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1期生のみなさんへ
財団法人 日本訪問看護振興財団
認定看護師教育課程訪問看護学科主任教員
 
 
 1期生の皆さん、6ヶ月お疲れ様でした。
 現在1700人余りとなった認定看護師ですが、訪問看護では認定看護師の活動にふれる機会は決して多くありません。そのため認定看護師の役割を学びながらも、具体的なイメージをとらえることが難しく、迷いや悩みを抱えながらの6ヶ月だったのではないでしょうか。
 本課程は、訪問看護の質向上のために、認定看護師としてよりよい実践を伝え、指導し、相談に応えられるように、今まで積み上げた知識や経験の生かし方を学ぶ場所でした。そういう意味では、経験の豊富な学生にとっては、新しい知識や技術の学習に費やす時間はさほど多くなかったかもしれません。しかし、認定看護師としての新しい自己を取り入れるためには、必要な時間であったと考えます。
 課程を修了した今、これまで所属組織を中心にとらえていた訪問看護を、もっと大きく広い視野から見つめることができるようになり、課題解決のために意図的に行動する必要性が理解できているはずです。それでも、いざ行動に移すとなると、また新たな困難に出会うでしょう。しかし、そういった困難に立ち向かって変革していくことの手ごたえを、きっと近い将来掴むことができると思います。
 さあ、これからは、みなさん一人ひとりが毎日している訪問看護こそ、訪問看護認定看護師の活動になるのです。みなさんが多くの利用者や関係者に信頼されることを心から願っています。
 
認定看護師教育課程訪問看護学科研修講師を担当して
社団法人 南区医師協会
南区メディカルセンター訪問看護ステーション 管理者
 
 日本看護協会認定看護師制度は、「特定の看護分野において、成熟した看護技術・知識を用いて、水準の高い看護実践のできる認定看護師(Certified Expert Nurse)を社会に送り出すことにより、看護現場における看護ケアの広がりと質の向上を図ること」を目的としている(日本看護協会「認定看護師規則及び細則」第1条)。訪問看護制度の創設から13年を経て認定看護師の訪問看護学科が開設され、訪問看護を実践する1人として訪問看護師の教育に大きな変化を及ぼしたと考える。その研修講師を担当できたことを光栄に感じ感謝している。
 「ケースマネジメント(医療ニーズの高い患者)」の講義では、認定看護師の役割である「実践」「指導」「相談」が担えるよう、対象者をどのように捉えアセスメントを実践していくかを共有できるよう行った。アセスメントは、看護の基本であり、学生の皆さんの学ぶ姿勢から熱意が伝わってきた。
 630時間に及ぶ授業で学んだことを各自がさらに深め、約半年間を歩んだ仲間と共に、訪問看護の現場で認定看護師としての役割を実践することを願っている。そのためには、認定看護師が実践現場で力を発揮できる環境を整備する必要を感じている。
 地域での看護ニーズは、どんどん拡大されている。その中で、エキスパートナースとされる認定看護師が訪問看護の質の向上に貢献した活動を実践し、どのような疾病や障害があろうとも、地域でその方らしい生活の実現をめざした支援を実践いただきたいと思う。
 
訪問看護認定看護師教育に関わって
ホスピスケア研究会 顧問
 
 心待ちにしていた訪問看護認定看護師教育が始まり、既に第一回生が卒業しました。私は、その最初の段階で学生の事例発表を聞く機会があり、また「対象論」の講義を担当しました。学生は、訪問看護経験が比較的浅くて若い人から、訪問看護ステーションの所長をしている経験が深い人まで、その背景は多様でしたが、それぞれ改めて学び直すことに強い意欲を持っている気持ちが伝わってきました。訪問看護では、一人だけで問題に対処するという看護実践の場の特色があることから、仲間と情報交換をし、自分の訪問看護展開の仕方を見直すことに、新鮮な刺激を感じているようでした。表参道ヒルズがオープンする華やかな環境のなかで、その雰囲気に浸る間もなく、真面目に学習を重ねる姿は真剣そのものでした。一人も欠けることなく、全員卒業でき、訪問看護の場に新しい風を吹き込んでいることを頼もしく思います。この貴重な機会に関わることを通して、私自身にも前に進んでいくエネルギーを得ることができました。
 
修了生に向けて
青森県立保健大学大学院健康科学研究科 教授
 
 長期間の学習を修了され おめでとうございます。
 看護は人々の生活の課題に応じて日々変化するサービスを提供しなければなりません。ここに面白さがあり 困難があり 継続した学習の必要性があります。困難はなんといっても前例がないことへの直面でしょう。初めての事柄への直面です。解決のためによりどころとなる根拠もないあるいは少ない、そんな課題に際しては 前例のない解決策を模索しなければなりません。すでにある制度を使えないために これを否定しあるいは乗り越えて新しい道を開かねばなりません。これが創造です。
 皆様は新たに定められた資格を持つ最初の人々であって 先達者です。道しるべを設置する人々に課せられた使命とその楽しさを存分に味わって訪問看護を利用する人々によりよい生活を提供してください。ご活躍を期待しています。
 
認定看護師教育課程の実習を受けて
財団法人 日本訪問看護振興財団立
刀根山訪問看護ステーション統括所長
 
 私達の施設では、実習生に脳性麻痺による障害で気管切開をしている小児の事例を担当してもらった。介護者は他の兄姉に対しても母親としての役割があり、参観などの学校行事のため長時間の外出が必要になる。今回の実習では児の通園施設を訪問し、理学療法士などの職員と連携を図り、訓練内容や保育内容を知るとともに、児と長時間生活をともにし、母親とゆっくり会話の時間を持ち、就学を前にしてかかえる心理面の支援を中心に行った。
 また、ケアマネジャーに同行し、ALS事例の退院時サービス担当者会議に参加して調整を行い、その他の事例では看護師と情報交換を行い、スーパーバイズの方法を探っていた。当訪問看護ステーションにおいては、はじめて受けた認定看護師教育課程の実習であったため、指導方法に戸惑いもあったが、実習での新しい経験を生かして、今後地域の訪問看護師をサポートする認定看護師として活躍されることを期待している。


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