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2.2 接着剤の利用に関するアンケート
 接着剤の調査研究を進めるに当たり、電装工事に役立つと思われる接着剤の利用例をアイデアプラン(ポンチ絵、図2.1〜図2.10)としてまとめたので、このアイデアプランを用いて、当協会の会員が接着剤の利用に関して、どのような要望を持っているかについてアンケート調査を実施した。
 アンケート調査では、会員にとってどの利用例が有益か。また、アイデアプラン以外に、どのような接着剤の利用が考えられるか等について回答を得た。
 
2.2.1 アンケート調査結果
 
 会員が希望する接着剤の利用アイデアプランは次の通りであった。
 
接着剤利用のアイデアプラン(ポンチ絵) 順位 会員の希望数
1. フラットバーの取り付け 1 40
2. コーミングの取り付け 3 35
3. ケーブル脚の取り付け 8 22
4. 電線管の取り付け 9 20
5. 電子機器台の動揺止め 9 20
6. 電線固定金具の隔壁への布設 4 33
7. 電線管の接続 6 29
8. ボルト・ナットの緩み留め 5 32
9. 電線保護材の貼り付け 7 24
10. 小型スイッチ取り付け台(三角台) 2 38
 
 接着剤の利用(ポンチ絵等)に関するアンケート調査から得られた当協会会員のコメント(接着剤についての様々な要望感想等を述べたもの。)
 
○電装工事に接着剤を利用する方法は、手軽で、工期の短縮にもなり、非常に良い方法と思う。
○接着だけでは、溶接と異なりアースが効かない。
○最近の機器は、ノイズに弱く、干渉等の対策も必要です。
○接着剤を用いても接地効果が低下しない方法を、検討してもらいたい。
○接着剤の殆どが硬化完了まで圧締が必要ですが、天井又は垂直壁等の取り付けの場合、接着部材の取り付け、取り外し作業が簡単にできる小型軽量の圧締するための治具が必要である。
○FRP船に機器等を取り付ける場合、FRPの単板を用いて船体に取り付けている。
このFRP単板を接着剤(シリコンシーラント5211)で固定しているが、特に問題はない。
○天井に電線を取り付ける際にも、接着剤を直接電線に付けて天井に張り付ける工事を実施したことがある。これについても特に問題はなかった。
○FRP船体と接着剤(シリコンシーラント5211)との相性よいと思う。
○塗装されている上から接着剤を付けても、はがれてしまうため、サンダー等で塗装をはがさなくてはならない。錆びているところも接着は効かないし、錆びは進行していくため接着剤は難しいと思われる。
○コーミング部には使えるだろうが、小さなコーミングであれば、締め付けタイプのもので良いと思う。
○天井部の場合、落下したときの事を考えると、確実な溶接に頼ることになる。
○接着剤で工事ができても、撤去の場合、サンダー等で落とすことになるので火花が散ることとなる。
○FRPとアルミというような異金属間の接着は可能か。
○シリコンを使用して接着作業を実施することもあるが、乾燥するまで時間が掛かり、時間のロスが出ている。
○エポキシ系も使用しているが、接着作業時に圧締しなければならないので困っている。
○電路貫通コーミングをエポキシではなく、ホットメルトガンを使用して接着している。その他、ホットメルトガンで色々なものを接着している。
○ボルト・ナットの緩み止めにシリコンシーラントを使用している。この場合スプリングワッシャー、平ワッシャーは使用している。
○接着剤については全く知識はないので、接着剤を電装工事にどのように使用するのか、その工事工法、経済性等の情報を流して欲しい。
○追加工事で、電線を外壁へ出す事が多いので、強力な接着剤があれば外壁電線貫通用グランドに使用したい。
○接着剤は錆びに弱いと聞いている。
○現在、無線機用の高周波アースとして、鉄材に銅板を銀ろう付けした物を準備し、これを船体にアーク溶接している。このアーク溶接を接着剤に代えることができるか。問題は電気抵抗が小さくなければならない。
 接着剤の接触抵抗は何Ωか。 シールド線用アースに対してどうなのか。
○モーター、ポンプシャフトのシール面補修に、米国のENECOM CORPORATION(CERM ALLOY系)を使用している。今のところは充分使用に耐えている。
シャフトのシール面補修の方法
 シャフトの摩耗及び傷の部分を旋盤によりウヰッジ形(ありみぞ形)に削正し、シャフトの表面を清掃後ボンドを塗り硬化後、研磨仕上げして補修している。
○小型の機器台の取り付けに、接着剤(シーカフレックス)を試験的に使用してみたが接着剤の硬化が遅いため、溶接工事の方が時間的に早いと判断した。
○接着剤が強度と耐久性で問題がなければ使ってみたい。
○卓上電気スタンドのブラケット(ねじ取り付け部)のねじ山が、振動のためくずれたので、これをエポキシ系の接着剤で固めた。
○接着に時間が掛かる。アースが取れない。取り外しに不向き。
○耐震性、塩害、強度、耐久性に問題はないのでしょうか。
○アルミ製構造物(アンテナマスト等)等、現場溶接が困難なものへの電路(フラットバー)取り付けが簡単に出来れば使用したい。
○導電性のある接着剤があれば、アース端子等に使用したい。
○接着剤をフラットバー、小型スイッチ台、つば付きコーミング(グランド)には使用可能と思われる。
○ステンレス製(アルミ製)の制御器に使用を考えていますが、平成15年にダイアボンドSG-13を用いて種々のテストを実施したが、振動と経年劣化に対する信頼性が充分でないように感じ中止したことがある。
○卓上灯、室内スピーカー等を壁に接着剤(例えば、スリーM VHBアクリルフォーム構造用接合テープ Y-4950)で止めることができないか。
○電路ケーブルの固縛に使用できないか。(電線バンドの役割を接着剤に持たせる。)


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