喜怒哀楽。これは情動を起こすということがどんなに大事か。眠っている情動、原初の感覚みたいなものを正しく適切にそれを起こさせてやらないと、みんな意気地なしになってしまう。喜怒哀楽の感情をきちっと発現させてあげなくては。悲しかったら悲しい。うれしかったらうれしいと、切なかったら切ないと言える子供たちを育てなければ。そういうことであります。
風雨にさらす。「雨にも負けず、風にも負けず、夏の暑さにも冬の寒さにも負けない丈夫な体を持ち」と宮澤賢治が言っていますけれども、本当にそのような子供たちを育てるためです。それで、めりはりを付けなくてはいけません。めりはりを付ける。
自然体験といってもこう。これはザリガニ取りです。地域にザリガニを取れる所があるから行ってザリガニを取るのです。そうしたところが、今度は小さな蛇を持ってきて、「校長先生、蛇、蛇」とこう言います。蛇が大変好きになった。もう虫も何も好きなのですけれども、それからザリガニ取りを子供たちは喜んで、ザリガニ取りとか虫捕りとかカブトみたいなものとか、みんなそういうことをやりたがる。
田んぼをやります。そして、畑でもって作ったこれができたから「校長先生にあげる、夕飯」。校長先生の所に持ってくる。「まず担任の先生の所に持っていきな。ほかの先生に持っていきな」と、こういうふうに言います。それで田んぼでもって稲を植えて、そして、稲をついてご飯にして食べるということを、大事なことですから、こういうことをやらせる。畑を造る農家の人が本当に応援をしてくれるから、僕はこういうことができるのです。応援をしていっぱい土地を借りて、火のようになって仕事をしている。
草むしりだって、夏休みに草むしりが大変です。ぼうぼうになってしまって、俺は朝6時から。大体6時半から、今度はラジオ体操ですから、全部地域を回ります。ラジオ体操はがーっと7カ所回ります。ラジオ体操が終わると、僕はすぐにだれも来ないうちに草むしりをやる。これをやるのに本当に時間がかかって、1日1畝やるのにも精いっぱいです。そして、また暑くならないうちにむしっておかなくては、サツマイモが取れないからやります。
そういうふうにしてずっとやって、終わると、今度、朝、補習が始まりますから。多い時は僕は26日、僕は補習をやっていました。だから、僕には夏休みはない。朝、6時から勤務が始まって、それから、ラジオ体操を全部応援して回って、ラジオ体操の応援で回った。お寺さんでもってラジオ体操をやっているところです。これはお坊さんです。そうやりながら仕事をしているわけです。
それで先日はビワ。ビワが採れた。そうしたら、用務員さんと木に登って1年生にはまず2個あげる。そして、6年生にもあげる。そして、それから、まだあったから2年生にも2個あげる。そうやって全部にあげたという。大変に喜びました。こういうふうにやるということです。もう10分ですね。
「集団の適応」だとか、そういうことは大変大事なことであります。異年齢でもって小さい子供と一緒に遊ぶということは、子供にとってものすごく大事なことであります。ですから、いろいろな意味で「仲良し班」、「仲良しグループ」、「仲良し給食」、「仲良し遊ぼう会」、そして、「一緒に遊んで仲良くなる。一緒に食べて仲良くなる。一緒に仕事をして仲良くなる」のです。それ以外、手はないのです。
そして、お母さん方には「なめるほどかわいがってください」といつも言う。「なめるほどかわいがってくれ」と。なめるほどかわいがってくれて、愛されることによってしか脳は成長しない、心は成長しないと、僕は本当に叫ぶようにしてお母さん方にお願いをしています。愛によってしか、愛されることによってしか、また、かわいがられることによってしか成長しないのです。
これは大人になっても同じです。うちの家内が今、更年期です。「更年期だ」と言う。僕が早く帰るか、仕事に夢中になっていると切ながっているのです。「仕事だけで自分のことに心を向けてくれない」と切ながります。だけど、「そんなことはない」と言ったって駄目です。(笑い)これは「そんなことはないんだ」と言っても本当に駄目です。だから、そこのところのジレンマはあります。(笑い)本当につらいです。女の人は大変だなと。そのときを通り越さなければ。「今年は上手に過ぎ越そうではないか」と2人で言っているのですけれども、これは人によっては大変です。そういうこともみんな一つ一つの、これは僕にとっての実験なのです。(笑い)
人間が生きるということ、夫婦を形成するということはいったいどういうことなのかということを、内実を豊かにするというのは本当は何なのかということを実験しているわけです。
これが、1年生が6年生、これを見ています。そして、1年生の教室へ6年生が行って本読みをしてくれる。この時も、この子は全然勉強できないです。ゲーム脳。(笑い)。それで、このオシダくんが1年生の所で一生懸命になって読んでくれるのです。それで、その本を持っている子がいるのです。この顔を見てください。真剣です。そして、1年生の前で恥をかくわけにはいかない。だから、どもりどもりだけれども一生懸命やる。その一生懸命やっているという子供の脳は伸びています。
