の試み
(1)脳幹育てる(生体のリズム・バランス・自律神経)
・早寝をする(9:00) 「生きている」
・早起きをする(6:30)
・朝しっかりご飯をたべる。
・遊ぶ・鍛える・仕事する(万歩計)
・学校モードにする。(全校の朝読書)
 
早寝・早起き・朝ご飯
 
テレビ・ゲーム
時間を決めて
ほどほどに
 
(2)大脳辺縁系を育てる(本能・個体維持・集団・育児)「たくましく生きる」
・喜怒哀楽を体験する。(「情動」の掘り起こし
・風雨・寒暖に身をさらす。(雨にも負けず・・・
・メリ・ハリをつける。(遊びと勉強のけじめ)
・集団適応(朝礼でビシッと並んで聞く)
 
志は高く
目標は大きく
指導のステップは小刻みに
 
(3)新皮質を育てる(適応行動・頭の良さ)」「うまく生きていく」
(4)前頭連合野(PQ)を育てる8箇条(我慢中枢・思いめぐらし中枢)
8箇条 「品格良く生きていく―人間らしさ―」
・夢や目標をもつ(志と気概)
・多様な人間関係(異年齢集団活動・1人5人以上の先生)
・直接体験・本もの志向(農園・へび・ハイブリッド発電)
・やりたいことをやる(外遊び・群れ遊び・フットコ・サッカー)
・音読(全校読書・ウオーミングアップ―各クラスで工夫)
・単純な計算・漢字の繰り返し(漢ドリ・算ドリ・チェックアンドチェック)
・乳幼児の世話(6年と1年の読み聞かせや歌指導)
・野外キャンプ(全校仲好し遠足・大貫海浜学園)
*IQよりEQ、EQよりPQである。
(5)教育共同体を創る(校長の責任)
・とことん子供を大事にする。“教育は愛”
・骨身惜しまず働く。横着はしない。
・まず見本、校長が「生き死に」の見本となる。教職員は準じる。
・自分の失敗を隠したり責任転嫁したりしない。
・誠実・公平公正をつらぬく。ヒソヒソ話やコソコソ話はしない、させない。
・弱い人を大切にする。
・法と正義を基盤に考える。理非曲直を明確にする。礼節は大切にする。
・地域を大事にする。地域に座り込み、地域と一体になって仕事をする。(地湧きの思想)
 
(6)教育活動を展開するに当たっての留意点
・脳科学の知見と公教育140年の経験を生かす。
・「測る・数える・比べる・メモをとる」。ここから始める。
・個々教職員の成功経験を生かす。
・どんな意見も尊重する。ただし、柔軟に自己を変える。(石頭はダメ・・・脳科学はどんどん進んでいる。)
・事実から出発し、ウソは排斥する。論より証拠に徹する。
・叱る時は脳幹から。説教はダメ。「言い訳・言い逃れ・恨み」回路を発達させるだけ
 
・褒める―叱る(7:1)、見守る―励ますに力点を置く。
・「わかった」「わからない」「今実験中だ」の3つにしぼる。質疑応答のみ。議論はしない。
・サーバントリーダーシップを探っていく。(校長・教員)
 
4 成果と課題
・6カ年皆勤2名 1カ年皆勤110名 欠席数の減少
・不登校なし・ガラス割れなし・非行なし・交通事故なし・表彰が増える
・教員の転勤希望4年間なし
・保護者からのクレームほんの僅少、ボランテイア活動多し
・マスコミ報道(新郷新聞含む)45回
 
森昭雄先生 教師へのすすめ
(1)心の問題は脳の問題です。頭をどのように使っていったらよいか。
脳から心へ・・・人の痛みがわかる子に。
頭を動かす・・・覚えたことは反復する。記憶を良い方向に使わせる。
 
(2)小さいときから子どもに良いこと悪いことを教える。
・小さいときから心を開き自由に発言できる子に。
・小さいときから相手の心を読みとれる子に。
あいさつなど
 
(3)ゲーム・パソコン等
・ゲームやパソコンを使用した後は、運動(遊び)や音楽が大切
・学校でパソコンを使用したら家庭では使用しない。
・古いパソコンを分解して、その仕組みを見た方が広がりがある。
・本や体験からの情報が大切
 
(4)出力を出す授業
・聞く能力を高める。
・口で言う。
・手で表現する。・ゲームを30分やったら、3倍読書し、必ず感想文を書く。
 
(5)子どもが変わる・親が変わる
 
岡本道雄先生の教師へのすすめ
脳の発達は刺激によって促される。脳は刺激で発達する。
 
・脳の発達に大事なこと
 
(1)最初は模倣が大事
(2)愛情に裏打ちされた教え込みが大事
(3)しつけの時の叱責と賞賛
(4)忍耐の要請の必要
(5)情操教育やコミュニケーションの大切さ
(6)臨界期(発達の時期)を生かす
 
合い言葉
東本郷小学校
1 早寝・早起き・朝ご飯
2 テレビ・ゲーム 時間を決めてほどほどに
3 登校したら外遊び、20分休みも外遊び、昼飯喰ったら外遊び
4 (校長先生!勉強はいつやるんですか?
チャイムがなったら、夢中でやれ!)
遊び・勉強 メリハリつけて
5 一緒に遊んで仲良くなる、
一緒に食べて仲良くなる、
一緒に仕事して仲良くなる、
6 足裏と脳は一体、どんどん歩け
7 そば捏ね1回10ポイント、
キーは1回1ポイント
8 寒くなったら、「イヨオーッ・・・ヨイッショ」


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