ここの脳は「我慢中枢」と言います。「思い巡らす中枢」と言うのです。思い巡らす脳は神経の回路がここに集中している。我慢をする中枢が集中しています。だから、歯を食い縛ってやらないようなことは意味がない。そういういうことでやりました。
おばあちゃんの面倒を見る。おばあちゃんの所に行く。サンテピアと言う老人施設に行って、歌を歌ったり何かをしてあげたりします。赤ちゃんが生まれた。僕は校長として「赤ちゃんが生まれたって。みんなでやろう。万歳三唱だ」と言って、「赤ちゃん、何々ちゃん、万歳」とみんなでやったのです。それをやったら、今度みんなが本当にかわいいという表情です。この後ろから先生が見ているのです。後ろ姿。
子供というのは本当にかわいいのです。そして、こんなにかわいい子供たちをどうして不幸の底に落とすことができようか。絶対駄目です。それから、年を取りますから、年を取ったのに対して、うちの学校はこういう車椅子の体験をやる。
前にいた学校です。大貫に23人流されて、カネコ校長は殉職しました。その時に僕は一緒にいたのです。前の晩に「桑原くんにすべてを伝授をする」とカネコ校長は言って、次の日には死ぬことを教えてくれました。教師が子供のために命を捨てるということを本当に身をもって教えてくれました。私は99パーセント死んでいた。しかし、校長は死んだけれども、俺は1パーセントでもって生き残ってしまった。生き残りました。
ですから、どんなことがあっても子供たちのために命を捨てる。これはこの時のことからの覚悟でありました。大貫に行くたびに私はお墓参りを子供とすること、僕はどこの学校に転勤をしてもお墓参りをする。それから、大貫という海の所ではごみ拾いをする。そして、うちの学校の子供たちは、東京湾観音に20回全部が登ったのです。12キロもあるのです。
ある1人の先生は1日に3万8千歩歩きました。3泊4日で、1日に3万8千歩も動くのです。そして、火のようになって子供たちのために働いています。夜遅くなってだれもいなくなった所でもって一生懸命キャンプファイヤーの準備を、「下手くそのできない子供を失敗させまい」と言って、夜遅くやっています。そして、みんなの前で成功させます。そうすることによって子供たちは生き返って参ります。もう7分です。
こんなことでもって、地域との連携というのは大変大事なことです。担任は学校は自分たちだけでできていると思っているのです。何かいいことがあれば自分の腕だと思っている。失敗があれば親のせいだと思っている。「あれが悪いから」と言います。そういうことはうちの学校は許しません。うちの学校はそうではなくて、「学校はみんなによって支えられる」と言います。「子供とともに、地域とともに」というのがうちの学校の一番の大目標です。子供と、地域に根差した学校作りをするということです。
そして、「友達大好き・先生大好き・学校大好き」な子供を育てる。必ず育ててみせるということで、森先生の指導を受けながらいろいろなことをやっています。
こういう外部の人たちが来て助けていただきます。消防団にはしょっちゅう行って、手伝いをしてもらいます。地域の消防団に行きます。外国人のPTAが来ます。三味線の音楽会ではいろいろな人たちが来ます。オペラの歌手も来ます。こういうのがあります。運動会でもってソーランをやります。
今度は草加か何かで、あまりうちの学校がソーランがすごいというので、何とかジロウとかいう歌手が来るとき、うちの子供たちを出したい。渥美かな。俺はそういうのは知らないのです。渥美だとか何とか言う人が来るから、それのときにうちの学校の生徒を出してくれというので、バスも用意するから来てくれという申し入れがあるのです。そういうふうなことをやっています。
碁でもこれはプロの碁です。これがここで本当に生き返っているのです。碁。巻幡二段が来ます。プロの人が来ます。それで、うちの学校の子供たちが碁によって生き返る。本当にこういう姿。本当に見せたいようです。トロンボーン、ブラバン、こういうことでもって上手にやる。
地域の祭り。「うちの学校を使ってください」と。うちの学校でもって、みんな通りを清くしなければならないでしょう?そこを通る。開けておかなければ祭りはできないです。みんな酒を飲むし、いろいろあるから。うちの学校は「使ってください」とやります。
学校の花。花はいっぱい咲くのです。山ほど花が咲きますから、そういう花のこと。それからハイブリッドの発電のこと。これもあります。ハイブリッドの発電。これも新聞によく出ました。これは4年生の社会でごみをやるのですけれども、臭いからやめるではなくて、臭いことも情動にとって大事なことですから。書道のこと、こういうこともあります。もう5分。竹馬だとか、そういうのをやります。
それで、「新皮質を育てる」という所を書いたのですけれども、適応行動・頭の良さとかこういうことですから、新皮質は悪知恵も発達します。だから、気を付けなくてはいけない。うまく上手に世渡りをすればいいという人間をいっぱい育てます。
それから「前頭前野(PQ)を育てる8箇条」と書いてあります。これは「我慢中枢・思いめぐらし中枢」です。8カ条です。これは品格良く育つのです。人間性豊かというよりも品格があふれた人間を育てようということです。それが「PQの8箇条」と書いておきました。
「夢や希望をもつ」、志と気概にあふれた人を育てる。これができなかったら駄目です。ですから、「志は高く、目標は大きく、指導のステップは小刻みに」というのです。これは教育の鉄則であります。志が高くない人は大体ろくでもないことはない。いいことをやらない。そのときだけ。生涯を貫いて志を持たなくては、高くしなくては。
「目標は大きく、指導のステップは小刻みに」というのが、うちの学校の指導の原則でありました。志があっても、エンジンがなければ、夢を語るというけれども、あんなのはうそです。夢があってもエンジンがなければ駄目なのです。自家発電が、ダイナモが発動しなければ、これは駄目なのです。それを志、気概というのです。体の脳幹から力があふれ出なかったら、生涯を持ちこたえることはできません。ですから、僕はそのようなことを言っているわけです。
「多様な人間関係」。これも写真でしました。多様な人間関係は社会性のもとですから。「直接体験・本もの志向」。それで、外遊びを目指す。やりたいことを、本当に自分がその子が今やりたい。その年齢がありますから。臨界期がありますから、「その臨界期にあった指導をしなければ」です。音読をすること、単純な計算・漢字の繰り返し、乳幼児の世話、野外キャンプ。こういうものが大事であります。
そして、校長が何をやるか。僕は徹底的に自分が実践をしていますが、とことん子供を大事にする。「教育は愛」。これは第一原則です。「骨身惜しまず働く。横着はしない」。横着を許さない。「まず見本、校長が『生き死に』の見本となる。教職員はそれに準じる」。「自分の失敗を隠したり責任転嫁をしない」。これはみんなに言っていることですから、文章にして公にしています。「弱い人を大切に致します」。「法と正義を基盤に考えます。理非曲直を明確にする。礼節は大切にする」。「地域を大事にする。地域に据わり込んで地域と一体になって仕事をする。地からわき上がったような教育の仕事を進めて参る」。これを職員に約束をしております。
そのときに、「教育活動を展開するにあたっての留意点」ということでもって、脳科学の知見の問題と七つ、八つ書いておきました。これはうちの職員はすぐにぴーんと来ることであります。
もう1分ですから、成果と課題です。去年は6カ年の皆勤が2名出ました。6カ年皆勤。卒業式の中でやるのです。皆勤賞授与。精勤賞授与。「何々の何々。君は・・・。お母さんも立ってください」。そして、お母さんもたたえて「よく頑張りました」と。「お母さんがよく頑張った。本当にうれしいことだ」と言いながら、精・皆勤賞を渡します。
1カ年皆勤は去年は110名ぐらい。これは先程データがあったのですけれども、欠席数がものすごく減少をしました。本当に。全校出欠黒板があるでしょう?学校でもってごまかしがないのは出欠黒板だけです。(笑い)あとは大概脚色しますから。加工しますから。そうしたら、出欠黒板だけはあれはごまかしが利かない。それが1年1組ゼロ、1年2組ゼロ、2年1組ゼロ、3年1組ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロと、6年まで。学年に1人でも6人でしょう?低・中・高で1人ずつ休んで3人ですね。だから、3人までになるのは大変です。これが教育の関係者ならどれだけこれが難しいことか分かります。
うちのほうで、この通り、去年は1学期は3人以下、3人までというのが15回あったのです。15日間、3人以下。1学期でですよ。1人しか休まない日が去年は1日だったけれども、それが今年は既に今年は4日も1人しか休んでいないのです。全校で1人。全校欠席ゼロが1日もなかった。まだ、残念ながら。そのうちにできますけれども。4日ありました。それから、全校で2人しか休まない日が12日あったのです。12日ですよ。全校で2人しかですよ。だから、ゼロ、ゼロ、ゼロ、ゼロが続くのです。3人のところは8日ありました。そうすると、今までに24日間は3人以下ということです。
ということは、われわれが目指している「学校大好き・友達大好き・先生大好き」、「根じょうぶな子供を育てる」、「志と気概に溢れている子供を育てる」。そういう子供が明らかに育っているのではないかというのです。
ですから、私は今回、ここには脳科学の知見を生かしたささやかな試みということにします。ささやかな試みだけれども、確かな出発の一つになります。森先生の指導を受けて、教えてもらって、昨日も森先生が13人の大学院生を連れて、うちの学校に来ました。おとといもそうです。また明日、13名の大学院生が来て、子供たちに脳の測定を全部やります。そして、そのことを親に返し、子供に返し、そして、子供たちの幸せの基礎作りを営々とやるというわけであります。時間1分遅れました。(拍手)
(終了)
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